09日20時47分=2020年=
キネ旬ベスト・テン日本映画1位 「火口のふたり」

今年は、キネ旬のベスト・テンに入った日本映画が上越ではあまり上映されず、上映された映画も見逃した。仕方なく、上越では上映されなかった第1位作品『火口のふたり』をレンタルで借りてきて、見ることにした。荒井晴彦監督は、名脚本家で、多くの映画で脚本賞を受賞している。今回の映画も、見事な脚本である。
まさに現代版「愛のコリーダ」だと思った。現代の若者は、性欲、知識欲、名誉欲の「三欲」がないと言われる。だが、この映画のような終始ほとばしるような性愛のエネルギーを見ていると、救われるような気がする。まるで高度経済成長期のような猛烈な性欲が、美しく描かれている。
おそらく前張りもせずに撮影したのだろうが、あっけらかんと描かれているので、それほどいやらしくない(安藤サクラはどう見たか気にかかる)。


キネ旬ベスト・テンの主演女優賞を受賞した瀧内公美は、服を着ているほうが色っぽいというか、いい女。全裸はとてもきれいだが、逆にいやらしくない。不思議な女優だ。男性ヌード写真で知られる野村佐紀子によるモノクロ写真も美しい。
登場人物は柄本佑と2人だけ、と聞いていたけれど、背景の人物以外は、本当に2人だけ。せりふの量も膨大で、さぞかし大変だっただろう。
東日本大震災から7年目の夏が舞台。登場人物は、離婚、退職、再就職後も会社が倒産し、全てを失った永原賢治(柄本佑)と、以前付き合っていた女性・佐藤直子(瀧内公美)の2人だけ。直子から結婚式に招待され、故郷の秋田に帰った賢治。数年ぶりに再開した2人だが、賢治は直子から「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」という直子の言葉をきっかけに、かつてのように身体を重ね合う。
1日だけだったが、結婚式の直前までずるずるとセックスを続ける。要するに2人のセックスの相性が良く、2人も離れられなくなったのだ。
そして、最後の夜を過ごした2人だったが、思いもよらない事態が起きる。でも駆け落ちや略奪結婚ではない。この展開には度肝を抜かれたが、東日本大震災を見てしまった現代では、不自然ではないのだろう。
↓予告編
キネマ旬報ベスト・テン
【日本映画ベスト・テン】
①『火口のふたり』 荒井晴彦監督
②『半世界』 阪本順治監督
③『宮本から君へ』 真利子哲也監督
④『よこがお』 深田晃司監督
⑤『蜜蜂と遠雷』 石川慶監督
⑥『さよならくちびる』 塩田明彦監督
⑦『ひとよ』 白石和彌監督
⑧『愛がなんだ』 今泉力哉監督
⑨『嵐電』鈴木卓爾監督
⑩『旅のおわり世界のはじまり』黒沢清監督
【外国映画ベスト・テン】
①『ジョーカー』 トッド・フィリップス監督、米
②『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 クエンティン・タランティーノ監督、米
③『アイリッシュマン』 マーティン・スコセッシ監督、米
④『運び屋』 クリント・イーストウッド監督、米
⑤『グリーンブック』 ピーター・ファレリー監督、米
⑥『家族を想うとき』 ケン・ローチ監督、英
⑦『COLD WAR あの歌、2つの心』 パヴェウ・パヴリコフスキ監督、ポーランド
⑧『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン監督、メキシコ
⑨『象は静かに座っている』 フー・ボー監督、中国
⑩『バーニング 劇場版』 イ・チャンドン監督、韓国
今日の足跡
最低気温-0.6度、最高気温3.0度。雪。
○……上越市高田の午前9時の積雪21cm。妙高市新井は50cmほどだと思う。今朝は20cmほど積もっていた。雪はピークを超えた。流雪溝に入れる雪かきは3回目。この雪でスキー場は息を吹き返しただろう。

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