01日20時49分=2023年=
映画「銀平町シネマブルース」
【評】★5つが最高、☆は半分
★★★☆
上越市には高田世界館という100年以上の歴史を持つ映画館があるが、上越映画鑑賞会の例会で上映した「銀平町シネマブルース」の舞台となった映画館は「川越スカラ座」という歴史ある実在の映画館である。

いわゆるコミュニティシネマ(市民映画館)で、1905年に寄席として開業。戦後の1945年に松竹の封切り館「川越松竹館」となり、1963年から川越スカラ座に改称。だが、2007年5月から休館を余儀なくされた。その後、NPO法人に経営が譲渡され、同年8月から営業を再開した。2021年公開の映画「キネマの神様」のロケ地としても使用された。埼玉県川越市にあるので、一度行ってみたい。とても雰囲気のある映画館である。

さて、11月26日に上越映画鑑賞会の例会として高田世界館で上映された映画「銀平町シネマブルース」は、「つぶれかけの映画館を舞台に繰り広げる人間模様と、映画愛」という良くあるテーマで、良い映画がたくさんあるジャンル。主人公は映画監督になるという夢が破綻し、青春時代を過ごした銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤猛(小出恵介)。映画好きの路上生活者の佐藤伸夫(宇野祥平)と、商店街の一角にある映画館・銀平スカラ座の支配人・梶原啓司(吹越満)と知り合ったことをきっかけに、銀平スカラ座で住み込みのアルバイトとして働く…。
前半は「カサブランカ」「第三の男」「風と共に去りぬ」といった往年の名画が映画館で上映される場面があり、その後の展開に期待したが、イマイチ盛り上がりに欠けた。映画のテンポが遅すぎて、眠くなってしまった。作りが雑で、脚本もイマイチ。
印象的だったのは、ホームレスの佐藤が、月2回の映画鑑賞を生きがいとし、映画上映後にスクリーンに向かって手を合わせていたこと。これこそ究極の映画愛である。高田世界館も含め、頑張っている小さな映画館へのエールかもしれない。
2023年の作品で、上映時間は1時間39分。城定秀夫監督。
◇公式サイト
https://www.g-scalaza.com/
今日の
最低気温1.0度、最高気温8.7度。曇りで朝夕雨。
○……妙高市ではこれまで、プリンターのインクカートリッジは燃やせるゴミとして捨てて良かったような気がする。今は拠点回収だという。つまり、あらい最資源センターまで持っていかなければならない。
だが、ヤマダ電機で使用済みのインクカートリッジを回収しており、1個の回収につき10円がNGOに寄付されるのだ。今度、ヤマダ電機に持っていくことにした。たまってしまって、じゃまなんだよな。
★★★☆
上越市には高田世界館という100年以上の歴史を持つ映画館があるが、上越映画鑑賞会の例会で上映した「銀平町シネマブルース」の舞台となった映画館は「川越スカラ座」という歴史ある実在の映画館である。

いわゆるコミュニティシネマ(市民映画館)で、1905年に寄席として開業。戦後の1945年に松竹の封切り館「川越松竹館」となり、1963年から川越スカラ座に改称。だが、2007年5月から休館を余儀なくされた。その後、NPO法人に経営が譲渡され、同年8月から営業を再開した。2021年公開の映画「キネマの神様」のロケ地としても使用された。埼玉県川越市にあるので、一度行ってみたい。とても雰囲気のある映画館である。

さて、11月26日に上越映画鑑賞会の例会として高田世界館で上映された映画「銀平町シネマブルース」は、「つぶれかけの映画館を舞台に繰り広げる人間模様と、映画愛」という良くあるテーマで、良い映画がたくさんあるジャンル。主人公は映画監督になるという夢が破綻し、青春時代を過ごした銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤猛(小出恵介)。映画好きの路上生活者の佐藤伸夫(宇野祥平)と、商店街の一角にある映画館・銀平スカラ座の支配人・梶原啓司(吹越満)と知り合ったことをきっかけに、銀平スカラ座で住み込みのアルバイトとして働く…。
前半は「カサブランカ」「第三の男」「風と共に去りぬ」といった往年の名画が映画館で上映される場面があり、その後の展開に期待したが、イマイチ盛り上がりに欠けた。映画のテンポが遅すぎて、眠くなってしまった。作りが雑で、脚本もイマイチ。
印象的だったのは、ホームレスの佐藤が、月2回の映画鑑賞を生きがいとし、映画上映後にスクリーンに向かって手を合わせていたこと。これこそ究極の映画愛である。高田世界館も含め、頑張っている小さな映画館へのエールかもしれない。
2023年の作品で、上映時間は1時間39分。城定秀夫監督。
◇公式サイト
https://www.g-scalaza.com/
今日の足跡
最低気温1.0度、最高気温8.7度。曇りで朝夕雨。
○……妙高市ではこれまで、プリンターのインクカートリッジは燃やせるゴミとして捨てて良かったような気がする。今は拠点回収だという。つまり、あらい最資源センターまで持っていかなければならない。
だが、ヤマダ電機で使用済みのインクカートリッジを回収しており、1個の回収につき10円がNGOに寄付されるのだ。今度、ヤマダ電機に持っていくことにした。たまってしまって、じゃまなんだよな。
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30日23時38分=2023年=
上越ロケの映画「はなれ瞽女おりん」 46年ぶりに鑑賞
先日、高田文化協会に立ち寄ったら、女性会員3人に囲まれて、よもやま話になった。何かの拍子で篠田正浩監督が高田や直江津でロケをして撮った映画「はなれ瞽女おりん」の話になった。「名作だよね」「岩下志麻がきれいだった」「ロケを偶然に見た」などとこの話で盛り上がった。そして「もう一度、見たいよね」「高田世界館でやってくれないかしら」ということになった。

↓メルカリで買ったDVD

私が「とりあえず、DVDで見たらどうかな」というと「見たい」「見たい」とみんなが賛同してくれた。そこでスマホで検索してみると、メルカリが1800円(送料込み)で一番安かった。事務局長のKさんが、「私買うのでみんなで見よう」というので即、注文した。
今日、DVDが届いた。私が最初に見る権利をもらうことになったので、さっそく見始めた。
映画はおそらく、公開当時の1977年に見たはずだ。つまり46年ぶりに見るわけだ。盲目の瞽女を演じた岩下志麻の美しさだけが印象に残っているが、どういう筋書きだか覚えていない。

あらすじを簡単に書くと、次の通り。
大正7年のこと。春まだ浅い山間で、おりん(岩下志麻)は阿弥陀堂で平太郎(原田芳雄)という男と出会った。おりんは瞽女だが、21歳のときに男と交わったことで瞽女仲間から外され、1人で家々を巡り、三味線を弾いて歌って門付けして暮らす盲目の旅芸人「はなれ瞽女」だった。男は下駄の鼻緒のすげかえをし、おりんは歌って投げ銭をもらうという二人の生活が始まった。夫婦のような生活だが、男はおりんを抱こうとしなかった。次のせりふが印象的だ。
おりん「せめて力強く抱いてくなんさい」
平太郎「お前はいい娘(こ)だ。こげないい娘がめくらに生まれたばっかりに、こんな苦楽をせにゃならん。今の世の中が地獄に見える。おらがあめぇを抱くことはできねぇ。抱いてしもうたら、今までお前が抱かれてきた男のように、すぐに別れが来てしまう。おらぁ、当分おめぇと2人で旅がしてぇ。もう少し、俺を男にしてくれ」
おりん「あんさまが一晩だけでもおらを抱いて寝てければ、死んでもいいと思ってる」
平太郎「抱かねぇから長続きするだ。おら、お前を美しい仏様のようにしておきてぇだ」
おりん「おらぁ、仏様でもねぇ。妹でもねぇ」
*差別用語が含まれていますが、映画の趣旨からして映画のまま掲載しました。
ある日、札をもらわず店を出したという理由で、平太郎はやくざに呼び出される。その隙に香具師の一人である別所彦三郎におりんは松林で帯を解かれていた。それを見た平太郎は道具箱からノミを取り出し、追いかけて殺してしまう。そして、おりんに「当分別れて暮らそう。俺は若狭の方へ行く。」と言い残すと姿を消した。おりんは黒川の六地蔵で出会ったはなれ瞽女のおたま(樹木希林)と共に、南の若狭方面へと向っていた。
平太郎は殺人犯としてだけではなく、脱走兵としても追われていた。若狭の片手観音堂に来ていたおりんは、そこで平太郎と会うことができた。その夜、おりんは平太郎に初めて抱かれた。翌日から二人はまた旅を始めるが、背後から追手が迫っていた。
↓おりんの入浴

