30日21時41分=2020年=
戦時下の女としての目覚め描く「この国の空」
高田世界館の戦争映画特集2本目は、朝ドラのヒロイン、二階堂ふみ主演の「この国の空」。2015年公開の作品で、キネマ旬報ベスト・テン7位。高田世界館の椅子はクッションがあまりなく、2本目となると尻と腰が痛くなってくる。
谷崎潤一郎賞を受賞した高井有一の同名小説を映画化した作品。戦時下で、恋も知らない若い女と妻子持ちの男が互いを求めるさまを、荒井晴彦監督が濃密に描き出した。その荒井晴彦監督がトークショーに出演し、舞台裏を語った。

映画の舞台は終戦も近い昭和20年。東京・杉並の住宅に母(工藤夕貴)と暮らす19歳の里子(二階堂ふみ)が主人公。隣家には妻子を疎開させた銀行支店長の市毛(長谷川博己)が一人で暮らしており、里子は彼の身の回りの世話をしているうちにひかれていく。日に日に戦況が悪化し、自分は男性と結ばれることのないまま死ぬのだろうかという不安を覚えた里子は、次第に女として目覚めていく。
荒井晴彦監督は脚本の名手で、安吾の「不連続殺人事件」(1977年)やら、「時代屋の女房」(1983年)、「ヴァイブレータ」(2003年)、「海を感じる時」(2014年)、「さよなら歌舞伎町」(2015年)、「幼な子われらに生まれ」(2017年)、「火口のふたり」(2019年)などを手掛けている。「この国の空」は1997年以来の監督作品。

上映後のトークショーで、荒井晴彦監督は「脚本賞を取れるような本だが、誰が見るんだ」と思ったが「自分で撮ればいいじゃないかと思った」と監督をやった経緯を述べた。「19歳の女の子が“戦争が終わってほしくない”と思うことから戦後が見えるのではないか」と制作意図を述べた。
映画の最後に里子が「私の戦争はこれから始まる」というテロップは蛇足的にも見えたが、これについて監督は「あそこだけ、俺のオリジナル」だという。
またタイトルバックに茨木のり子の有名な詩「わたしが一番きれいだったとき」が使われている。それについては「屋上屋を重ねると言われたことはある。蛇足かわからないが、1億円も金を使ったので不安だし、確信犯としてやった」と述べ、会場から爆笑が起きた。
長谷川博己、二階堂ふみのキャスティングについては、「長谷川博己はNHKのドラマでおばさんたちに人気があり、頼もうかなと思った。女性は裸になってくれることが前提なので、“愛の渦”で脱いだ門脇麦で行こうと思ったがスケジュールが合わなかった」という。
二階堂ふみについて「バストトップはだめだと聞いていたが、現場へ入ればなんとかなるんじゃないかと。おっぱいだめなら脇毛を撮ろうとしたが……」と舞台裏の秘話。でも、背後からのヌードはあったし、工藤夕貴の脇毛シーンはあったぞ。これが、処女喪失の場面が淡白だった理由だ。
戦時中でも、いろいろなものを食べるシーンがあった。「戦時中でも食料が豊富だったじゃないか、と言われるが、配給があった戦時中よりも、外地から兵隊が戻ってきた戦後のほうがなかった。きれいな服を着ていると言われたが、日本中に爆弾が落ちたわけではない」と述べた。
劇中で、原爆被害を避けるため、白い服を着る場面があったが、なるほどと思った。これが「言葉を撮る」ということらしい。
↓サイン会も行われた

↓「この国の空」予告
今日の
最低気温26.9度、最高気温34.4度。晴れ。猛暑日は免れたが暑い一日。
○……10日ぐらいウクレレを弾かないでいたら、4曲ほど暗譜していたはずの曲が弾けなくなってしまった。また、楽譜を見て練習しないと記憶が戻らない。記憶力も若い頃と違う。筋力が落ちるのも早いし、これが老化ということか。
○……裏庭のミョウガもそろそろ終わり。最後のミョウガを取るためにTシャツに短パンという格好で収穫したら、右腕の至るところが虫に食われてしまった。蚊ではなく、ダニのような感じ。ただれたように皮膚が腫れている。あまりにかゆいので、ドラッグストアにかゆみ止めを買いに行った。ミョウガは5個ほどしか取れず、高いミョウガについてしまった。
谷崎潤一郎賞を受賞した高井有一の同名小説を映画化した作品。戦時下で、恋も知らない若い女と妻子持ちの男が互いを求めるさまを、荒井晴彦監督が濃密に描き出した。その荒井晴彦監督がトークショーに出演し、舞台裏を語った。

