18日21時22分=2017年=
アカデミー賞受賞の心理サスペンス「セールスマン」
【評】★5つが最高
★★★★

予告編の思わせぶりが強かったせいで、サスペンス色が強いのかと思っていたら、心理ドラマだった。9月2日~15日まで高田世界館で上映した映画「セールスマン」である。第89回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞している。
冒頭からぐいぐい引きずり込む。なんと、住んでいるアパートが崩れそうなり避難する場面から始まる。アパートの横でショベルカーがうなりを上げ、そのせいでおんぼろアパートが傾いたのだ。

主役は教師であり、小さな劇団に所属する夫婦。上演を前にアーサー・ミラー原作の舞台『セールスマンの死』の稽古に忙しい。アパートを追われ、次のアパートに移り住むが、前の住人の荷物が置かれていたりトラブルが絶えない。
舞台の初日の夜、夫エマッド(シャハブ・ホセイニ)が帰宅したと思い込み、鍵を開けてやって、浴室に入った妻ラナ(タラネ・アリドゥスティ)。だが、入ってきたのは夫ではなかった。イランの映画だけに一切その場面は映さないが、逆に恐怖が滲み出ていて見事である。
妻は体だけではなく心に深い傷を負うが、イスラム女性だけに浴室で男に襲われたということを世間に知られたくないのだ。だから、夫は「警察に行こう」というが、拒み続ける。それから、夫婦生活は一変してしまう。
それで、夫は自分で犯人を捕まえるために奔走する。復讐心に燃える夫、いら立ちと動揺を募らせる妻の感情はすれ違い、夫婦間は険悪になっていく。
やがて犯人は、荷物を残したままに取りに来ない前の住人の女性と関係のある男だという事実をつかんだ夫は、現場にあった車から犯人らしき男に行きつく……。
これら映画の中で演じられるアーサー・ミラーの演劇『セールスマンの死』と重ねながら演出していくアスガー・ファルハディ監督の手腕は見事だ。
イランは多文化、多民族国家であり、遠い国の話のようだが、“恥”の文化としては同じ。アパートを借りるのに礼金が必要だったり、隣人の気遣いや親切など、あまり日本と変わらない日常もあった。
妻のラナを演じたタラネ・アリドゥスティは、神秘的な目をした美しい女優だった。
↓公式サイト
http://www.thesalesman.jp/
今日の足跡
最低気温19.7度、最高気温24.4度。曇りときどき雨。ランニングは休み。
↓低い空にかかった虹(午前8時15分頃)

○……午前8時15分頃、妙高市文化ホールの近くから南葉山方面に虹がかかった。低い位置で、ちょうど南葉山に覆いかぶさる感じだった。良く見ると、低い虹の上に、もう一重薄い虹がかかっていて、二重の虹になっている。
○……台風の影響を心配したが、夜中に小雨が降ったぐらいで、風もたいしたことがなく、ほとんど影響がなかった。

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