この映画は1978年の第1回日本アカデミー賞で、岩下志麻が主演女優賞を獲得した。キネマ旬報ベストテンで第3位だった。何といっても、26歳の岩下志麻が凛として美しい。途中で露天風呂で裸になるシーンがあるが、胸があらわになったシーンは、すげかえだったのが残念。
ともあれ、おりんの仏様のような姿の美しさが、露天風呂の場面に一番現れていた。そして、おりんと平太郎の漂白の旅が、日本海側の自然の美しさ、古い町並みとともに描かれ、じーんと来るものがあった。まさに、日本の原風景であった。宮川一夫の撮影の素晴らしさがこの名シーンを生んだのだ。
↓時代考証に市川信次・信夫の瞽女研究家が協力

それから、映画の時代考証に上越市の市川信次・信夫の瞽女研究家が協力したことが冒頭で分かった。
さて、映画の中に、上越市内やその周辺が何箇所も出てきた。
【親不知】
天下の険、親不知の海岸を6歳のおりんが、斎藤という男に手を引かれて、波が引いた隙に走って渡るという場面。


【東本町4】
東本町では、おりんが斎藤という男に手を引かれ、雁木の下を通って高田の瞽女の親方の家に連れてこられた場面。



【五智国分寺】
赤く塗られた五智国分寺の山門が出た。おりんが瞽女をやめ、平太郎とともに下駄屋を営み、初めての縁日での商いする場面

【旧直江津銀行(ライオン像のある館)】

桑山正一扮する長岡警察署今西万三郎刑事が、聞き込みから警察署に戻り、小林薫扮する憲兵中尉・袴田虎三と会う場面に使用された。上部の半円形の窓は当時のままのようだ。明治時代の建物で、現在は「ライオン像のある館」として公開されている。
【はさ木】
はさ木が美しいが、どこだか分からない。おそらく県内のどこかである。

【善光寺】
山門に「善光寺」と書かれた扁額が出た。「善」の字は牛をかたどっていて、扁額の中に5羽の鳩が隠されている。
本堂手前の大香炉も出てきた。煙を体につければ無病息災の功徳が得られると言われている。おりんとおたまが煙を浴びていた。
一時、盗まれたおびんずる様も出た。悪い部分をなでると治るとされているため、おりんとおたまは、おびんずる様の目をなでていた。
↓善光寺の扁額

↓善光寺の大香炉

↓おびんずるさま

【小浜駅】
福井県の小浜線小浜駅。新平野駅の名も見える。

このほか、浦川原区の日光寺、佐渡などで撮影されたそうだ。
今日の
最低気温11.7度、最高気温19.2度。曇り。

○……東の空に月が出ていた。昨日が満月で、今日の月齢は15.4。その右上に一段と輝く赤い星は火星だ。それを友人に教えたら、東の空低く光っている星はなにかと聞いてきた。
スマホの星座アプリで調べると、ぎょしゃ座の首星である1等星のカペラだ。マツダの自動車「カペラ」も、この星名から取っている。
南西の空には木星と土星が見えるはずだが、今日の西の空は雲が出ていて何も見えない。
明後日11月1日から13日まで、清里区の星のふるさと館で「星の文化祭」が始まる。昼間はプラネタリウムが見られる。そして、3、4、11、18,25日には夜間観望会がある。18時から21時まで、晴れたら実施する。晴れたら行ってみようかな。土星の輪を見たい。

↓メルカリで買ったDVD

私が「とりあえず、DVDで見たらどうかな」というと「見たい」「見たい」とみんなが賛同してくれた。そこでスマホで検索してみると、メルカリが1800円(送料込み)で一番安かった。事務局長のKさんが、「私買うのでみんなで見よう」というので即、注文した。
今日、DVDが届いた。私が最初に見る権利をもらうことになったので、さっそく見始めた。
映画はおそらく、公開当時の1977年に見たはずだ。つまり46年ぶりに見るわけだ。盲目の瞽女を演じた岩下志麻の美しさだけが印象に残っているが、どういう筋書きだか覚えていない。

あらすじを簡単に書くと、次の通り。
大正7年のこと。春まだ浅い山間で、おりん(岩下志麻)は阿弥陀堂で平太郎(原田芳雄)という男と出会った。おりんは瞽女だが、21歳のときに男と交わったことで瞽女仲間から外され、1人で家々を巡り、三味線を弾いて歌って門付けして暮らす盲目の旅芸人「はなれ瞽女」だった。男は下駄の鼻緒のすげかえをし、おりんは歌って投げ銭をもらうという二人の生活が始まった。夫婦のような生活だが、男はおりんを抱こうとしなかった。次のせりふが印象的だ。
おりん「せめて力強く抱いてくなんさい」
平太郎「お前はいい娘(こ)だ。こげないい娘がめくらに生まれたばっかりに、こんな苦楽をせにゃならん。今の世の中が地獄に見える。おらがあめぇを抱くことはできねぇ。抱いてしもうたら、今までお前が抱かれてきた男のように、すぐに別れが来てしまう。おらぁ、当分おめぇと2人で旅がしてぇ。もう少し、俺を男にしてくれ」
おりん「あんさまが一晩だけでもおらを抱いて寝てければ、死んでもいいと思ってる」
平太郎「抱かねぇから長続きするだ。おら、お前を美しい仏様のようにしておきてぇだ」
おりん「おらぁ、仏様でもねぇ。妹でもねぇ」
*差別用語が含まれていますが、映画の趣旨からして映画のまま掲載しました。
ある日、札をもらわず店を出したという理由で、平太郎はやくざに呼び出される。その隙に香具師の一人である別所彦三郎におりんは松林で帯を解かれていた。それを見た平太郎は道具箱からノミを取り出し、追いかけて殺してしまう。そして、おりんに「当分別れて暮らそう。俺は若狭の方へ行く。」と言い残すと姿を消した。おりんは黒川の六地蔵で出会ったはなれ瞽女のおたま(樹木希林)と共に、南の若狭方面へと向っていた。
平太郎は殺人犯としてだけではなく、脱走兵としても追われていた。若狭の片手観音堂に来ていたおりんは、そこで平太郎と会うことができた。その夜、おりんは平太郎に初めて抱かれた。翌日から二人はまた旅を始めるが、背後から追手が迫っていた。
↓おりんの入浴

この映画は1978年の第1回日本アカデミー賞で、岩下志麻が主演女優賞を獲得した。キネマ旬報ベストテンで第3位だった。何といっても、26歳の岩下志麻が凛として美しい。途中で露天風呂で裸になるシーンがあるが、胸があらわになったシーンは、すげかえだったのが残念。
ともあれ、おりんの仏様のような姿の美しさが、露天風呂の場面に一番現れていた。そして、おりんと平太郎の漂白の旅が、日本海側の自然の美しさ、古い町並みとともに描かれ、じーんと来るものがあった。まさに、日本の原風景であった。宮川一夫の撮影の素晴らしさがこの名シーンを生んだのだ。
↓時代考証に市川信次・信夫の瞽女研究家が協力

それから、映画の時代考証に上越市の市川信次・信夫の瞽女研究家が協力したことが冒頭で分かった。
映画のロケ地
さて、映画の中に、上越市内やその周辺が何箇所も出てきた。
【親不知】
天下の険、親不知の海岸を6歳のおりんが、斎藤という男に手を引かれて、波が引いた隙に走って渡るという場面。


【東本町4】
東本町では、おりんが斎藤という男に手を引かれ、雁木の下を通って高田の瞽女の親方の家に連れてこられた場面。



【五智国分寺】
赤く塗られた五智国分寺の山門が出た。おりんが瞽女をやめ、平太郎とともに下駄屋を営み、初めての縁日での商いする場面

【旧直江津銀行(ライオン像のある館)】

桑山正一扮する長岡警察署今西万三郎刑事が、聞き込みから警察署に戻り、小林薫扮する憲兵中尉・袴田虎三と会う場面に使用された。上部の半円形の窓は当時のままのようだ。明治時代の建物で、現在は「ライオン像のある館」として公開されている。
【はさ木】
はさ木が美しいが、どこだか分からない。おそらく県内のどこかである。