映画の舞台は終戦も近い昭和20年。東京・杉並の住宅に母(工藤夕貴)と暮らす19歳の里子(二階堂ふみ)が主人公。隣家には妻子を疎開させた銀行支店長の市毛(長谷川博己)が一人で暮らしており、里子は彼の身の回りの世話をしているうちにひかれていく。日に日に戦況が悪化し、自分は男性と結ばれることのないまま死ぬのだろうかという不安を覚えた里子は、次第に女として目覚めていく。
荒井晴彦監督は脚本の名手で、安吾の「不連続殺人事件」(1977年)やら、「時代屋の女房」(1983年)、「ヴァイブレータ」(2003年)、「海を感じる時」(2014年)、「さよなら歌舞伎町」(2015年)、「幼な子われらに生まれ」(2017年)、「火口のふたり」(2019年)などを手掛けている。「この国の空」は1997年以来の監督作品。

上映後のトークショーで、荒井晴彦監督は「脚本賞を取れるような本だが、誰が見るんだ」と思ったが「自分で撮ればいいじゃないかと思った」と監督をやった経緯を述べた。「19歳の女の子が“戦争が終わってほしくない”と思うことから戦後が見えるのではないか」と制作意図を述べた。
映画の最後に里子が「私の戦争はこれから始まる」というテロップは蛇足的にも見えたが、これについて監督は「あそこだけ、俺のオリジナル」だという。
またタイトルバックに茨木のり子の有名な詩「わたしが一番きれいだったとき」が使われている。それについては「屋上屋を重ねると言われたことはある。蛇足かわからないが、1億円も金を使ったので不安だし、確信犯としてやった」と述べ、会場から爆笑が起きた。
長谷川博己、二階堂ふみのキャスティングについては、「長谷川博己はNHKのドラマでおばさんたちに人気があり、頼もうかなと思った。女性は裸になってくれることが前提なので、“愛の渦”で脱いだ門脇麦で行こうと思ったがスケジュールが合わなかった」という。
二階堂ふみについて「バストトップはだめだと聞いていたが、現場へ入ればなんとかなるんじゃないかと。おっぱいだめなら脇毛を撮ろうとしたが……」と舞台裏の秘話。でも、背後からのヌードはあったし、工藤夕貴の脇毛シーンはあったぞ。これが、処女喪失の場面が淡白だった理由だ。
戦時中でも、いろいろなものを食べるシーンがあった。「戦時中でも食料が豊富だったじゃないか、と言われるが、配給があった戦時中よりも、外地から兵隊が戻ってきた戦後のほうがなかった。きれいな服を着ていると言われたが、日本中に爆弾が落ちたわけではない」と述べた。
劇中で、原爆被害を避けるため、白い服を着る場面があったが、なるほどと思った。これが「言葉を撮る」ということらしい。
↓サイン会も行われた

↓「この国の空」予告
今日の足跡
最低気温26.9度、最高気温34.4度。晴れ。猛暑日は免れたが暑い一日。
○……10日ぐらいウクレレを弾かないでいたら、4曲ほど暗譜していたはずの曲が弾けなくなってしまった。また、楽譜を見て練習しないと記憶が戻らない。記憶力も若い頃と違う。筋力が落ちるのも早いし、これが老化ということか。
○……裏庭のミョウガもそろそろ終わり。最後のミョウガを取るためにTシャツに短パンという格好で収穫したら、右腕の至るところが虫に食われてしまった。蚊ではなく、ダニのような感じ。ただれたように皮膚が腫れている。あまりにかゆいので、ドラッグストアにかゆみ止めを買いに行った。ミョウガは5個ほどしか取れず、高いミョウガについてしまった。
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