19日20時52分=2018年=
ワイン造りに挑む若者描く映画「ウスケボーイズ」
【評】★5つが最高、☆は半分
★★★☆

↓予告編
J=MAXシアターで鑑賞。22日で上映終了。話の舞台は1993年の山梨・甲府。山梨大醸造学の大学院で出会った岡村(渡辺大=渡辺謙の息子)、城山(出合正幸)、上村(竹島由夏)、高山(内野謙太)の4人は、「ワイン友の会」を作って、ワインについての蘊蓄を語りながら飲むことを無上の楽しみにしていた。テイスティングでのワインの味や香りについての評価や知識はなかなかのものである。
このメンバーのうち、高山の実家は長野のワイナリーだが、甘いフルーツワインを作っていて、その跡継ぎである。本格的なワインを作りたいと言うが、メンバーはフランスのワインにかなうわけがないと口をそろえる。
そこで、ためしに日本とフランスのワインを4本ずつ、銘柄を隠して飲み比べすることになった。その結果、下位3本は日本のワインだったが、2位は国産の「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー」だった。麻井宇介という人が生んだワインだということを知る。高山は日本にも世界に通用するワインがあることで自信を持つ。
↓麻井宇介を演じた橋爪功

2年後、メンバーは別々の道に進んでいた。ある日、彼らは人の紹介で、麻井宇介と会う機会を持った。麻井宇介を演じた橋爪功の演技力にもよるが、この場面がすごくいい。
なんと、麻井が持参したのはワインではなく、日本の焼酎の一升瓶。「ワインを知るにはワインだけではだめなんですよ」というのがその真意。「ただ単にフランスやイタリアのまねをしてコピーを作っても尊敬されない。でも日本の酒には敬意を表する。その先は人の問題」だという。
さらには、先生を囲んでのテイスティングでは、彼らが蘊蓄を総動員して、ワインを評価する。麻井は「どうして否定的なコメントばかりいうのか。どんなワインにも良いところがある」という。
メンバーは自らブドウを育て、ワインを作りたいと願い、歩み始める。
岡村は会社を辞め、妻と引っ越す。上村も会社を辞め、ブドウ栽培に精を出していたが、岡村から従業員扱いされ、ショックで去っていった。さらに妻も去って行った。
城山はブドウ農家の娘と結婚。ワインを作りたいという夢を妻や義父母に訴え、実現に動き出す。高山は実家に戻り、ブドウ栽培から始めるワイン造りに乗り出す。
この先は、映画を見ていただきたいが、印象的だったのが麻井宇介を演じた橋爪功のセリフに、「失敗は共有してやっていかなければ、時間が無駄になってしまう」というのがあった。ワイン用ブドウを作れることになり、喜び勇んだ高山が、畑すべてにピノ・ノワールを発注してしまう。麻井はピノ・ノワールは日本の風土に適さないことを諭し、ほかの品種に替えることを忠言するのだ。
上越市の岩の原葡萄園を開いた川上善兵衛を思い出さずにいられない。勝海舟の勧めで、雪深い越後の地でブドウ栽培とワインの醸造を決意したのが1890年。この映画の約100年前だ。
善兵衛は、欧米から500種以上のブドウの苗木を輸入し、栽培実験をしたが、すべて雪国の風土に適さなかった。そのために、30年を費やした。「失敗は共有してやっていかなければ、時間が無駄になってしまう」というのがこれだ。善兵衛は50歳になって、亡くなるまでの人生の後半20年をかけて、品種改良に取り組む。その結果、1100種類もの品種を生み出したのだ。その中でも、代表的な品種が、マスカット・ベーリーAなのだ。
「ウスケボーイズ」こと、4人の若者のモデルは次の通り。ぜひ、ワイナリーを訪れてみたい。しかし、中でも「ボー・ペイサージュ」のワインは高価な上、入手が超困難らしい。酸化防止剤無添加、アルコール発酵を促す補糖もしていないという。「kidoワイナリー」は、見学を受けていないようだ。店頭販売はしておらず、販売は11月25日から抽選での販売だけだという。「小布施ワイナリー」も1組1本の販売だという。
「桔梗ヶ原メルロー」を生んだシャトーメルシャンにも行ってみたい。山梨県甲州市勝沼町か。ちょっと遠いな。
◇岡村を演じた渡辺大のワイナリーのモデルは、山梨県北杜市の「ボー・ペイサージュ」の岡本英史。
◇城山を演じた出合正幸のモデルは、「kidoワイナリー」(長野県塩尻市宗賀)の城戸亜紀人さん。
◇高山を演じた内野謙太のモデルは「小布施ワイナリー」(長野県小布施町)の曽我彰彦さん
◇上村を演じた竹島由夏のモデルは「丸藤葡萄酒」(山梨県甲州市)の醸造家、安藤さん
◇公式サイト
http://usukeboys.jp/
今日の足跡
最低気温10.0度、最高気温14.8度。曇り。
○……テレビでやってたけれど、信号待ちの時間を短縮するためにコンビニの駐車場をショートカットすることを「コンビニワープ」と言うそうだ。駐車場に入ってくる車両は徐行運転しているが、コンビニワープの車両は運転手が急いでいることもあり、それほどスピードを落としていないので危険だという。
コンビニ側の意思に反して駐車場に入ってきているので、建造物侵入罪が成立し得る。コンビニを利用しようとして、「やっぱりやめた」という場合もあり、難しい点もあるけれど。
最近はコンビニの駐車場が広くなったので、コンビニワープの車を見かけることが多い。コンビニを利用する際は、コンビニワープの車も想定して駐車場内を気を付けて歩いた方がいいのかも。

↑ランキングに参加しています。クリックをお願いします
- 関連記事
-
- クイーンが再来したような「ボヘミアン・ラプソディ」 (2018/12/07)
- 樹木希林の最後の姿刻む「日日是好日」 (2018/12/04)
- ワイン造りに挑む若者描く映画「ウスケボーイズ」 (2018/11/19)
- 面白いサメ映画「MEG ザ・モンスター/THE MEG」 (2018/11/17)
- 最高に怖くて面白い映画「クワイエット・プレイス」 (2018/11/08)
スポンサーサイト