【善光寺】
山門に「善光寺」と書かれた扁額が出た。「善」の字は牛をかたどっていて、扁額の中に5羽の鳩が隠されている。
本堂手前の大香炉も出てきた。煙を体につければ無病息災の功徳が得られると言われている。おりんとおたまが煙を浴びていた。
一時、盗まれたおびんずる様も出た。悪い部分をなでると治るとされているため、おりんとおたまは、おびんずる様の目をなでていた。
↓善光寺の扁額

↓善光寺の大香炉

↓おびんずるさま

【小浜駅】
福井県の小浜線小浜駅。新平野駅の名も見える。

このほか、浦川原区の日光寺、佐渡などで撮影されたそうだ。
今日の足跡
最低気温11.7度、最高気温19.2度。曇り。

○……東の空に月が出ていた。昨日が満月で、今日の月齢は15.4。その右上に一段と輝く赤い星は火星だ。それを友人に教えたら、東の空低く光っている星はなにかと聞いてきた。
スマホの星座アプリで調べると、ぎょしゃ座の首星である1等星のカペラだ。マツダの自動車「カペラ」も、この星名から取っている。
南西の空には木星と土星が見えるはずだが、今日の西の空は雲が出ていて何も見えない。
明後日11月1日から13日まで、清里区の星のふるさと館で「星の文化祭」が始まる。昼間はプラネタリウムが見られる。そして、3、4、11、18,25日には夜間観望会がある。18時から21時まで、晴れたら実施する。晴れたら行ってみようかな。土星の輪を見たい。
18日21時58分=2023年=
差別の闇描く「福田村事件」
【評】★5つが最高
★★★★

関東大震災直後の混乱の中で、福田村村民が一体となって朝鮮人などを取り締まるために自警団を強化する中、間違えて薬の行商団の人を暴行して9人を虐殺するという悲劇を扱った映画。よくこのような差別を扱った題材を映画にしたと思う。
↓予告編動画
監督は、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也。自身初の劇映画作品として、実際に起こった虐殺事件をテーマに撮影した。関東大震災の発災から100年目となる2023年9月1日から全国公開したものである。現在、高田世界館で上映中。
事件は1923年(大正12年)9月6日、関東大震災後の混乱や流言飛語の中で、香川県からの薬の行商団15人が千葉県東葛飾郡福田村(現在の野田市)や田中村(現柏市)の自警団に暴行され、9人(腹の中の子供を入れると10人)が殺害された事件である。群集心理の怖さ、歴史の暗部を見て身震いし、人間の愚かさを憂いた。まるで、ナチのユダヤ人虐殺や、国家による社会主義者弾圧を思い浮かべる。
なぜそうなったのかというと、行商団一行の話す方言(讃岐弁)が千葉県の人には聞き慣れなかったことが背景にある。日本人でなくては言いにくい「15円50銭」と言わせ、野蛮な言葉を浴びせた。
関東大震災の折、朝鮮半島出身の人たちがデマによって殺されたのは良く知られているが、日本人の被差別部落の人らも、殺されていたのだ。そのころ、警察が「朝鮮人に気をつけよ」「夜襲がある」などと流言飛語を撒き散らし、自警団も異常事態に興奮していたらしい。今でいう「フェイクニュース」である。

そして「お前の言葉は変だ、朝鮮人と違うのか」と言うと、自警団が大勢集まってきた。興奮の極みにあった自警団は村人らを守るために殺人集団と化し、行商人に対し恐ろしい行為に出る。このシーンの群集心理の変化の描き方がすごい。

村長の制止も聞かず、駐在所の巡査が本署に問い合わせに行った直後に惨劇が起きた。この大虐殺は見たくもないシーン。被害者一行が被差別部落出身であったことも、一因となった。遺体は利根川に流され遺骨も残っていない。
途中までお色気シーンが多く、いったいどういう方向へ進むか疑心暗鬼だったが、後半に恐ろしい展開が待っていた。
富山以外でも薬の行商をしていたとは知らなかったが、行商の様子や田舎の人々の暮らしや風景がきちんと描かれていて、殺戮シーン以外は明るく素朴なドラマであった。
◇公式サイト
https://www.fukudamura1923.jp/
今日の
最低気温11.3度、最高気温22.4度。晴れ。
★★★★

関東大震災直後の混乱の中で、福田村村民が一体となって朝鮮人などを取り締まるために自警団を強化する中、間違えて薬の行商団の人を暴行して9人を虐殺するという悲劇を扱った映画。よくこのような差別を扱った題材を映画にしたと思う。
↓予告編動画
監督は、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也。自身初の劇映画作品として、実際に起こった虐殺事件をテーマに撮影した。関東大震災の発災から100年目となる2023年9月1日から全国公開したものである。現在、高田世界館で上映中。
事件は1923年(大正12年)9月6日、関東大震災後の混乱や流言飛語の中で、香川県からの薬の行商団15人が千葉県東葛飾郡福田村(現在の野田市)や田中村(現柏市)の自警団に暴行され、9人(腹の中の子供を入れると10人)が殺害された事件である。群集心理の怖さ、歴史の暗部を見て身震いし、人間の愚かさを憂いた。まるで、ナチのユダヤ人虐殺や、国家による社会主義者弾圧を思い浮かべる。
なぜそうなったのかというと、行商団一行の話す方言(讃岐弁)が千葉県の人には聞き慣れなかったことが背景にある。日本人でなくては言いにくい「15円50銭」と言わせ、野蛮な言葉を浴びせた。
関東大震災の折、朝鮮半島出身の人たちがデマによって殺されたのは良く知られているが、日本人の被差別部落の人らも、殺されていたのだ。そのころ、警察が「朝鮮人に気をつけよ」「夜襲がある」などと流言飛語を撒き散らし、自警団も異常事態に興奮していたらしい。今でいう「フェイクニュース」である。

そして「お前の言葉は変だ、朝鮮人と違うのか」と言うと、自警団が大勢集まってきた。興奮の極みにあった自警団は村人らを守るために殺人集団と化し、行商人に対し恐ろしい行為に出る。このシーンの群集心理の変化の描き方がすごい。

村長の制止も聞かず、駐在所の巡査が本署に問い合わせに行った直後に惨劇が起きた。この大虐殺は見たくもないシーン。被害者一行が被差別部落出身であったことも、一因となった。遺体は利根川に流され遺骨も残っていない。
途中までお色気シーンが多く、いったいどういう方向へ進むか疑心暗鬼だったが、後半に恐ろしい展開が待っていた。
富山以外でも薬の行商をしていたとは知らなかったが、行商の様子や田舎の人々の暮らしや風景がきちんと描かれていて、殺戮シーン以外は明るく素朴なドラマであった。
◇公式サイト
https://www.fukudamura1923.jp/
今日の足跡
最低気温11.3度、最高気温22.4度。晴れ。
25日22時02分=2023年=
上越映画鑑賞会例会上映「それでも私は生きていく」
【評】★5つが最高
★★★★
9月24日に高田世界館で行われた上越映画鑑賞会の第224回の例会上映は、久しぶりのフランス映画「それでも私は生きていく」。世界的な人気を誇る女優、レア・セドゥのすべてが美しく、冒頭で増村会長が「これは女優を見る映画です」と言ったとおりだった。今年5月に日本で封切られたばかりの作品。

【あらすじ】
シングルマザーのサンドラ(レア・セドゥ)は、夫を亡くした後、通訳の仕事をしながら8歳の娘とパリの小さなアパートで暮らしているシングルマザー。サンドラの父ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)は以前は哲学教師として生徒たちから尊敬されていたが、現在は病によって視力と記憶を失いつつあった。サンドラは母フランソワーズ(ニコール・ガルシア)と共に父のもとを頻繁に訪ねては、父の変化を目の当たりにして無力感にさいなまれていた。仕事と子育てと介護に追われて自分のことはずっと後回しにしてきた彼女だったが、ある日、宇宙物理学の研究をする旧友クレマン(メルビル・プポー)と再会し、知的で優しい彼と過ごすうちに、心がときめいた。会う回数が増え、サンドラは自分の方からクレマンにキスをする。が、それは禁断の恋だった(笑)。
↓予告編
レア・セドゥは1985年生まれの37歳。ボーイッシュなショートカットで、ノーメイクに近いピュアな感じ。シンプルな服装も似合っていてキャリアウーマンらしい。それが濡れ場(笑)になると、セクシー女優に変身。情熱的なキスはどんな男でもイチコロだろう。
日本映画だと不倫ということになってドロドロしてくるが、この映画を見ていると、外でキスしていても周囲は気にしていないし、手をつないで歩いても人目を気にしない。それどころか8歳の娘も、いきなり知らない男が同居してきても全然気にせずに、一緒に食事をしたりしている。男女関係へのつっこみも上手だ。男も女も恋愛至上主義というか、自分の心(感情)のままに行動していて、グズグズして別れられない。そんな男女の心理をうまく描いている。
↓背後に見える大きな絵はオランジュリー美術館にあるモネの「睡蓮」だろう

