27日22時39分=2019年=
シモネタもある米原万里の痛快エッセイ

夜寝る前には、睡眠薬代わりに軽いエッセイを読むことにしている。エッセイは短いのでどこで眠りについても大丈夫。難しいものより、軽いものの方がいい。それも、できるなら話のネタになるようなものがいい。
先月から米原万里のエッセイを読んでいて、気がついたら6冊も読んでいた。本業はロシア語同時通訳者で、エッセーは余技のようなものだが、これが痛快、奇々怪々。同時通訳のこぼれ話、裏話がおもしろい。
シモネタは万国共通なので、同時通訳者はシモネタに精通しているらしい。だから、シモネタも出てくる。イタリア語通訳の田丸公美子さんも、シモネタの本を出している。
6冊読んだけれど、本来の意味のシモネタは意外に少ない。「ソフトシモネタ」かな。
なお、米原万里さんは2006年に亡くなっている。亡くなってから、多くの著作が発行されているのがすごい。
以下、書き抜き。
・(日本の民謡の合いの手、ホイ、ホイにロシアの人は笑い転げた)「実はホイは、男根を意味するロシア語の響きと非常に似通っている」(ベストエッセイ2)
・日本人が愛してやまないビールとして、好んで注文する「ヱビス」は、ロシア語ではfackの命令形に相当する。(ベストエッセイ2)
・身体の各臓器があるとき会議を開き、退職願を募ることになりました。真っ先にこの身体の各臓器の中で手を上げたのは心臓でした。「私は一生このろくでもない男のためにポンプ運動をやっているけれども、もう、へとへと。そろそろ引退させてちょうだい」と訴えます。他の臓器の麺マンは慌ててこの心臓を止めにかかります。「君に退かれてしまったら、われわれみな一蓮托生ではないか。もう少し、大変だろうけど頑張ってくれたまえ」と、なんとか説得に成功しまして思いとどまります
次に名乗りを上げるのが肺であります。「ああ、もう私たちうんざりだよ。私たちこそ辞めさせていただくわ」と言うと、また他の臓器の面々が揃って「あんた方に辞められると、僕たちそろってお陀仏になっちまう。もう少しみんなのためを思って我慢してくれ」と説得します。次に胃とか腸とか身体の各臓器が希望を出すのですが、どれもみな却下されます。
そのとき、片隅のほうから小さな声が微かに聞こえてまいります。「あのー、僕もうダメなんで引退させていただきたいのですが」。一同は、その声のした方角に向かって「ちょっとキミー、良く聞こえないぞー。大体発言するときぐらいはせめて立って言いたまえ」と避難しますと、この声が答えるに「立てるほどならこんなことは申しません」(ベストエッセイ2)
・中国語ではラブホテルが「色情旅館」なんですって。(ガセネッタ&シモネッタ)
・「こんにちは」ってロシア語で何て言うんですか? そうたずねられることが、わたしにも時々ある。…「実は『ズロース一丁』というのと発音がそっくりなんです」(ガサネッタ&シモネッタ)
今日の足跡
最低気温3.2度、最高気温9.5度。雨のち雪。午後7時過ぎから雪になった。

○……朝ドラの「スカーレット」を見ているが、「おとうちゃん」役の北村一輝がとてもいい。頑固親父でどうしようもないが、人情が厚く、心はとても温かい。北村一輝の演技も素晴らしい。おとうちゃんが亡くなって、すごく残念。

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