21日20時59分=2018年=
新潟県が舞台の「ミッドナイト・バス」 監督、出演者が舞台あいさつ
【評】★5つが最高、☆は半分
★★★☆

新潟市や三条市、佐渡市、弥彦村などでロケをした映画「ミッドナイト・バス」が昨日20日から、新潟県内先行公開が始まった。今日は公開2日目だが、竹下昌男監督と、主人公の息子を演じた七瀬公さんの2人が上越市のJ-MAXシアターを訪れ、舞台挨拶した。
J-MAXシアターでの舞台あいさつは、2012年の「この空の花―長岡花火物語」で、大林宣彦監督が来て以来のことだと思う。
ご当地映画は見逃したくないので、18日に前売り券を買って、J-MAXで座席指定券に引き換えておいたので、前よりのど真ん中の席を確保してあった。
舞台あいさつは満席で入れない人も

駐車場は満杯で、ロビーは人でいっぱい。どうやら満席のようで、前売り券を持っていても入れない人がたくさんいた。おそらく、当日の今日ならかなり早めに来ていないと席が確保できなかったらしい。舞台あいさつがない午後の上映回も、まもなく満席になった。
まずはこの映画の第一印象は“長すぎる”。157分である。特に前半部分がだれてしまった。クライマックスがない地味なドラマなので、2時間前後に収めなくてはだめだと思う。
それは別にして、「玄関開けたらサトウのご飯」じゃなかった。川端康成の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」を踏襲したものだろうか。トンネルを抜けると「父」になったり、「男」になったり、揺れる心情を主演の高宮利一を原田泰造が熱演していた。多忙なスケジュールの中、大型自動車免許を取って役に臨むなど、たいしたものだ。離婚した妻・美雪を演じた山本寛斎の娘山本未來もうまかったし、東京の恋人・志穂を演じた小西真奈美はチャーミングだった。主人公の息子を演じた新人の七瀬公、娘を演じた新人の葵わかなも良かった。俳優陣はみんな、素晴らしかったと思う。
協賛スポンサーが前面に出すぎ
原作は全部読んでいないけれど、本と映画では結末が違うようだ。映画は原作と別物であっていいけれど、志穂が店をやめてカーブドッチで働く場面は原作にない。最後は、利一と志穂がよりを戻すような含みを持たせているが、原作は違う。
協賛スポンサーのカーブドッチ・ワイナリーを映画に入れるために、シナリオを書き換えたのだろうか、と疑ってしまう。ホテル大佐渡の場面も同様である。それにしても、岩塚製菓、キリンビール、新潟綜合警備保障、いすゞ、吉乃川など、ちょっと企業広告があからさますぎる。もちろん、新潟日報も。協賛スポンサーが前面に出すぎて、映画自体の評価が下がらないといいのだが。
ストーリーは次の通り(コピペ)。
バツイチ中年男の高宮利一(原田泰造)は、新潟~東京間を走る長距離深夜バスの運転手。東京で定食屋を営む恋人・志穂(小西真奈美)との再婚を考えていた矢先、息子の怜司(七瀬公)が東京での仕事を辞め、帰ってくる。娘の彩菜(葵わかな)は友人とマンガやグッズのウェブショップを立ち上げ、実現しそうな夢と結婚の間で揺れていた。そしてある夜、利一が運転する新潟行きのバスに、16年前に別れた妻・美雪(山本未來)が乗り合わせる。16年の長い時を経て、やるせない現実と人生の不安が、再び、利一と美雪の心を近づける。母の出現に反発する彩菜、動揺する怜司。突然の思いがけない再会をきっかけに、停まっていた家族の時間が、また動き出す──。
↓予告編
県内でのロケ
↓萬代橋の場面

撮影はほぼ県内で行われた。冒頭シーンに出てくるのはカレーで有名な万代シテイバスセンター。志穂が東京から高速バスを降りる場面や、美雪が体調を崩してベンチに座り込むシーンなどに使われた。萬代橋は利一が美雪と待ち合わせる。信濃川を望むホテルオークラ新潟は、彩菜の恋人との会食シーンで撮影されている。
志穂が営む東京の小料理屋「居古井」も、新潟市で撮影したという。ほかに、三条市の白鳥の郷公苑、弥彦神社などで撮影された。まさに「ご当地映画」だが、上越地域での撮影がなかったのが残念だ。
舞台あいさつで裏話も
↓右が竹下監督、その隣が七瀬公さん

映画の上映後に舞台あいさつが20分間行われた。撮影禁止なのでがっかりしていたら、最後の方で「SNSで発信してほしい」と数分間のみ、撮影が許可になった。会場が暗くて良く撮れなかったけれど。
竹下昌男監督はスーツにノーネクタイ。主人公の息子を演じた七瀬公さんはスーツに細身の黒っぽいネクタイをして登場。司会者の質問に答える形でのトークショーとなった。
昨日は新潟、長岡、三条で舞台あいさつをしたそうだが、すべて満席だったという。昨日1日で約5000人が鑑賞したらしい。
奈良出身で東京在住の七瀬さんは、撮影を振り返って「初日が三条の雪景色、白鳥の郷公苑の白鳥と、きれいな白いものをたくさん見たなという印象」。
監督は白鳥の郷公苑について「白鳥は徐々にいなくなるので、3月初旬に撮り始めた。白鳥は300羽ぐらいいた。長い竿の先にマイクを付けて録音するが、白鳥は長いものに反応してしまう。半分ぐらいしか撮れていないのに、白鳥が全部飛び立っていなくなった。ようやく5日目に戻ってきたので、朝すぐに言って撮り直した」と裏話を披露した。
おじいちゃんの家に行って、ビワ茶を作るためにビワの葉を摘むシーンの話。監督は「芝居がうまくいかず、どんどん葉っぱがなくなっていく。なくなるよ、ちゃんとやれ、と言ったときが、実は撮影中に七瀬が一番落ち込んだ日だった」。
柴犬の「おいで」について。七瀬さんは「小西さんは犬アレルギー。じゃれてたら監督が来て“その手で絶対小西さんに触わんなよ”って」。監督は「上手に撮っているが、実際は1回も触っていない」という。「犬のおいでは、ロケハンで入ったショットバーの看板犬。原作ではお店の中に三上という男が出てくるが、キャスティングがうまくいかない。“じゃあ、犬にしてしまえ”というわけ」と楽屋裏を披露。「小西さんは犬アレルギーだが、犬が嫌いなわけじゃなく、触らなければいい」という。
一番苦労したのは「撮影期間が実数で25日ぐらい。原田泰造は週にレギュラーを7本も8本も抱えていて、その中でやらなくてはいけなかったので厳しかった」と話していた。
最後に原作者の伊吹有喜さんから「新潟の人とぬくもりと、風土の豊かさに魅せられて生まれたミッドナイトバス。これからもよろしくお願いします」というメッセージが読み上げられた。
↓公式サイト
http://midnightbus-movie.jp/
今日の足跡
最低気温1.1度、最高気温10.2度。晴れのち雨。
○……午後から天気が急変。強い雨になった。これから天気は下り坂だ。上越市高田の積雪が15cmまで減った。

○……レジャーの多様化でスキー場の人気はないと思っていたら、兵庫県の峰山高原リゾートは、ファミリー向けに特化し、人気が復活しているらしい。テレビでやっていたが、なんと、70%が初心者コースである。その流れからいうと、ロッテアライリゾートは時代の潮流とズレている?

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