14日22時40分=2021年=
現実と理想を描く映画「痛くない死に方」
【評】★5つが最高
★★★★
日本の在宅医療と「死に方」の問題を真正面から描いた作品で、自分の死に方や、安楽死と尊厳死について考えるきっかけになった。「痛くない死に方」は高田世界館で上映されていたが、既に終了してしまった。客は高齢者ばかりで、平均年齢がずいぶん高かった。みんな自分の死を重ね合わせて見ていたのではないだろうか。
↓予告編
前半は「痛い死に方」で、見ているだけで痛々しい。自分がああなったらと思うと直視できない。下元四郎の演技は鬼気迫っていた。「死」の予行演習みたいだった。


在宅医師の河田仁(柄本佑)は、末期の肺がん患者・井上敏夫(下元四郎)を担当することになる。敏夫は娘の智美(坂井真紀)の意向で、痛みを伴いながら延命治療を続ける入院ではなく「痛くない在宅医」を選択したのだが、河田の処置の誤りや思い込みで、結局苦しみ続けてそのまま亡くなってしまう。智美は自宅に連れ戻した自分が殺したのではないかと、自分を責め、河田を恨む。
在宅医の先輩である長野浩平(奥田瑛二)に悩みを打ち明け、長野の仕事を見せてもらって衝撃を受ける。「カルテを信じるな。患者の状態を自分の眼で見て判断しろ」「生きることは食べること」「病院は患者の死を敗北と考える。だから延命処置をする」などと教えられる。
後半は河田が経験を経て立派な在宅医に成長していく。患者の臓器を見ることだけではなく、患者の人生に寄り添うことの重要性を知る。


余命幾ばくもない本多彰を演じた宇崎竜童が素晴らしい。死を前にしてユーモアを忘れず、悠然としている。まるで死ぬのを楽しんでいるように。世を達観した川柳もユーモアがあって良かった。死期が迫るなか、医師と患者が一緒に酒をのみ、タバコをふかし、花火を鑑賞する場面が素晴らしい。そこには終末期の悲壮感はなかった。
妻のしぐれを演じた大谷直子が、夫の安らかな死に接し「かっこよかったよ」と語りかけたのにジーンときた。宇崎竜童みたいに「かっこよく」、「痛くなく」死ねれば理想的だ。そうだ。前半は「現実」、後半は「理想」だったのか。
患者が苦しむ姿を見た家族はつい救急車を呼び病院に運んでしまう。そうなれば待っているのは管につながれた延命治療という無間地獄だ。病院側の論理で生ける屍とされる想像するにも恐ろしい現実なのだ。自殺もできず、痛みにのたうち回ることを考えると、居ても立っても居られない。
下元四郎と宇崎竜童は、助演男優賞に押したい。そうなれば、柄本佑は主演男優賞でなければならない。とてもいい演技だったと思う。
今日の
最低気温5.7度、最高気温12.9度。曇り時々雨。
○……戸隠のそば店でクレジットカードの利用が拒否された件は、まだまだ波紋が続いている。今日も数人からダイレクト通知やら、LINE、電話などをいただいている。
クレジットカードについていろいろ考えてみた。
経営者側からは、カード会社に3%前後の手数料を取られるので、現金の方がありがたいはずだ。売上をごまかすのも現金の方がやりやすい。だから、規約違反をしてでも、単価が低い客にはカードを使わせないことを考えるのだ。
利用者側から見ると、カードはありがたい。財布の中身と料理の値段を頭の中で計算したりする必要がない。その分、ゆったりと食事ができ、おいしく味わえる。カード払いの人の平均単価は、現金の人の1割以上高いらしい。手数料など帳消しになる。
その上、コロナ禍では、現金に触る必要がなくなる。特におつりで硬貨をもらわないで済むのがありがたい。
家計簿アプリを使っている人は、キャッシュレスなら自動的に仕訳が行われるので、入力する手数がかからない。
キャッシュレス化が進めば、現金の所持は最低限で済み、財布を落とした場合のリスクが少なくなる。
カードを使うともらえるポイントを目的にする人が多いけれど、実はそれ以上のメリットがあるのだ。
客のことを考えれば、クレジットカードを含むキャッシュレス化を進めたほうがいい。客もいいし、結果として店側も良い。
★★★★
日本の在宅医療と「死に方」の問題を真正面から描いた作品で、自分の死に方や、安楽死と尊厳死について考えるきっかけになった。「痛くない死に方」は高田世界館で上映されていたが、既に終了してしまった。客は高齢者ばかりで、平均年齢がずいぶん高かった。みんな自分の死を重ね合わせて見ていたのではないだろうか。
↓予告編
前半は「痛い死に方」で、見ているだけで痛々しい。自分がああなったらと思うと直視できない。下元四郎の演技は鬼気迫っていた。「死」の予行演習みたいだった。


