31日22時06分=2020年=
映画「アジアの純真」 蓮池透さんがゲストトークでアブナイ話連発
戦後75年の戦争映画特集3本目の映画は「アジアの純真」(2009年)。1日3本+トーク3本はきつい。腰も尻も目も疲れ果てた。
↓予告編動画
映画は北朝鮮による日本人の拉致が明るみに出た2002年の話。ある街で朝鮮学校の女子生徒がチマ・チョゴリを着ていたことで日本人の暴漢に絡まれて刺される。だが誰も助けようとしない。双子の妹は、現場にいながら助けようとしなかった少年を引きつれて、社会への復讐を決行する。最初にターゲットになったのは、拉致被害者家族の男性。そのモデルは、拉致被害者蓮池薫さんの兄の蓮池透さんなのだ。
映画終了後のトークでは、蓮池透さんと、脚本を書いた井上淳一の応酬が面白かった。蓮池透さんは、2015年に『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)という本を出していて、これまで「拉致は国家テロ」「北朝鮮への経済制裁を行え」などと過激な発言をしていた。
↓蓮池さんは右から2人目

トークは安倍首相が辞意を表明した8月29日の翌日でもあり、安倍首相をこきおろしていた蓮池さんのトークは「おもしろいだろう」と期待していた。
蓮池さんは冒頭、映画を見てショックで「あの頃の僕は毒ガスを投げられてもしょうがなかった」と言った。最近は対話路線に変節していて、当時を「あまりにも無知だった」と反省していた。
だが、対話路線になったとは言え、マスコミには出ない裏事情がいろいろと出て、おもしろいというか、なるほどなと思った。
その一つが風評被害。「帰ってきた人間は政府からものすごい手厚い保護を受けていると、何億ももらっているんじゃないかと。私にまで月々何十万ももらっていると思われている」と切り出した。
「帰ってきたときの食費は1円も出してくれなかった。実際、国が支援しているのは、当時で1人月額13万円で、自立して所得が入ったら、それから減額しますと。生活保護のようなものだ」と言う。外食に行けば「政府の支援で外食?」、旅行へ行けば「税金で旅行ですか」と言われる。間違ってもパチンコやパチスロには行けない。拉致被害者は日本に帰ってきたのに、精神的には解放されていないのだ。
北朝鮮については「悪いのはほんの一握りの人で、あとは普通の人。(弟の薫さんから)お世話になった人、お礼を言いたい人もいる」と言われた。拉致帰国者が北朝鮮を悪く言わない理由だ。
安倍首相が辞任表明で、「拉致問題を解決できなかったことは痛恨の極み」と言ったが、蓮池さんは「そんなに拉致問題に真摯に向き合ってきたのか」と言う。29日も新聞社から電話があって「安倍さんの8年間にわたる拉致問題への評価は」と聞かれたが、「評価のしようがありません」と答えたそうだ。
その時、「でもお金は使っているみたいですよ」と。安倍さんが作った拉致問題対策本部と拉致担当大臣の今年度の年間予算は18億円。この6年間で情報収集、分析に52億円も使った。だが、具体的な内容は外交上の問題なので言えないと。「違う。やってないから言えないんでしょ」と。「魔法の言葉」で我々は20年近く騙されてきたと話す。
日本の政治について「沖縄にしろ、改憲にしろ、全部“北朝鮮の脅威だ”と言っておけばいいわけですよ。ところがトランプ氏と金正恩が仲良くしだしちゃったから、矛先を北朝鮮から韓国に変えただけ。悪者にして叩けば、それで溜飲を下げる人たちがいる。韓国と喧嘩状態になっていること自体が拉致問題のやる気がないのに等しい」と毒舌はとどまることを知らない。
マスコミ報道にも触れ、田原総一朗が「死んでる」と言って裁判になって100万円取られたことを取り上げ、「マスコミはネガティブなことを怖くて書けない」と痛い所を突く。
この他、家族会の裏側、政治的駆け引き、早紀江さんの本音など、ここに書けないオフレコ話が満載。
最後に、「拉致被害者の最高齢は95歳。最年少は横田めぐみさんの56歳。時間がこれだけ経ってしまったことを、現実のものとして捉えて、より現実的な方策をとらないといけない。外交問題まで発展しちゃったのだから、総理が判断して、これを北朝鮮側とコンセンサスを得ていなければ、いくらやったって解決しない」と述べる。
要するに「決着」の定義をした上で、対話しなくてはならないという。100%日本側が満足する結果はありえないのだから、現実的にみて、どういう状態が「決着」なのか定義することは大事ではないか。拉致問題が政治に利用されることなく、真の解決に向かって、現実的な方策がとられることを期待したい。
今日の
最低気温25.0度、最高気温29.2度。曇りで午前中は一時雨。気温が30度を割ると、ずいぶん涼しくなった感じがする。
○……豊島園が今日で閉園だという。それで思い出したのが、ロシア語同時通訳の米原万里さんの本「ガサネッタ&シモネッタ」。
時間との勝負である同時通訳で、ユーモアやダジャレが一番困るという。ある会合で、「失楽園」と「豊島園」を題材としたユーモアスピーチがあったが、ニュアンスを説明する時間はない。さあ、どうするか。
スピーチの内容は、「失楽園」が中年の男にも人気で、映画館に大勢押し寄せているという情報が入った。だが、実際に行ってみると、そこは年配女性ばかりの「豊島園」だったという話。