最初に戻るが、レア・セドゥはピュアで美しい。服で着飾らなくても、化粧をしなくても美しい。みずみずしい裸体はもっと美しい。1か所、裸体をぼかした箇所があるが、まったくもって失礼な話だ。ぼかしたことで、いやらしくなってしまった。

父親の病気がどんどん悪くなって、ドアの鍵さえ開けられない状態に。かつて哲学の教師だったその知性や威厳もなくなり、抜け殻のようになっていて、どんどん父親像が壊れていく。自宅での介護は無理になり、何回も介護施設を移転し、探し回る。高齢化社会、高齢社会のひずみを描きつつ、キャリアウーマンとしての仕事もして、さらに恋愛もする。その強い意志がタイトルの「それでも私は生きていく」なのか。
◇オフィシャルサイト
https://unpfilm.com/soredemo/
今日の
最低気温15.3度、最高気温29.8度。晴れ。

○……友人が日本地図と世界地図が一冊になった分厚い地図を持っていて、ニュースを見たときに場所を確認したり、旅行に行きたい場所を探したりしている。
自分でも欲しくなった。日本地図だけでいいので、「旅に出たくなる日本地図」(帝国書院・2400円)というのを買った。地図の中に名所の写真が埋め込んであり、見るだけで楽しい。これを眺めながら、次に行く旅行先を探したいと思う。

○……長岡市のショッピングモール「リバーサイド千秋」で、高校生が従業員を切り付けるという事件が起きた。3人がケガをしていて、ニュースで流れた。
高校生から包丁をとりあげた男性従業員のほか、60代の女性客や40代の女性も次々に切り付けられケガをしている。普通の高校生が包丁を振り回して、他人に斬りつけるなど、ちょっと想像ができない。いやな世の中になったものだ。
★★★★
9月24日に高田世界館で行われた上越映画鑑賞会の第224回の例会上映は、久しぶりのフランス映画「それでも私は生きていく」。世界的な人気を誇る女優、レア・セドゥのすべてが美しく、冒頭で増村会長が「これは女優を見る映画です」と言ったとおりだった。今年5月に日本で封切られたばかりの作品。

【あらすじ】
シングルマザーのサンドラ(レア・セドゥ)は、夫を亡くした後、通訳の仕事をしながら8歳の娘とパリの小さなアパートで暮らしているシングルマザー。サンドラの父ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)は以前は哲学教師として生徒たちから尊敬されていたが、現在は病によって視力と記憶を失いつつあった。サンドラは母フランソワーズ(ニコール・ガルシア)と共に父のもとを頻繁に訪ねては、父の変化を目の当たりにして無力感にさいなまれていた。仕事と子育てと介護に追われて自分のことはずっと後回しにしてきた彼女だったが、ある日、宇宙物理学の研究をする旧友クレマン(メルビル・プポー)と再会し、知的で優しい彼と過ごすうちに、心がときめいた。会う回数が増え、サンドラは自分の方からクレマンにキスをする。が、それは禁断の恋だった(笑)。
↓予告編
レア・セドゥは1985年生まれの37歳。ボーイッシュなショートカットで、ノーメイクに近いピュアな感じ。シンプルな服装も似合っていてキャリアウーマンらしい。それが濡れ場(笑)になると、セクシー女優に変身。情熱的なキスはどんな男でもイチコロだろう。
日本映画だと不倫ということになってドロドロしてくるが、この映画を見ていると、外でキスしていても周囲は気にしていないし、手をつないで歩いても人目を気にしない。それどころか8歳の娘も、いきなり知らない男が同居してきても全然気にせずに、一緒に食事をしたりしている。男女関係へのつっこみも上手だ。男も女も恋愛至上主義というか、自分の心(感情)のままに行動していて、グズグズして別れられない。そんな男女の心理をうまく描いている。
↓背後に見える大きな絵はオランジュリー美術館にあるモネの「睡蓮」だろう

最初に戻るが、レア・セドゥはピュアで美しい。服で着飾らなくても、化粧をしなくても美しい。みずみずしい裸体はもっと美しい。1か所、裸体をぼかした箇所があるが、まったくもって失礼な話だ。ぼかしたことで、いやらしくなってしまった。

父親の病気がどんどん悪くなって、ドアの鍵さえ開けられない状態に。かつて哲学の教師だったその知性や威厳もなくなり、抜け殻のようになっていて、どんどん父親像が壊れていく。自宅での介護は無理になり、何回も介護施設を移転し、探し回る。高齢化社会、高齢社会のひずみを描きつつ、キャリアウーマンとしての仕事もして、さらに恋愛もする。その強い意志がタイトルの「それでも私は生きていく」なのか。
◇オフィシャルサイト
https://unpfilm.com/soredemo/
今日の足跡
最低気温15.3度、最高気温29.8度。晴れ。

○……友人が日本地図と世界地図が一冊になった分厚い地図を持っていて、ニュースを見たときに場所を確認したり、旅行に行きたい場所を探したりしている。
自分でも欲しくなった。日本地図だけでいいので、「旅に出たくなる日本地図」(帝国書院・2400円)というのを買った。地図の中に名所の写真が埋め込んであり、見るだけで楽しい。これを眺めながら、次に行く旅行先を探したいと思う。

○……長岡市のショッピングモール「リバーサイド千秋」で、高校生が従業員を切り付けるという事件が起きた。3人がケガをしていて、ニュースで流れた。
高校生から包丁をとりあげた男性従業員のほか、60代の女性客や40代の女性も次々に切り付けられケガをしている。普通の高校生が包丁を振り回して、他人に斬りつけるなど、ちょっと想像ができない。いやな世の中になったものだ。
15日21時33分=2023年=
山田洋次監督の最後の作品か?「こんにちは、母さん」
【評】
★5つが最高
★★★★

「寅さんシリーズ」をはじめ、「家族」「幸福の黄色いハンカチ」「キネマの天地」「息子」「学校」などの名作を描いてきた山田洋次監督(91歳)の最後の作品になるのではないかと言われる新作「こんにちは、母さん」を見てきた。よく練られた脚本で、貧困や格差、リストラ、別居や離婚、結婚観の変化、就活、高齢者の孤独といった現代が抱えている問題を含みつつ、昔ながらの下町の風景や人情、暮らしを、笑いや涙とともに描いた人間讃歌である。山田監督の集大成であり、素晴らしい映画だと思う。
山田洋次監督作品としては90本目。吉永小百合(78歳)も123本目の映画で、『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作を締めくくる作品でもある。
映画のロケ地は東京の下町、墨田区。東京スカイツリー、河川敷にある隅田川テラス、隅田川屋形船、隅田川花火大会、水上バスなどが出てくる。どれも行ったことがないので、行ってみたい。田中泯さんが演じるホームレスの男性が東京大空襲の恐怖を大声で叫ぶ橋は「言問橋」だという。神埼福江(吉永小百合)が荻性直文(寺尾聰)と食事をしたレストランは「カフェムルソー」だという。
↓左側が墨田聖書教会

墨田聖書教会というプロテスタントの教会が出てくるので調べてみたら、「墨田区墨田3-19-4」に実在していた。牧師さん(寺尾聰)が、遠野物語が好きで遠野を歩いていたら、畳敷きの教会があったのが牧師になったきっかけだという。「遠野教会」というのが実在しているが……。日本キリスト教団なので、プロテスタント教会である。
↓酸辣湯麺

それにしても、山田監督はお掃除ロボット、デリバリー(酸辣湯麺)、ラジカセ、サザンの「涙のキッス」など、古いものと新しいものを上手に取り入れている。
↓牧師さんと

吉永小百合が牧師さんに恋して、生き生きとして輝く様子をうまく演じているし、今回は「寅さん」と同じで、見事にふられる役である。
↓恋してからふられる役を演じた吉永小百合

