01日21時18分=2019年=
原作を改悪?映画「ビブリア古書堂の事件手帖」
【評】★5つが最高
★★★

昨年11月1日に劇場公開した「ビブリア古書堂の事件手帖」は、いろいろと忙しい時期だったで、見逃してしまった。遅ればせながら、DVDで鑑賞。
↓原作

この原作も読んだし、2013年に放送したテレビドラマも見た。古書店主の栞子は、ドラマでは剛力彩芽で、映画では黒木華。でも、原作のイメージとはちょっと違う。
さて、この作品は北鎌倉の古書店「ビブリア古書堂」を舞台に、本のことなら何でも知っている女店主(黒木華)とその助手を務めるバイトの青年・大輔(野村周平)が、古書にまつわる事件を解決し・栞子ていく三上延原作の大人気ミステリー・シリーズ。
映画では、第1話の夏目漱石「それから」と、第4話の太宰治「晩年」という2つの話を中心に2話、3話もミックスさせた。2時間に組み立てないといけないので、仕方なかったのかもしれない。原作にほぼ忠実だったテレビドラマと比べると、余計なエピソードを入れすぎで、シナリオは“改悪”とも言える。


大輔の祖母が遺した夏目漱石の漱石全集第8巻「それから」に記されたサインの秘密を解いていく話と、太宰治の希少本「晩年」を巡る猟奇スリラーっぽい展開が組み合わされる。
漱石の「それから」は岩波書店の新書版全集全34巻のうちの第8巻。昭和31年から刊行が始まった。全集の廉価版という位置付けで、何回も増刷され、市場にはたくさん出回っているようだ。古書価格は全巻そろいで5000円前後で手に入る。
太宰の「晩年」は1936年(昭和11年)6月に砂子屋書房から刊行された処女作品集で、「日本の古本屋」のサイトでも手に入らない。アンカットの復刻本が近代文学館から出版されており、1500円前後で手に入る。映画で使ったのは復刻本だろう。

この映画の中で出てくる田川紀久雄のSF「人造人間」は、ネットで37万8000円で出品されていた。
映画の中のセリフで「太宰はネマガリダケとワカメがたっぷり入った若竹汁が好きだった」と言っていた。ネットで調べたら太宰の生まれ故郷の金木で、太宰が好きだった「若たけ汁」を模した「太宰らうめん」というのを出しているようだ。斜陽館の向かいにあるそうだ。
江戸川乱歩は、二人の弟と古本屋を開き、生活が苦しいので夜は支那そば屋をやっていたというエピソードも披露された。
軽自動車と原付バイクのしょぼいカーチェイスは不要。緊迫する場面なのに、ほんとに笑えてしまう。なぜ、わざわざ岸壁まで追いつめられに行ったのか、
映画の脚本はだめだめで、演出も下手だが、原作が好きなので、楽しめた。
↓予告編
今日の足跡
最低気温12.5度、最高気温17.3度。曇り。夜になって小雨。
○……「令和狂騒曲」が早く終わってほしい。日露戦争に勝ったときや、昭和天皇の即位を祝った1928年(昭和3年)に、全国各地でちょうちん行列が行われた。今回もそれと同様の国を挙げての祝賀騒ぎである。反対する声がかき消されるような大騒ぎは危険な兆候だ。マスコミも忖度し、国民の批判の声を拾わない。ちょうちん行列の後は、戦争に向かっていったことを考えると、とても気持ちが悪い。

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