17日20時56分=2020年=
常識を覆すビジネス書。佰食屋社長、中村朱美著「売上を、減らそう。」

ここ数年で読んだビジネス書の中では、一番刺激的で画期的な本だった。話題になっている佰食屋社長、中村朱美著の「売上を、減らそう。」である。
「『前年比を更新して、売上を増やしていこう』『そのためには、複数店舗を展開して、仕入コストを安くしていこう』。そう考えるのが、いわゆる一般的な経営者の仕事だと思います。でもわたしは。その仕事を放棄しました。つまり、『売上増』や『多店舗展開』を捨てたのです。」
これは本の最初の方にある言葉だ。『売上増』や『多店舗展開』という一般的な経営者なら目指す方向を捨て、新たな視点での「持続的経営」「つぶれない経営」「客を大事にする経営」「社員を大事にする経営」を目指している。
そんなことは可能なのか。読み進めていくと、驚きの連続だ。
店は「10坪14席」と小さい。商品はステーキ丼など3種類だけで、1日100食限定。価格は税別1000円ほど。売り切れたらおしまい。社員は17時~18時に退社してしまう。残業なし。有給100%消化。飲食業界は「3年後の廃業率7割」といわれる厳しい世界。こんなことでやっていけるのか。出店の際、税理士に猛反対されたという。
前提は圧倒的な商品力。つまり、ステーキ丼が圧倒的においしいということだ。そのためには、チェーン店では絶対にできないような手間ひまをかけている。同業他社には絶対に負けない味があり、ライバルに進出の余地を与えないことだ。
さて、100食限定で毎日売り切るため、フードロスはゼロ。冷凍庫すら必要ない。端肉はハンバーグにして販売するが、これも売り切れる。
原価率は、普通は30~40%だが、50%と高い(だから同業他社が近くに店を出さない)。そして人件費は30%を占める。残りで家賃や諸経費を出す。広告費はゼロで、社長自らが広告塔だ。マーケティングや売上分析、経営コンサルタントも必要ない。
つまり、儲けるつもりがなにもない企業なのだ。原価が高く、フードロスがなく、料理はおいしい。社員はゆとりをもって笑顔で働いている。それがすべて。だから、小学生にはステーキを小さく切って出したり、外国人にはみそ汁にスプーンを付けるなどの気配りもできる。
最近は「佰食屋1/2」も出している。1日50食限定で、ずっと低空飛行で、でも絶対につぶれない店。夫婦2人で経営するモデルだという。
これなら、地方でも応用できる。「スープがなくなり次第終了」というラーメン店があるが、このモデルを応用できそうだ。
中村朱美社長の座右の銘は「敵は己の中にあり」だという。まずは常識を疑え。
今日の足跡
最低気温1.5度、最高気温8.0度。曇り一時晴れ。
○……10月に人間ドックを受けて、「白血球増多」の検査結果が来た。それで再検査となった。実はドックの当日、風邪をひき調子が悪かった。当日なのでキャンセルもできず受診した結果、再検査となったのだ。
今日、内科を受診して再度血液検査をした結果「正常」だった。つまり白血球増多は風邪のためだったのだ。風邪のウイルスを退治するため白血球が戦っていたことになる。白血球さん、ありがとう。

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