田中泯さんが演じるホームレス役が壮絶だ。吉永小百合も、恋するおばあちゃん役を活き活きと演じた。いままでの映画の中で一番いい演技をしたのではないかな。こういう美しい所作、言葉遣いができる人はほかにいない。永野芽郁は可愛くてよかったし、脇役ではYOUの演技が良かった。
脚本は素晴らしいのだが、大企業の部長(大泉洋)の座を投げ出し、リストラされる友人(宮藤官九郎)を救うなんて、実際はありえない。会社の決定に反旗を翻したわけであり、懲戒免職で退職金はゼロ。助けた友人は懲戒免職をまぬがれ、割増金までもらって、関連会社に就職できたのだ。これはちょっとありえない。例えば、上司が女性社員の肩に手を置くのはセクハラだと思う。部長が決済にハンコを押す場面なんかも、今はありえない。全体的に時代錯誤的なところが気になった。
見終わって「ヒットして賞を取れば、続編もあるんじゃないかな」と思った。今度は吉永小百合が北海道へ追いかけていくことになる。公開時には吉永小百合は80歳になる。おそらく、80歳でも可愛らしく美しさはそのままだろう。
映画館を出たら酸辣湯麺とせんべいが食べたくなった。
J-MAXシアターで上映中。
◇公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/konnichiha-kasan/
今日の
最低気温23.7度、最高気温28.9度。午前小雨、午後曇り。
○……最近、周囲でコロナ感染が広がっている。友人など何人も感染している。6回もワクチン接種している人が感染しているので、ワクチン接種はいったい何だったのか。また、感染してから体がだるい、喉が痛い、食欲がないなどの後遺症が1か月も続いている人もいる。
新型コロナが5類に引き下げられて以来、感染者数が急増しているのだ。祭りなど大勢が集まる機会が増えたことも原因の一つだ。オミクロン株の新たな系統、通称エリスの影響もあるとか。ワクチンはエリスにほとんど役立たないようだ。
★5つが最高
★★★★

「寅さんシリーズ」をはじめ、「家族」「幸福の黄色いハンカチ」「キネマの天地」「息子」「学校」などの名作を描いてきた山田洋次監督(91歳)の最後の作品になるのではないかと言われる新作「こんにちは、母さん」を見てきた。よく練られた脚本で、貧困や格差、リストラ、別居や離婚、結婚観の変化、就活、高齢者の孤独といった現代が抱えている問題を含みつつ、昔ながらの下町の風景や人情、暮らしを、笑いや涙とともに描いた人間讃歌である。山田監督の集大成であり、素晴らしい映画だと思う。
山田洋次監督作品としては90本目。吉永小百合(78歳)も123本目の映画で、『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作を締めくくる作品でもある。
映画のロケ地は東京の下町、墨田区。東京スカイツリー、河川敷にある隅田川テラス、隅田川屋形船、隅田川花火大会、水上バスなどが出てくる。どれも行ったことがないので、行ってみたい。田中泯さんが演じるホームレスの男性が東京大空襲の恐怖を大声で叫ぶ橋は「言問橋」だという。神埼福江(吉永小百合)が荻性直文(寺尾聰)と食事をしたレストランは「カフェムルソー」だという。
↓左側が墨田聖書教会

墨田聖書教会というプロテスタントの教会が出てくるので調べてみたら、「墨田区墨田3-19-4」に実在していた。牧師さん(寺尾聰)が、遠野物語が好きで遠野を歩いていたら、畳敷きの教会があったのが牧師になったきっかけだという。「遠野教会」というのが実在しているが……。日本キリスト教団なので、プロテスタント教会である。
↓酸辣湯麺

それにしても、山田監督はお掃除ロボット、デリバリー(酸辣湯麺)、ラジカセ、サザンの「涙のキッス」など、古いものと新しいものを上手に取り入れている。
↓牧師さんと

吉永小百合が牧師さんに恋して、生き生きとして輝く様子をうまく演じているし、今回は「寅さん」と同じで、見事にふられる役である。
↓恋してからふられる役を演じた吉永小百合

田中泯さんが演じるホームレス役が壮絶だ。吉永小百合も、恋するおばあちゃん役を活き活きと演じた。いままでの映画の中で一番いい演技をしたのではないかな。こういう美しい所作、言葉遣いができる人はほかにいない。永野芽郁は可愛くてよかったし、脇役ではYOUの演技が良かった。
脚本は素晴らしいのだが、大企業の部長(大泉洋)の座を投げ出し、リストラされる友人(宮藤官九郎)を救うなんて、実際はありえない。会社の決定に反旗を翻したわけであり、懲戒免職で退職金はゼロ。助けた友人は懲戒免職をまぬがれ、割増金までもらって、関連会社に就職できたのだ。これはちょっとありえない。例えば、上司が女性社員の肩に手を置くのはセクハラだと思う。部長が決済にハンコを押す場面なんかも、今はありえない。全体的に時代錯誤的なところが気になった。
見終わって「ヒットして賞を取れば、続編もあるんじゃないかな」と思った。今度は吉永小百合が北海道へ追いかけていくことになる。公開時には吉永小百合は80歳になる。おそらく、80歳でも可愛らしく美しさはそのままだろう。
映画館を出たら酸辣湯麺とせんべいが食べたくなった。
J-MAXシアターで上映中。
◇公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/konnichiha-kasan/
今日の足跡
最低気温23.7度、最高気温28.9度。午前小雨、午後曇り。
○……最近、周囲でコロナ感染が広がっている。友人など何人も感染している。6回もワクチン接種している人が感染しているので、ワクチン接種はいったい何だったのか。また、感染してから体がだるい、喉が痛い、食欲がないなどの後遺症が1か月も続いている人もいる。
新型コロナが5類に引き下げられて以来、感染者数が急増しているのだ。祭りなど大勢が集まる機会が増えたことも原因の一つだ。オミクロン株の新たな系統、通称エリスの影響もあるとか。ワクチンはエリスにほとんど役立たないようだ。
06日21時56分=2023年=
「男はつらいよ」テレビドラマ版
映画「男はつらいよ」40周年を記念して、2008年に「男はつらいよ」オリジナルテレビ版がDVD化されている。定価は4180円であるが、ヤフオクで格安価格で入手できた。

国民的映画「男はつらいよ」は、1968年(昭和43年)10月から全26回にわたって放送されたテレビドラマが原点。奇跡的に第1話と最終回のフィルムが残っていて、この2話が収録されている。さらに、企画の誕生から成立まで、柴又が舞台に決まるまでの秘話、テーマソングの由来、衣装が決まるまでの話等が、当時を知るスタッフにより明かされる。



↓失恋した寅さん

↓ハブにかまれた寅次郎

第1話は、車寅次郎(渥美清)が、家出して以来、約18年ぶりに故郷柴又に帰ってくるのは一緒で、あのテーマソングも同じだ。配役はおいちゃんは森川信だが、おばちゃんは杉山とく子、そして妹のさくらは長山藍子である。笠智衆の御前様は出てこない変わりに恩師・坪内散歩(東野英治郎)がそれらしき役割を担う。そして、坪内の娘で幼馴染みの冬子(佐藤オリエ)に一目惚れしてしまうも映画と同じだ。佐藤オリエがマドンナの第1号だった。
最終回は冬子に恋人がいることを知り、旅立つ決心をする。3か月後、さくら(長山藍子)とおばちゃん(杉山とく子)がさくらの家で寅次郎の噂をしていると、寅次郎の種違いの弟・雄二郎(佐藤蛾次郎)が神妙な面持ちで訪ねてきた。雄二郎は2人に、寅次郎と一緒にハブ獲りに奄美大島へ行ったことを話し始める。寅次郎はハブで大儲けしようと張り切るが、ハブにかまれて死んでしまう。
これに視聴者から多数の抗議が殺到して映画化につながったという。その映画が48作もつづく国民的映画になるのだから面白い。
寅さんの口上も同じだし、洋服、ダボシャツ、帽子、草履など、服装を決めるまでに随分、手間とお金をかけたようだ。
今日の
最低気温21.6度、最高気温30.5度。曇り、昼頃一時雨。久しぶりにザーッと降った雨だった。雨量は計80mmだった。
○……食堂運営会社「ホーユー」が破産申請中で、学校などの給食が止まっている。新潟県は大丈夫だったが、この会社が運営する食堂は全国に150施設あるそうだ。NHKのニュースでキャスターが「突然連絡がとれない、食事が提供できないというのはあってはならないこと。会社側は丁寧に対応してほしい」とコメント。破産する業者に対応を求めるというコメントはどういう意味なのか。対応できないから倒産するのだ。
民間業者への外部委託を進めてきたのは、給食の安全性よりも、価格やコストを重視してきた結果。日本は資本主義社会なのだから、業者の倒産もありえる。そのリスクも承知の上で委託に踏み切ったのではないか。

