22日22時00分=2020年=
すごい熱量に圧倒された映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
【評】★5つが最高
★★★★

この映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」は県内はもちろん、隣県であったも必ず見に行った映画である。見て良かった。当時の学生の熱気、人気も実力も絶頂期だった三島のオーラを全身に浴びることができた。
この時代の学生の熱量は圧倒的だ。日本で共産主義革命が起きるかもしれないと、多くの学生は思っていた時代。1968年に大学の不正運営などに異を唱えた学生が団結し、全国的な盛り上がりを見せた学生運動。フォークソング、プロテストソングが流行し始めたのもこの時代からである。

この映画は、1969年5月に東京大学駒場キャンパスで行われた作家・三島由紀夫と東大全共闘との伝説の討論会の様子が描かれている。まさに右翼と左翼の激突だ。それも1人対1000人。それも、武闘派の東大全共闘である。

文学者として人気絶頂を極め、まさに脂の乗り切った40代前半。三島由紀夫は警視庁の警護の申し出を断り、単身で討論会に臨み、2時間半にわたり学生たちと議論を戦わせた。三島は決闘する覚悟でこの討論会に臨んだのだ。


討論会は2時間半にわたって繰り広げられた。ぶっつけ本番の討論会だが、もちろん原稿はない。丁々発止の大激論は、日本有数の知性と知性の激突でもあった。この時代特有のイデオロギー用語が飛び交い、果たして三島が論破されるのか、逆に全共闘を打ち負かすのか、緊張の連続である。だが、緊張のなかにもユーモアありで、会場からの笑い声も多かった。学生たちは三島の作品を読んでいて、ファンも多いのではないか。「暴力」を肯定するなど、共通点もある。
女児をだっこしタバコをふかしながらステージに立つ学生・芥正彦がすごい。そして50年後の老いた芥の眼光のすごさ、放つ言葉の鋭さに圧倒される。もし、三島が生きていて、二人で対談させたら面白いだろう。
マルクス主義と天皇主義の激突かと思ったら、討論の内容はすごく観念的なことが多くとまどった。ハイレベルすぎて理解不能な部分が多かった。三島の天皇論は最後になってようやく出てきたが、本質は理解できなかった。ましてや、切腹の意義などは理解不可能。マルクス主義は一言も出てこなかった。
全体を通じて、三島の人物像も描かれている。驚いたことに、1000人の全共闘を相手に切り込んできた三島が、学生たちの一言一言をきちんと聞いて受け止めていることだ。一言も揚げ足を取ったり、相手を非難したり、きたない言葉を浴びせたりしない。自分の主張も、押し付けがましくない。言葉遣いも丁寧。まさに横綱相撲というか、あっぱれな堂々としたふるまいだった。
TBSが撮影した貴重な映像があったので、生々しい三島の人物像が浮き彫りになった。難しいイデオロギー用語はきちんと解説を入れ、多くの関係者のコメントも散りばめられて、非常にわかりやすい構成だった。編集は実に見事。
この映画は、今年3月封切りで、J-MAXシアターが上映した。シネコンでまさかの上映である。これも拍手喝采。
今日の
最低気温18.8度、最高気温27.2度。曇り。

○……今日の夕方、西の空が燃えているように赤く染まり、見事な夕焼けだった。写真を撮ろうとしたけれど、市街地の中で撮れず。郊外に出たときはもう終わりかけていた。
★★★★

この映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」は県内はもちろん、隣県であったも必ず見に行った映画である。見て良かった。当時の学生の熱気、人気も実力も絶頂期だった三島のオーラを全身に浴びることができた。
この時代の学生の熱量は圧倒的だ。日本で共産主義革命が起きるかもしれないと、多くの学生は思っていた時代。1968年に大学の不正運営などに異を唱えた学生が団結し、全国的な盛り上がりを見せた学生運動。フォークソング、プロテストソングが流行し始めたのもこの時代からである。

この映画は、1969年5月に東京大学駒場キャンパスで行われた作家・三島由紀夫と東大全共闘との伝説の討論会の様子が描かれている。まさに右翼と左翼の激突だ。それも1人対1000人。それも、武闘派の東大全共闘である。

文学者として人気絶頂を極め、まさに脂の乗り切った40代前半。三島由紀夫は警視庁の警護の申し出を断り、単身で討論会に臨み、2時間半にわたり学生たちと議論を戦わせた。三島は決闘する覚悟でこの討論会に臨んだのだ。


討論会は2時間半にわたって繰り広げられた。ぶっつけ本番の討論会だが、もちろん原稿はない。丁々発止の大激論は、日本有数の知性と知性の激突でもあった。この時代特有のイデオロギー用語が飛び交い、果たして三島が論破されるのか、逆に全共闘を打ち負かすのか、緊張の連続である。だが、緊張のなかにもユーモアありで、会場からの笑い声も多かった。学生たちは三島の作品を読んでいて、ファンも多いのではないか。「暴力」を肯定するなど、共通点もある。
女児をだっこしタバコをふかしながらステージに立つ学生・芥正彦がすごい。そして50年後の老いた芥の眼光のすごさ、放つ言葉の鋭さに圧倒される。もし、三島が生きていて、二人で対談させたら面白いだろう。
マルクス主義と天皇主義の激突かと思ったら、討論の内容はすごく観念的なことが多くとまどった。ハイレベルすぎて理解不能な部分が多かった。三島の天皇論は最後になってようやく出てきたが、本質は理解できなかった。ましてや、切腹の意義などは理解不可能。マルクス主義は一言も出てこなかった。
全体を通じて、三島の人物像も描かれている。驚いたことに、1000人の全共闘を相手に切り込んできた三島が、学生たちの一言一言をきちんと聞いて受け止めていることだ。一言も揚げ足を取ったり、相手を非難したり、きたない言葉を浴びせたりしない。自分の主張も、押し付けがましくない。言葉遣いも丁寧。まさに横綱相撲というか、あっぱれな堂々としたふるまいだった。
TBSが撮影した貴重な映像があったので、生々しい三島の人物像が浮き彫りになった。難しいイデオロギー用語はきちんと解説を入れ、多くの関係者のコメントも散りばめられて、非常にわかりやすい構成だった。編集は実に見事。
この映画は、今年3月封切りで、J-MAXシアターが上映した。シネコンでまさかの上映である。これも拍手喝采。
今日の足跡
最低気温18.8度、最高気温27.2度。曇り。

○……今日の夕方、西の空が燃えているように赤く染まり、見事な夕焼けだった。写真を撮ろうとしたけれど、市街地の中で撮れず。郊外に出たときはもう終わりかけていた。
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