10日23時33分=2017年=
村上春樹「騎士団長殺し」第1部読む
今日は丸一日「読書の日」

発売日の2月25日に買ったのに、1日20ページほどしか読めなくて、筋書きも良く分からなくなってしまっていた。ずいぶん評判が良い村上春樹著の「騎士団長殺し」である。今日は休みで、何の用事もなく、家人もいない。丸一日、読書に充てることに決めていた。
細切れに少しずつ読み進めていたが、頭の記憶も細切れになってしまったので、思い切って、最初から読み直した。午前中3時間、午後からも3時間読み、ようやく第1部507ページを読み終えた。
村上春樹の小説を読むときはいつもそうしているが、小説に出てくる曲や、同じジャンルをレコードでかけながら、コーヒーを飲み、携帯電話をマナーモードにして読む。こんなリラックスした環境で本を読むのが極上の楽しみだ。
彼の小説には音楽がつきものだが、今回の小説はほとんどクラシック音楽だ。オペラ曲は持っていないので残念だが、小説の中で出てくるシューベルトの減額四重奏や、モーツァルトの「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」は持っていたので、かけながら読んだ。ジャズの曲もあり、MJQの「ピラミッド」や、セロニアス・モンクの「モンクス・ミュージック」もかけた。
1部前半はミステリー仕立て
さて、第1部の印象。前半はミステリー小説のようだと思った。ミステリー仕立ての構成が、話をぐいぐい引っ張っていく。
主人公の「私」は36歳の画家。依頼された肖像画を書いて生計を立てている。私と妻(柚)は6回目の結婚記念日間近の日、妻が「とても悪いと思うけど、あなたと一緒に暮らすことはこれ以上できそうにない」と突然に別れを切り出した。妻には愛人がいた。結婚生活をいったん解消した。
私は自分からマンションを出て行くことに決め、車に荷物を積み、一人で北海道に向かった。1か月半の放浪生活の後、東京に戻った。肖像画とは縁を切った。住む家がなく、美大の友人、雨田政彦に電話したところ、父が養護施設に入ることになり、空き家になっているという。その父とは高名な日本画家、雨田具彦である。雨田の紹介で、小田原駅前のカルチャースクールで、成人と子供に絵の指導のアルバイトを始めた。
私は雨田具彦が住んでいた家に暮らし、蔵書やレコードを聞くうち、ウィーンへの留学を機に洋画家から日本画家に転向し、成功した彼の人生に興味を抱くようになる。越して数か月経った頃、天井裏で1枚の絵を発見する。雨田具彦の絵で、飛鳥時代の果たし合いを描いており、若い男が剣で年老いた男の胸を突き刺している。絵には「騎士団長殺し」という札が付いていた。モーツアルトのオペラ、「ドン・ジョヴァンニ」の冒頭に「騎士団長殺し」のシーンがあることに気付く。絵は、そのシーンを飛鳥時代に置き換えて描いたのだ。
ある日、法外な報酬で肖像画を描いてほしいとの依頼がある。家の斜向かいの大きな家に住む免色渉という男だ。以前、IT関係の会社を経営していたが、会社の株を売って若くして引退した。「肖像画という制約を意識しないで、私を自由に描いていただきたい」と希望を述べる。
ある日、免色は打ち明け話をする。15年前ほどに一人の女性と交際していたが、突然音信が途絶えた。その2か月後、彼女は結婚し、9か月後に女児を出産した。彼女はスズメバチに刺され7年前に死んだという。そして、彼女の死後に送られてきた手紙から、免色は「その子供は、ひょっとしたら私の子供かもしれない」と確信したというのだ。
弁護士事務所に依頼して調べた結果、彼女の結婚相手は不動産業者。女の子の名前は中学1年生の「秋川まりえ」と分かった。肖像画は完成し、免色は「この絵には私がそのまま表現されている」と賛美し、持ち帰った。
ここまで読み進み、まるでミステリーのような展開に驚いた。でも面白い。先をどんどん読み進めたい衝動にかられ、トイレに行く時間も惜しんで読んだ。
350ページ前後から超常現象が出現
そのミステリー仕立ての話も、350ページ頃から、突然変わる。怪奇的というか、シュールというか、とにかく超常現象が出てくるので面食らう。
夜中の2時すぎから、鈴の音が聞こえてくるのである。免色は上田秋成の怪異譚「春雨物語」にある「二世の縁」という話を紹介する。“永遠の悟りを開くために自ら死を選び、行きたまま棺に入れられ、埋葬された僧”が打つ鉦(かね)の音と同じ出来事だという。免色が業者を頼んで掘り返してもらったら、石室があり、中から鈴が出てきたが、ほかには何もなかった。
ある日、また鈴の音が聞こえた。鈴を置いてある居間からである。そこには雨田具彦の絵にあった身長60cmの騎士団長がいた。騎士団長は、祠の中の石室の中に閉じ込められていたが、免色のおかげで出ることができたのだ。
村上春樹の小説に超常現象が出てくるとは思わなかった。映画だったら、ここでCGを使わざるを得ない。
さて、これ以上あらすじを書くのはネタバレになる。「騎士団長殺し」の絵には、ウィーンの暗殺未遂事件にからむ重大な秘密があった……。
第2部も一気に読みたいので、どこかでまとまった時間をとりたい。
今日の足跡
最低気温0.3度、最高気温9.4度。曇り、日中は晴れ。
○……今日は一日、家の中で本を読んでいたので、特段書くことはない。昼に本屋さんに行って、頼んでいた本を取ってきたことぐらいかな。

○……妙高市役所1階に金魚の水槽がある。長沢産の金魚で、田町で育った「玉サバ」という種類らしい。田町の茨木さんが寄贈したもののようだ。

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