国民的映画「男はつらいよ」は、1968年(昭和43年)10月から全26回にわたって放送されたテレビドラマが原点。奇跡的に第1話と最終回のフィルムが残っていて、この2話が収録されている。さらに、企画の誕生から成立まで、柴又が舞台に決まるまでの秘話、テーマソングの由来、衣装が決まるまでの話等が、当時を知るスタッフにより明かされる。



↓失恋した寅さん

↓ハブにかまれた寅次郎

第1話は、車寅次郎(渥美清)が、家出して以来、約18年ぶりに故郷柴又に帰ってくるのは一緒で、あのテーマソングも同じだ。配役はおいちゃんは森川信だが、おばちゃんは杉山とく子、そして妹のさくらは長山藍子である。笠智衆の御前様は出てこない変わりに恩師・坪内散歩(東野英治郎)がそれらしき役割を担う。そして、坪内の娘で幼馴染みの冬子(佐藤オリエ)に一目惚れしてしまうも映画と同じだ。佐藤オリエがマドンナの第1号だった。
最終回は冬子に恋人がいることを知り、旅立つ決心をする。3か月後、さくら(長山藍子)とおばちゃん(杉山とく子)がさくらの家で寅次郎の噂をしていると、寅次郎の種違いの弟・雄二郎(佐藤蛾次郎)が神妙な面持ちで訪ねてきた。雄二郎は2人に、寅次郎と一緒にハブ獲りに奄美大島へ行ったことを話し始める。寅次郎はハブで大儲けしようと張り切るが、ハブにかまれて死んでしまう。
これに視聴者から多数の抗議が殺到して映画化につながったという。その映画が48作もつづく国民的映画になるのだから面白い。
寅さんの口上も同じだし、洋服、ダボシャツ、帽子、草履など、服装を決めるまでに随分、手間とお金をかけたようだ。
今日の足跡
最低気温21.6度、最高気温30.5度。曇り、昼頃一時雨。久しぶりにザーッと降った雨だった。雨量は計80mmだった。
○……食堂運営会社「ホーユー」が破産申請中で、学校などの給食が止まっている。新潟県は大丈夫だったが、この会社が運営する食堂は全国に150施設あるそうだ。NHKのニュースでキャスターが「突然連絡がとれない、食事が提供できないというのはあってはならないこと。会社側は丁寧に対応してほしい」とコメント。破産する業者に対応を求めるというコメントはどういう意味なのか。対応できないから倒産するのだ。
民間業者への外部委託を進めてきたのは、給食の安全性よりも、価格やコストを重視してきた結果。日本は資本主義社会なのだから、業者の倒産もありえる。そのリスクも承知の上で委託に踏み切ったのではないか。
30日20時35分=2023年=
溝口健二監督の名作映画「祇園囃子」
溝口健二監督の名作映画 『祇園囃子(ぎおんばやし)』をAmazon primeで見た。1953年公開だから私が生まれた年の作品である。なぜ、この映画を見返したかというと、先月、徳島の阿波おどりを見に行き、女性のうなじの美しさを再認識したからだ。
↓ポスター

新潟県の佐渡おけさは、編み笠は水平に着ける。阿波おどりは、前方に45度ほど低く傾けて被るので、顔が半分ほど隠れる。反対に目立つのがうなじ。暑い中、汗で濡れたうなじが艶っぽい。アマチュアカメラマンも、顔は良く見えないので、うなじを狙っている人が多い。まさに、阿波おどりはうなじで色っぽさを演出する踊りなのだ。
まずは、阿波おどりのうなじの写真を何枚か並べてみる。


これを見た上で、『祇園囃子』を見ると、主人公の栄子を演じる若尾文子のうなじは白く艷やかで、美しい曲線を描いている。肌も玉のように白い。そして、うなじがきれいに見えるには、首はある程度長くないとだめだ。このとき、若尾文子は20歳。色っぽいけれど可愛らしい。
↓20歳の若尾文子。とても可愛らしい

↓美しい若尾文子のうなじ

この映画は祇園の芸妓の話。祇園の芸妓・美代春(木暮実千代)の屋形に、芸妓をしていた母を亡くした少女・栄子(若尾文子)が舞妓志願に訪れる。栄子の父は美代春の昔からの馴染み客だったが、商売が零落し、細々と暮らしており、栄子の保証人にもならないと言う。しかし、栄子の熱意に負けた美代春は彼女を仕込む決心をした。
祇園の芸妓・美代春(木暮実千代)の屋形に、上七軒で芸妓をしていた母を亡くしたばかりの少女・栄子(若尾文子)が舞妓志願に訪れる。栄子の父は美代春の昔からの馴染み客だったが、メリヤス問屋の商売が零落し、体調もすぐれずに細々とした日々を過ごしている。美代春の使いとして訪れた男衆に向かって、栄子の保証人にはならないと言う。
1年間の舞妓修行を経た栄子は美代栄として見世出しし、車両会社の専務・楠田に見初められる。美代春も楠田の取引先である役所の課長・神崎に好意を抱かれる。だが、美代栄(若尾文子)は強引に迫る楠田を拒んで大けがを負わせてしまい、美代春と美代栄はお茶屋への出入りを止められてしまう。
美代春と美代栄を連れて上京した楠田は、美代春たちには内緒で神崎も呼び寄せていた。宿泊先の旅館で神崎の相手をするように頼まれた美代春は困惑しながらも神崎と対面する。いっぽう、美代栄(若尾文子)は強引に迫る楠田を拒みながら大怪我を負わせてしまう。この事件で美代春と美代栄はお茶屋への出入りを止められ、屋形で侘びしい日々を送っている。
我々には縁のない世界の話だが、役所の課長クラスでも、芸者遊びができる時代だったのだ。
次は川島雄三監督の「女は二度生まれる」(61年)も見てみたい。「祗園囃子」から8年経っているので、若尾文子は28歳である。若尾文子は川島監督から徹底的に磨きあげられたという。艶っぽさと同時に演技にも注目してみたい。
今日の
最低気温23.1度、最高気温35.4度。晴れのち曇り。
↓3色のだんごが串刺しになっている「坊っちゃんだんご」

○……道後温泉で買ってきた土産「坊っちゃんだんご」を賞味期限になる前に食べてみた。老舗「白鷺堂」のものが有名だが、売っていなかった。別の菓子店のものである。味の比較はできないが、とてもおいしかった。
「坊っちゃん」の中に「二皿食べて七銭払った」と登場するつぼや菓子舗の「湯晒(ゆざらし)団子も欲しかったが、朝早くでかけたため、土産店が開いておらず、手に入らなかった。
↓ポスター

新潟県の佐渡おけさは、編み笠は水平に着ける。阿波おどりは、前方に45度ほど低く傾けて被るので、顔が半分ほど隠れる。反対に目立つのがうなじ。暑い中、汗で濡れたうなじが艶っぽい。アマチュアカメラマンも、顔は良く見えないので、うなじを狙っている人が多い。まさに、阿波おどりはうなじで色っぽさを演出する踊りなのだ。
まずは、阿波おどりのうなじの写真を何枚か並べてみる。


これを見た上で、『祇園囃子』を見ると、主人公の栄子を演じる若尾文子のうなじは白く艷やかで、美しい曲線を描いている。肌も玉のように白い。そして、うなじがきれいに見えるには、首はある程度長くないとだめだ。このとき、若尾文子は20歳。色っぽいけれど可愛らしい。
↓20歳の若尾文子。とても可愛らしい