○……知遊堂で本を買って、PayPayで支払ったら、3等に当たった。支払い額の5%を獲得。
↓予告編動画
映画は北朝鮮による日本人の拉致が明るみに出た2002年の話。ある街で朝鮮学校の女子生徒がチマ・チョゴリを着ていたことで日本人の暴漢に絡まれて刺される。だが誰も助けようとしない。双子の妹は、現場にいながら助けようとしなかった少年を引きつれて、社会への復讐を決行する。最初にターゲットになったのは、拉致被害者家族の男性。そのモデルは、拉致被害者蓮池薫さんの兄の蓮池透さんなのだ。
映画終了後のトークでは、蓮池透さんと、脚本を書いた井上淳一の応酬が面白かった。蓮池透さんは、2015年に『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)という本を出していて、これまで「拉致は国家テロ」「北朝鮮への経済制裁を行え」などと過激な発言をしていた。
↓蓮池さんは右から2人目

トークは安倍首相が辞意を表明した8月29日の翌日でもあり、安倍首相をこきおろしていた蓮池さんのトークは「おもしろいだろう」と期待していた。
蓮池さんは冒頭、映画を見てショックで「あの頃の僕は毒ガスを投げられてもしょうがなかった」と言った。最近は対話路線に変節していて、当時を「あまりにも無知だった」と反省していた。
だが、対話路線になったとは言え、マスコミには出ない裏事情がいろいろと出て、おもしろいというか、なるほどなと思った。
その一つが風評被害。「帰ってきた人間は政府からものすごい手厚い保護を受けていると、何億ももらっているんじゃないかと。私にまで月々何十万ももらっていると思われている」と切り出した。
「帰ってきたときの食費は1円も出してくれなかった。実際、国が支援しているのは、当時で1人月額13万円で、自立して所得が入ったら、それから減額しますと。生活保護のようなものだ」と言う。外食に行けば「政府の支援で外食?」、旅行へ行けば「税金で旅行ですか」と言われる。間違ってもパチンコやパチスロには行けない。拉致被害者は日本に帰ってきたのに、精神的には解放されていないのだ。
北朝鮮については「悪いのはほんの一握りの人で、あとは普通の人。(弟の薫さんから)お世話になった人、お礼を言いたい人もいる」と言われた。拉致帰国者が北朝鮮を悪く言わない理由だ。
安倍首相が辞任表明で、「拉致問題を解決できなかったことは痛恨の極み」と言ったが、蓮池さんは「そんなに拉致問題に真摯に向き合ってきたのか」と言う。29日も新聞社から電話があって「安倍さんの8年間にわたる拉致問題への評価は」と聞かれたが、「評価のしようがありません」と答えたそうだ。
その時、「でもお金は使っているみたいですよ」と。安倍さんが作った拉致問題対策本部と拉致担当大臣の今年度の年間予算は18億円。この6年間で情報収集、分析に52億円も使った。だが、具体的な内容は外交上の問題なので言えないと。「違う。やってないから言えないんでしょ」と。「魔法の言葉」で我々は20年近く騙されてきたと話す。
日本の政治について「沖縄にしろ、改憲にしろ、全部“北朝鮮の脅威だ”と言っておけばいいわけですよ。ところがトランプ氏と金正恩が仲良くしだしちゃったから、矛先を北朝鮮から韓国に変えただけ。悪者にして叩けば、それで溜飲を下げる人たちがいる。韓国と喧嘩状態になっていること自体が拉致問題のやる気がないのに等しい」と毒舌はとどまることを知らない。
マスコミ報道にも触れ、田原総一朗が「死んでる」と言って裁判になって100万円取られたことを取り上げ、「マスコミはネガティブなことを怖くて書けない」と痛い所を突く。
この他、家族会の裏側、政治的駆け引き、早紀江さんの本音など、ここに書けないオフレコ話が満載。
最後に、「拉致被害者の最高齢は95歳。最年少は横田めぐみさんの56歳。時間がこれだけ経ってしまったことを、現実のものとして捉えて、より現実的な方策をとらないといけない。外交問題まで発展しちゃったのだから、総理が判断して、これを北朝鮮側とコンセンサスを得ていなければ、いくらやったって解決しない」と述べる。
要するに「決着」の定義をした上で、対話しなくてはならないという。100%日本側が満足する結果はありえないのだから、現実的にみて、どういう状態が「決着」なのか定義することは大事ではないか。拉致問題が政治に利用されることなく、真の解決に向かって、現実的な方策がとられることを期待したい。
今日の足跡
最低気温25.0度、最高気温29.2度。曇りで午前中は一時雨。気温が30度を割ると、ずいぶん涼しくなった感じがする。
○……豊島園が今日で閉園だという。それで思い出したのが、ロシア語同時通訳の米原万里さんの本「ガサネッタ&シモネッタ」。
時間との勝負である同時通訳で、ユーモアやダジャレが一番困るという。ある会合で、「失楽園」と「豊島園」を題材としたユーモアスピーチがあったが、ニュアンスを説明する時間はない。さあ、どうするか。
スピーチの内容は、「失楽園」が中年の男にも人気で、映画館に大勢押し寄せているという情報が入った。だが、実際に行ってみると、そこは年配女性ばかりの「豊島園」だったという話。
○……知遊堂で本を買って、PayPayで支払ったら、3等に当たった。支払い額の5%を獲得。
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