在宅医師の河田仁(柄本佑)は、末期の肺がん患者・井上敏夫(下元四郎)を担当することになる。敏夫は娘の智美(坂井真紀)の意向で、痛みを伴いながら延命治療を続ける入院ではなく「痛くない在宅医」を選択したのだが、河田の処置の誤りや思い込みで、結局苦しみ続けてそのまま亡くなってしまう。智美は自宅に連れ戻した自分が殺したのではないかと、自分を責め、河田を恨む。
在宅医の先輩である長野浩平(奥田瑛二)に悩みを打ち明け、長野の仕事を見せてもらって衝撃を受ける。「カルテを信じるな。患者の状態を自分の眼で見て判断しろ」「生きることは食べること」「病院は患者の死を敗北と考える。だから延命処置をする」などと教えられる。
後半は河田が経験を経て立派な在宅医に成長していく。患者の臓器を見ることだけではなく、患者の人生に寄り添うことの重要性を知る。


余命幾ばくもない本多彰を演じた宇崎竜童が素晴らしい。死を前にしてユーモアを忘れず、悠然としている。まるで死ぬのを楽しんでいるように。世を達観した川柳もユーモアがあって良かった。死期が迫るなか、医師と患者が一緒に酒をのみ、タバコをふかし、花火を鑑賞する場面が素晴らしい。そこには終末期の悲壮感はなかった。
妻のしぐれを演じた大谷直子が、夫の安らかな死に接し「かっこよかったよ」と語りかけたのにジーンときた。宇崎竜童みたいに「かっこよく」、「痛くなく」死ねれば理想的だ。そうだ。前半は「現実」、後半は「理想」だったのか。
患者が苦しむ姿を見た家族はつい救急車を呼び病院に運んでしまう。そうなれば待っているのは管につながれた延命治療という無間地獄だ。病院側の論理で生ける屍とされる想像するにも恐ろしい現実なのだ。自殺もできず、痛みにのたうち回ることを考えると、居ても立っても居られない。
下元四郎と宇崎竜童は、助演男優賞に押したい。そうなれば、柄本佑は主演男優賞でなければならない。とてもいい演技だったと思う。
今日の足跡
最低気温5.7度、最高気温12.9度。曇り時々雨。
○……戸隠のそば店でクレジットカードの利用が拒否された件は、まだまだ波紋が続いている。今日も数人からダイレクト通知やら、LINE、電話などをいただいている。
クレジットカードについていろいろ考えてみた。
経営者側からは、カード会社に3%前後の手数料を取られるので、現金の方がありがたいはずだ。売上をごまかすのも現金の方がやりやすい。だから、規約違反をしてでも、単価が低い客にはカードを使わせないことを考えるのだ。
利用者側から見ると、カードはありがたい。財布の中身と料理の値段を頭の中で計算したりする必要がない。その分、ゆったりと食事ができ、おいしく味わえる。カード払いの人の平均単価は、現金の人の1割以上高いらしい。手数料など帳消しになる。
その上、コロナ禍では、現金に触る必要がなくなる。特におつりで硬貨をもらわないで済むのがありがたい。
家計簿アプリを使っている人は、キャッシュレスなら自動的に仕訳が行われるので、入力する手数がかからない。
キャッシュレス化が進めば、現金の所持は最低限で済み、財布を落とした場合のリスクが少なくなる。
カードを使うともらえるポイントを目的にする人が多いけれど、実はそれ以上のメリットがあるのだ。
客のことを考えれば、クレジットカードを含むキャッシュレス化を進めたほうがいい。客もいいし、結果として店側も良い。
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