↓美しい若尾文子のうなじ

この映画は祇園の芸妓の話。祇園の芸妓・美代春(木暮実千代)の屋形に、芸妓をしていた母を亡くした少女・栄子(若尾文子)が舞妓志願に訪れる。栄子の父は美代春の昔からの馴染み客だったが、商売が零落し、細々と暮らしており、栄子の保証人にもならないと言う。しかし、栄子の熱意に負けた美代春は彼女を仕込む決心をした。
祇園の芸妓・美代春(木暮実千代)の屋形に、上七軒で芸妓をしていた母を亡くしたばかりの少女・栄子(若尾文子)が舞妓志願に訪れる。栄子の父は美代春の昔からの馴染み客だったが、メリヤス問屋の商売が零落し、体調もすぐれずに細々とした日々を過ごしている。美代春の使いとして訪れた男衆に向かって、栄子の保証人にはならないと言う。
1年間の舞妓修行を経た栄子は美代栄として見世出しし、車両会社の専務・楠田に見初められる。美代春も楠田の取引先である役所の課長・神崎に好意を抱かれる。だが、美代栄(若尾文子)は強引に迫る楠田を拒んで大けがを負わせてしまい、美代春と美代栄はお茶屋への出入りを止められてしまう。
美代春と美代栄を連れて上京した楠田は、美代春たちには内緒で神崎も呼び寄せていた。宿泊先の旅館で神崎の相手をするように頼まれた美代春は困惑しながらも神崎と対面する。いっぽう、美代栄(若尾文子)は強引に迫る楠田を拒みながら大怪我を負わせてしまう。この事件で美代春と美代栄はお茶屋への出入りを止められ、屋形で侘びしい日々を送っている。
我々には縁のない世界の話だが、役所の課長クラスでも、芸者遊びができる時代だったのだ。
次は川島雄三監督の「女は二度生まれる」(61年)も見てみたい。「祗園囃子」から8年経っているので、若尾文子は28歳である。若尾文子は川島監督から徹底的に磨きあげられたという。艶っぽさと同時に演技にも注目してみたい。
今日の足跡
最低気温23.1度、最高気温35.4度。晴れのち曇り。
↓3色のだんごが串刺しになっている「坊っちゃんだんご」

○……道後温泉で買ってきた土産「坊っちゃんだんご」を賞味期限になる前に食べてみた。老舗「白鷺堂」のものが有名だが、売っていなかった。別の菓子店のものである。味の比較はできないが、とてもおいしかった。
「坊っちゃん」の中に「二皿食べて七銭払った」と登場するつぼや菓子舗の「湯晒(ゆざらし)団子も欲しかったが、朝早くでかけたため、土産店が開いておらず、手に入らなかった。
01日22時05分=2023年=
上越映画鑑賞会の例会上映「夜を走る」
↓予告編
この作品は「郊外の鉄屑工場で働くふたりの男、不器用な秋元と奔放な谷口を中心に、無情な社会の中で生きる人々のゼツオブと再生を描いた群像劇です」と書いてあったが、なんだかよく分からない映画だった。7月30日の上越映画鑑賞会の例会上映で見た。

ただ一つ、印象に残ったのは、普通に暮らしていた人がちょっとしたきっかけで人生を脱線していまうことの怖さである。谷口と秋本の2人は、は会社に営業に来た若い女性に、街で偶然に会ってナンパ目的で居酒屋へ行く。秋本はLINE交換しようとするが、女性は「ごめん、バッテリーが切れた」とあしらわれる(これをすぐうそだと見破れなかったのが誤算)。それがきっかけで秋本は衝動的に女性を殺害し、いつもなぶられている会社の専務に罪をなすりつけようとするのだ。


死体処理は怪しい中国人へとたらい回しにされ、もはや修復できないほどぶっ壊れていく。危うい均衡を保っている日常生活は、こんなにも簡単に狂気の生活に陥っていくのだ。
今日の
最低気温25.6度、最高気温33.9度。曇りのち晴れ。

○……「朝コメ」こと、コメダ珈琲のモーニングセットを初めて食べた。毎朝、開店から午前11時までのサービスだ。ドリンクを頼むと、2種類のパンから1つ、ゆで卵やおぐら餡など3種類の具(?)から1つ、トッピング1つがコーヒーにつく。一番安いドリンクなら、ブレンドコーヒーか、アイスコーヒーで、460円である。朝食にはちょうど良い量だ。11時ぎりぎりなら、昼食にもなる。
この作品は「郊外の鉄屑工場で働くふたりの男、不器用な秋元と奔放な谷口を中心に、無情な社会の中で生きる人々のゼツオブと再生を描いた群像劇です」と書いてあったが、なんだかよく分からない映画だった。7月30日の上越映画鑑賞会の例会上映で見た。

ただ一つ、印象に残ったのは、普通に暮らしていた人がちょっとしたきっかけで人生を脱線していまうことの怖さである。谷口と秋本の2人は、は会社に営業に来た若い女性に、街で偶然に会ってナンパ目的で居酒屋へ行く。秋本はLINE交換しようとするが、女性は「ごめん、バッテリーが切れた」とあしらわれる(これをすぐうそだと見破れなかったのが誤算)。それがきっかけで秋本は衝動的に女性を殺害し、いつもなぶられている会社の専務に罪をなすりつけようとするのだ。


死体処理は怪しい中国人へとたらい回しにされ、もはや修復できないほどぶっ壊れていく。危うい均衡を保っている日常生活は、こんなにも簡単に狂気の生活に陥っていくのだ。
今日の足跡
最低気温25.6度、最高気温33.9度。曇りのち晴れ。

○……「朝コメ」こと、コメダ珈琲のモーニングセットを初めて食べた。毎朝、開店から午前11時までのサービスだ。ドリンクを頼むと、2種類のパンから1つ、ゆで卵やおぐら餡など3種類の具(?)から1つ、トッピング1つがコーヒーにつく。一番安いドリンクなら、ブレンドコーヒーか、アイスコーヒーで、460円である。朝食にはちょうど良い量だ。11時ぎりぎりなら、昼食にもなる。
31日22時20分=2023年=
モンゴルの映画「セールスガールの考現学」
【評】★5つが最高、☆は半分
★★★☆
↓予告編

おそらくモンゴル映画を見るのは初めて。モンゴルというと経済は中国に依存し、中国から暴力や性暴力、殺害を含めた厳しい弾圧が行われているイメージと、大相撲の活躍、そして砂漠と大草原の国……しか知らない。大都会のウランバートルを舞台にしたおしゃれな現代映画であった。
この映画を見て、モンゴルのイメージが360度ひっくり返った。“性”をタブー視し、まだ人前では隠すものであるという風潮が根強いモンゴルである。主演のサロール(新人のエンフトール・オィドブジャムツ)は、モンゴルの首都ウランバートルで家族と暮らしながら大学で原子工学を学んでいる。異性の友だちはいるが、お互いに求め合わない。サロールは静かで素朴な子で美人ではないが、昔の酒井和歌子(?)か、広瀬すずタイプ。音楽が好きでヘッドフォンを頭にいつも付けている。絵も上手。いわゆるリケジョだが、だんだん垢抜けていく。
ある日、友達がバナナの皮で滑って骨折したことで、治るまでの代役として、怪しげな半地下のアダルトグッズショップで働くことになったサロール。人生経験豊富な女性オーナーのカティアが営む店には大人のオモチャが所狭しと並んでおり、毎日色々なタイプの客たちがやって来る。バイアグラを売ったり、グッズの配達もする。サロールはカティアや客たちとの交流を通して、自分らしく生きることの大切さを学んでいく。「性」だってもちろんだ。


店の名は「SEXショップ」。いろいろな客がいて面白いが、サロールは幼い顔をしている割には人間洞察が鋭い。「頼まれて買いに来た」と言いながら、「サイズが大きすぎる」とか言う客をてんで信じない。客にからかわれても動じない。援助交際を持ちかける男もうまくかわす。化粧をするようになると、垢抜けてきてけっこうな美人だ。
↓お色気たっぷりの女性に成長

網タイツを履くとお色気たっぷりの女性に変身するし、裸もいとわず、淡々と演技をする。最後は赤いマフラーで街を闊歩する都会の女になっていく。
蛇足だが、モンゴルにもロックバンドがあって、いい演奏をしていた。サロールが人生訓みたいな深いことを言うが、なかなか素晴らしい。メモしておきたかった。
最後の「天井にピュ」には笑った。若い頃は勢いがある。この映画は青春映画であるが、決してエロ映画でない。
今日の
最低気温25.5度、最高気温33.9度。曇り。

○……友人から黒姫の小林農園の焼きトウモロコシをいただいた。今シーズンの営業は始まったばかりのようだ。
トウモロコシはすごく甘くて、みずみずしく、おいしかった。今季の初物だ。
★★★☆
↓予告編

