26日20時43分=2020年=
村上春樹の短編小説集「一人称単数」①
村上春樹の6年ぶり短篇小説集「一人称単数」。相変わらず、装丁がすばらしい。2018年から2020年までに「文學界」に掲載されていた短編8作をまとめたものだ。まだ最後まで読み終えていないので、2回に分けて紹介したい。

村上春樹らしい青春の香り漂う佳編ばかり。音楽をかけてビールを飲みながら読むのがお薦め。
音楽関連の短編が2編あったので、関連する動画を張った。
◇「石のまくらに」
大学2年生の主人公と、同じアルバイト先の職場で働いていた20代半ばの女性の話。彼女の送別会の帰りの電車の中で、「今日きみのところに泊めてもらえないかな?」と言われる。女性の気まぐれにより一夜を過ごすが、彼女はイクときに好きな男の名前を連呼する。彼女は不思議な短歌を作り、冊子まで出していた。つい数時間前に、自分の腕の中であえいでいた女性とのギャップに逡巡する。
◇「クリーム」
浪人生の主人公がピアノ演奏会の招待状を受け取った。彼女は学年が一つ下で、同じ先生にピアノを習っていた。完成な高級住宅街でのリサイタルに出席するため、バラの花束を持ってでかけた。だが、会場の建物は鉄扉が閉ざされていた。あきらめて帰る途中、公園のベンチで腰を下ろしていると、過呼吸に陥った。その時一人の老人が現れ「中心がいくつもあって、しかも外周を持たない円」について話しかけてきた。老人は「時間をかけて手間を掛けて、そのむずかしいことを成し遂げたときにな、それがそのまま人生のクリームになるんや」という。
◇「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
主人公が大学時代、文芸誌に書いた音楽書評。チャーリー・パーカー(バード)が、1963年にヘロイン中毒から復活し、ボサノヴァを演奏したレコードを発売したという架空の評論だ。
それから15年後、その架空のレコードを、ニューヨークの中古レコード店で発見する。自家製のレコードで35ドルの値段が付いていたので、買わずに店を出た。しかし、気になって翌日再び店に行くと、レコードはなかった。その後のある夜、チャーリー・パーカーが夢の中にでてきて、そのレコードの1曲目「コルコヴァド」を演奏してくれた。「私が死んだとき、私はまだ三十四歳だった。三十四歳だよ」とバードは言った。バードが死にゆく時、頭の中で鳴り響いていたメロディーは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲一番、三楽章の一節だった。「ベートーベンの書いたメロディーの中では、こいつは最高にスイングする一節だ」と言った。
↓ベートーヴェンのピアノ協奏曲1番、3楽章
◇「ウィズ・ザ・ビートルズ」
1964年、ビートルズ旋風が世界中を吹き荒れていた時代。学校の廊下でビートルズの「ウィズ・ザ・ビートルズ」を抱えてすれ違った美しい少女とすれ違ったときの胸の息苦しさと耳の奥に聞こえる小さな鈴の音は、その後女性と付き合うときの「憧憬の水準器」であった。翌年、初めてのガールフレンドができた。彼女の家のソファーでステレオでかかるパーシー・フェイス楽団の「夏の日の恋」を聞きながら、キスをし乳房に手を触れた。
ある日、約束の時間に彼女の家を尋ねると留守で、ときどき記憶が飛ぶ病気がある彼女の兄と話し、国語の教科書を読むはめになった。それから18年後、渋谷で兄と偶然に再開し、彼女は3年前に睡眠薬を飲んで自殺したという。
↓パーシー・フェイス「夏の日の恋」
今日の
最低気温23.2度、最高気温35.5度。晴れ。猛暑日になった。ランニング2km.
