12日21時08分=2021年=
文芸たかだに投稿 「名画のキスシーン」
高田文化協会発行の文芸誌「文芸たかだ」の第371号に、映画ファンがリレー形式で書いているコラム「キネマノスタルジア」に、拙文「名画のキスシーン」が掲載された。
このコラムに掲載されるのは、これで3回目。書くネタに困ることはないので、「連載に穴が空きそうなときは書きます」と言ってある。といっても、800字ぐらいにまとめるのは大変だけれど。
できたら「文芸たかだ」を買って読んでいただくのがいいのだけれど……。以下、全文を掲載(スペースの都合で割愛した部分も復元してあります)。

「名画のキスシーン」
キスシーンは映画の華である。
忘れられないのは高校二年の一九七一年に中劇で見た「ローマの休日」。私が生まれた年に公開された映画なので、リバイバル上映である。船上パーティーで川に落ちたジョー(グレゴリー・ペック)とアン王女(オードリー・ヘプバーン)が、川岸でずぶ濡れのままキスを交わす。ジョーは特ダネを失うことになってしまうが、相手が王女だけにうらやましいキスだった。
翌年上映の「ロミオとジュリエット」は、女の子と見に行った。レナード・ホワイティングが木をよじ登って邸宅に潜入し、オリヴィア・ハッセーと人目を忍んで熱いキスを交わす。一目惚れだというのに速攻のキスだった。
隣席には彼女がいたが手を握ることもできず、自己嫌悪に陥った。この年に封切られた「小さな恋のメロディ」では、小学生ぐらいのトレイシー・ハイドとマーク・レスターは、初デートで手をつないでいたのに。
近年では、「ゴースト/ニューヨークの幻」や「タイタニック」の背後からのキスや、「スパイダーマン」の宙吊りキスも良かった。別格と言えるのは、少年と映写技師が映画を通して心を通わせていくイタリア映画「ニュー・シネマ・パラダイス」。検閲でカットされた五十本近い映画のキスシーンが、ラストで一気に映写されるのは圧巻だ。
日本映画でのキスシーンはどうか。キスが映画に登場するのは戦後、GHQの要請による。佐々木康監督の「はたちの青春」(一九四六年)が記念すべき第一号。主演は幾野道子と大坂志郎。二人の口の間には消毒薬を染み込ませたガーゼを挟んだという。この映画が封切られた五月二十三日は、「キスの日」に定められている。
大学時代に名画座を回って古い日本映画を見ていたが、有名なのは今井正監督の「また逢う日まで」(1950年公開)。主演は岡田英次と久我美子。キスシーンは三回あり、最後のガラス越しのキスシーンは美しく切ない。
だが、これ以上のキスの名場面が思い浮かばない。日本映画のキスの歴史は七十年ほど。欧米に比べるべくもない。
↓「また逢う日まで」のポスター

今日の
最低気温-2.1度、最高気温10.1度。曇のち晴れ。高田の積雪127cm。新井の積雪159cm。

○……先日、「37セカンズ」を見に高田世界館に行ったら、スタッフの人が座席まで電気毛布を持ってきてくれた。電気毛布が置いてあるのは知っていたけれど、使ったのは初めて。座席の下にコンセントもあった。
十日町に、こたつ席がある映画館があったけれど、電気毛布は初めて。足がぽかぽかと温かかった。
このコラムに掲載されるのは、これで3回目。書くネタに困ることはないので、「連載に穴が空きそうなときは書きます」と言ってある。といっても、800字ぐらいにまとめるのは大変だけれど。
できたら「文芸たかだ」を買って読んでいただくのがいいのだけれど……。以下、全文を掲載(スペースの都合で割愛した部分も復元してあります)。

「名画のキスシーン」
キスシーンは映画の華である。
忘れられないのは高校二年の一九七一年に中劇で見た「ローマの休日」。私が生まれた年に公開された映画なので、リバイバル上映である。船上パーティーで川に落ちたジョー(グレゴリー・ペック)とアン王女(オードリー・ヘプバーン)が、川岸でずぶ濡れのままキスを交わす。ジョーは特ダネを失うことになってしまうが、相手が王女だけにうらやましいキスだった。
翌年上映の「ロミオとジュリエット」は、女の子と見に行った。レナード・ホワイティングが木をよじ登って邸宅に潜入し、オリヴィア・ハッセーと人目を忍んで熱いキスを交わす。一目惚れだというのに速攻のキスだった。
隣席には彼女がいたが手を握ることもできず、自己嫌悪に陥った。この年に封切られた「小さな恋のメロディ」では、小学生ぐらいのトレイシー・ハイドとマーク・レスターは、初デートで手をつないでいたのに。
近年では、「ゴースト/ニューヨークの幻」や「タイタニック」の背後からのキスや、「スパイダーマン」の宙吊りキスも良かった。別格と言えるのは、少年と映写技師が映画を通して心を通わせていくイタリア映画「ニュー・シネマ・パラダイス」。検閲でカットされた五十本近い映画のキスシーンが、ラストで一気に映写されるのは圧巻だ。
日本映画でのキスシーンはどうか。キスが映画に登場するのは戦後、GHQの要請による。佐々木康監督の「はたちの青春」(一九四六年)が記念すべき第一号。主演は幾野道子と大坂志郎。二人の口の間には消毒薬を染み込ませたガーゼを挟んだという。この映画が封切られた五月二十三日は、「キスの日」に定められている。
大学時代に名画座を回って古い日本映画を見ていたが、有名なのは今井正監督の「また逢う日まで」(1950年公開)。主演は岡田英次と久我美子。キスシーンは三回あり、最後のガラス越しのキスシーンは美しく切ない。
だが、これ以上のキスの名場面が思い浮かばない。日本映画のキスの歴史は七十年ほど。欧米に比べるべくもない。
↓「また逢う日まで」のポスター

今日の足跡
最低気温-2.1度、最高気温10.1度。曇のち晴れ。高田の積雪127cm。新井の積雪159cm。

○……先日、「37セカンズ」を見に高田世界館に行ったら、スタッフの人が座席まで電気毛布を持ってきてくれた。電気毛布が置いてあるのは知っていたけれど、使ったのは初めて。座席の下にコンセントもあった。
十日町に、こたつ席がある映画館があったけれど、電気毛布は初めて。足がぽかぽかと温かかった。
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