おそらくモンゴル映画を見るのは初めて。モンゴルというと経済は中国に依存し、中国から暴力や性暴力、殺害を含めた厳しい弾圧が行われているイメージと、大相撲の活躍、そして砂漠と大草原の国……しか知らない。大都会のウランバートルを舞台にしたおしゃれな現代映画であった。
この映画を見て、モンゴルのイメージが360度ひっくり返った。“性”をタブー視し、まだ人前では隠すものであるという風潮が根強いモンゴルである。主演のサロール(新人のエンフトール・オィドブジャムツ)は、モンゴルの首都ウランバートルで家族と暮らしながら大学で原子工学を学んでいる。異性の友だちはいるが、お互いに求め合わない。サロールは静かで素朴な子で美人ではないが、昔の酒井和歌子(?)か、広瀬すずタイプ。音楽が好きでヘッドフォンを頭にいつも付けている。絵も上手。いわゆるリケジョだが、だんだん垢抜けていく。
ある日、友達がバナナの皮で滑って骨折したことで、治るまでの代役として、怪しげな半地下のアダルトグッズショップで働くことになったサロール。人生経験豊富な女性オーナーのカティアが営む店には大人のオモチャが所狭しと並んでおり、毎日色々なタイプの客たちがやって来る。バイアグラを売ったり、グッズの配達もする。サロールはカティアや客たちとの交流を通して、自分らしく生きることの大切さを学んでいく。「性」だってもちろんだ。


店の名は「SEXショップ」。いろいろな客がいて面白いが、サロールは幼い顔をしている割には人間洞察が鋭い。「頼まれて買いに来た」と言いながら、「サイズが大きすぎる」とか言う客をてんで信じない。客にからかわれても動じない。援助交際を持ちかける男もうまくかわす。化粧をするようになると、垢抜けてきてけっこうな美人だ。
↓お色気たっぷりの女性に成長

網タイツを履くとお色気たっぷりの女性に変身するし、裸もいとわず、淡々と演技をする。最後は赤いマフラーで街を闊歩する都会の女になっていく。
蛇足だが、モンゴルにもロックバンドがあって、いい演奏をしていた。サロールが人生訓みたいな深いことを言うが、なかなか素晴らしい。メモしておきたかった。
最後の「天井にピュ」には笑った。若い頃は勢いがある。この映画は青春映画であるが、決してエロ映画でない。
今日の足跡
最低気温25.5度、最高気温33.9度。曇り。

○……友人から黒姫の小林農園の焼きトウモロコシをいただいた。今シーズンの営業は始まったばかりのようだ。
トウモロコシはすごく甘くて、みずみずしく、おいしかった。今季の初物だ。
30日21時51分=2023年=
上田市のレトロな映画館「上田映劇」
長野県上田市で100年の歴史を誇る映画館「上田映劇」で映画を見てきた。上田市役所から近く、上田城址公園や上田駅からも近い場所。街なかなので、無料駐車場はない。
↓レトロな外観の上田映劇

↓入り口に看板が

公式サイトによると、明治時代には末広座という芝居小屋があり、そこに大正6年に建てられたのが上田映劇の前身の「上田劇場」。天井は格天井と呼ばれ、関東大震災で焼けてしまう前の帝国劇場と同じつくりをしている。その天井は、今も残っている。
↓ホール内

↓格天井。高田世界館に似ている

上田劇場は昭和に入り映画が中心に上映されるようになると「上田映画劇場」と名称を変え、現在の「上田映劇」となった。だが、上田映劇は2011年(平成23年)4月をもって定期上映を終了した。しかし、劇場の復活を願った市民によって「上田映劇再起動プロジェクト」が2018年にスタートし、創立100周年を記念し、約6年ぶりとなる定期上映を再開しという。
大泉洋主演による映画『青天の霹靂』(2014年公開)の撮影が行われ、昭和40年代にタイムスリップした主人公が拠点とする「雷門ホール」の看板がそのまま残されているという(このブログを書くのに調べて知った。残念)。まさに、映画の町を象徴する映画館になっている。
↓「晴天の霹靂」の撮影で浅草の雰囲気満点に衣替え(上田映劇のHPより拝借)

さて、ここで何の映画を見たかというと、モンゴルの映画「セールス・ガールの考現学」。モンゴル映画は初めてかも。なんだか、エロチックなポスターなので不思議な感じ。映画の感想は後日。
今日の
最低気温25.3度、最高気温34.4度。晴れ。連日猛暑が続く。
○……今日NHKで、日本最大級のトレイルランニングレース「ウルトラトレイルマラソンフジ」の放送があった。なんと100マイル(160km)の超ウルトラマラソンを、富士山周辺を巡るトレイルコースを使う過酷なレース。話には聞いていたが、その実態をテレビで見るのは初めて。
↓2400人が一斉スタート

エイドステーションはわずか9か所。累積標高は7230m。160kmもありながら、トップランナーは1分、1秒も無駄にせず、食事の時間を惜しんで走る。2400人が参加するが、ほとんどの選手が完走が目的。だが、トップランナーは20時間前後で走り切る。
↓トップをずっと譲らずに走るチョウ選手。タイムは19時間35分24秒

スタートは中国のチョウ・ジアジュが、キロ3分30分ペースでいきなり飛び出た。迎え撃つは日本の精鋭、土井や万場、川崎らで、それぞれの作戦を持って追う。
↓1位のチョウ・ジアジュ

↓2位の川崎

↓女子1位のシャン・フージャオは2時間14分51秒

制限時間が迫り、坂は四つんばいになって上り、下りは尻ですべって進む。何度も倒れて座り込みながらもゴールを目指す女性ランナーの姿に胸を打たれた。
↓斜面を尻ですべって進む女性ランナー。ギリギリの闘いだ。

↓レトロな外観の上田映劇

↓入り口に看板が

公式サイトによると、明治時代には末広座という芝居小屋があり、そこに大正6年に建てられたのが上田映劇の前身の「上田劇場」。天井は格天井と呼ばれ、関東大震災で焼けてしまう前の帝国劇場と同じつくりをしている。その天井は、今も残っている。
↓ホール内

↓格天井。高田世界館に似ている

上田劇場は昭和に入り映画が中心に上映されるようになると「上田映画劇場」と名称を変え、現在の「上田映劇」となった。だが、上田映劇は2011年(平成23年)4月をもって定期上映を終了した。しかし、劇場の復活を願った市民によって「上田映劇再起動プロジェクト」が2018年にスタートし、創立100周年を記念し、約6年ぶりとなる定期上映を再開しという。
大泉洋主演による映画『青天の霹靂』(2014年公開)の撮影が行われ、昭和40年代にタイムスリップした主人公が拠点とする「雷門ホール」の看板がそのまま残されているという(このブログを書くのに調べて知った。残念)。まさに、映画の町を象徴する映画館になっている。
↓「晴天の霹靂」の撮影で浅草の雰囲気満点に衣替え(上田映劇のHPより拝借)

さて、ここで何の映画を見たかというと、モンゴルの映画「セールス・ガールの考現学」。モンゴル映画は初めてかも。なんだか、エロチックなポスターなので不思議な感じ。映画の感想は後日。
今日の足跡
最低気温25.3度、最高気温34.4度。晴れ。連日猛暑が続く。
○……今日NHKで、日本最大級のトレイルランニングレース「ウルトラトレイルマラソンフジ」の放送があった。なんと100マイル(160km)の超ウルトラマラソンを、富士山周辺を巡るトレイルコースを使う過酷なレース。話には聞いていたが、その実態をテレビで見るのは初めて。
↓2400人が一斉スタート

エイドステーションはわずか9か所。累積標高は7230m。160kmもありながら、トップランナーは1分、1秒も無駄にせず、食事の時間を惜しんで走る。2400人が参加するが、ほとんどの選手が完走が目的。だが、トップランナーは20時間前後で走り切る。
↓トップをずっと譲らずに走るチョウ選手。タイムは19時間35分24秒

スタートは中国のチョウ・ジアジュが、キロ3分30分ペースでいきなり飛び出た。迎え撃つは日本の精鋭、土井や万場、川崎らで、それぞれの作戦を持って追う。
↓1位のチョウ・ジアジュ

↓2位の川崎

↓女子1位のシャン・フージャオは2時間14分51秒

制限時間が迫り、坂は四つんばいになって上り、下りは尻ですべって進む。何度も倒れて座り込みながらもゴールを目指す女性ランナーの姿に胸を打たれた。
↓斜面を尻ですべって進む女性ランナー。ギリギリの闘いだ。
