カミュの「ペスト」読む

学生時代にアルベール・カミュの「異邦人」「ペスト」読み、不条理の世界を知った。とても読みづらい文体だけれど、深淵な思想を感じた。サルトルも同時代の人であり、両方とも夢中になって読んだ。



今、新型コロナウイルスの感染拡大で世界中がたいへんな事態を迎えていて、「第３次世界大戦」並みと言われる。感染症と戦争を一緒にしてはまずいのだが、フランスのマクロン大統領は「我々は（ウイルスとの）戦争状態にある」と何度も強調している。

本棚を探していたら、偶然、学生時代に読んだ「ペスト」（新潮文庫）を見つけたので、読み始めた。「異邦人」が個人の不条理を描いており、「ペスト」は集団の不条理を描いている。テーマは同じなのだ。

読み始めると11日、NHKで「100分ｄｅ名著」の再放送があった。全4回を一挙に放送した。とても興味深く、面白かった。カミュが描いたペスト禍の背景やら、深い思想が良くわかった。特に「ペスト」は、ナチス侵略の比喩として描かれたというのがすごい。





当時（ヨーロッパの中世）のペストは人口の3分の1も死んだという。町を封鎖して市民を隔離するところは武漢と同じ。非常事態宣言がなされ、門が閉ざされる。手紙さえも禁止され、町は孤立してしまう。

宗教も描かれる。ペスト感染は「人々の行いが悪いせいでなった」とされ、天罰だとされた。神父が感染し、手当を受けず死んでいく場面が悲痛だ。





デマや流言飛語、隣町へ逃走しようとする人、ペストを忘れようと毎晩飲んだくれる人。コロナウイルスと同じ状況が描かれていた。これぞ、自分の中にある悪、「心の中のペスト」。現代ならば「心の中のコロナウイルス」である。

デフォーの「ペスト」

ところで、「ペスト」というタイトルの作品はダニエル・デフォーも書いている。イギリスの作家だ。中公文庫であったので、読もうかと思ったら、2410円もする。

小松左京の「復活の日」は1冊10万円

ついでに、小松左京の「復活の日」も、流出したウイルスと人類の悲惨な戦いを描いている。注文しようかと思ったら、なんと単行本が1冊9万9583円という途轍もない価格だった。kindle版なら1386円。映画で見たからいいか。

今日の足跡（そくせき）

最低気温7.6度、最高気温14.3度。曇のち雨。ランニング3km.。腰が痛くなり、途中で中止した。明日も休む予定。

○……4月10日の新潟日報を読んで、吹き出してしまった。三条市の「コロナ」が除菌力を高めた加湿装置の新製品を出したというニュース。見出しを付け替えてみたくなった。

（私案タイトル）
新型コロナ出ました
除菌力高め感染症も予防