○……暑いのと、夜ふかしをして朝が起きられなく、しばらくランニングをしていなかった。マラソン大会がみんななくなって走る意欲がなかったことも大きい。でも、もうすぐ9月。そろそろ走り始めようと思う。
今日は暗くなる前に仕事から帰ってきたので、文化ホールの回りを2周半した。少しずつ、元に戻したいと思う。

村上春樹らしい青春の香り漂う佳編ばかり。音楽をかけてビールを飲みながら読むのがお薦め。
音楽関連の短編が2編あったので、関連する動画を張った。
◇「石のまくらに」
大学2年生の主人公と、同じアルバイト先の職場で働いていた20代半ばの女性の話。彼女の送別会の帰りの電車の中で、「今日きみのところに泊めてもらえないかな?」と言われる。女性の気まぐれにより一夜を過ごすが、彼女はイクときに好きな男の名前を連呼する。彼女は不思議な短歌を作り、冊子まで出していた。つい数時間前に、自分の腕の中であえいでいた女性とのギャップに逡巡する。
◇「クリーム」
浪人生の主人公がピアノ演奏会の招待状を受け取った。彼女は学年が一つ下で、同じ先生にピアノを習っていた。完成な高級住宅街でのリサイタルに出席するため、バラの花束を持ってでかけた。だが、会場の建物は鉄扉が閉ざされていた。あきらめて帰る途中、公園のベンチで腰を下ろしていると、過呼吸に陥った。その時一人の老人が現れ「中心がいくつもあって、しかも外周を持たない円」について話しかけてきた。老人は「時間をかけて手間を掛けて、そのむずかしいことを成し遂げたときにな、それがそのまま人生のクリームになるんや」という。
◇「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
主人公が大学時代、文芸誌に書いた音楽書評。チャーリー・パーカー(バード)が、1963年にヘロイン中毒から復活し、ボサノヴァを演奏したレコードを発売したという架空の評論だ。
それから15年後、その架空のレコードを、ニューヨークの中古レコード店で発見する。自家製のレコードで35ドルの値段が付いていたので、買わずに店を出た。しかし、気になって翌日再び店に行くと、レコードはなかった。その後のある夜、チャーリー・パーカーが夢の中にでてきて、そのレコードの1曲目「コルコヴァド」を演奏してくれた。「私が死んだとき、私はまだ三十四歳だった。三十四歳だよ」とバードは言った。バードが死にゆく時、頭の中で鳴り響いていたメロディーは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲一番、三楽章の一節だった。「ベートーベンの書いたメロディーの中では、こいつは最高にスイングする一節だ」と言った。
↓ベートーヴェンのピアノ協奏曲1番、3楽章
◇「ウィズ・ザ・ビートルズ」
1964年、ビートルズ旋風が世界中を吹き荒れていた時代。学校の廊下でビートルズの「ウィズ・ザ・ビートルズ」を抱えてすれ違った美しい少女とすれ違ったときの胸の息苦しさと耳の奥に聞こえる小さな鈴の音は、その後女性と付き合うときの「憧憬の水準器」であった。翌年、初めてのガールフレンドができた。彼女の家のソファーでステレオでかかるパーシー・フェイス楽団の「夏の日の恋」を聞きながら、キスをし乳房に手を触れた。
ある日、約束の時間に彼女の家を尋ねると留守で、ときどき記憶が飛ぶ病気がある彼女の兄と話し、国語の教科書を読むはめになった。それから18年後、渋谷で兄と偶然に再開し、彼女は3年前に睡眠薬を飲んで自殺したという。
↓パーシー・フェイス「夏の日の恋」
今日の足跡
最低気温23.2度、最高気温35.5度。晴れ。猛暑日になった。ランニング2km.
○……暑いのと、夜ふかしをして朝が起きられなく、しばらくランニングをしていなかった。マラソン大会がみんななくなって走る意欲がなかったことも大きい。でも、もうすぐ9月。そろそろ走り始めようと思う。
今日は暗くなる前に仕事から帰ってきたので、文化ホールの回りを2周半した。少しずつ、元に戻したいと思う。
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