10日20時51分=2021年=
山田洋次監督の映画愛が詰まった「キネマの神様」
【評】 星5つが最高
★★★★
山田洋次監督の映画愛がいっぱい詰まった素敵な映画だった。土曜日にJ-MAXへ見に行ったのだが、客が少なく残念だった。いい映画なので、多くの人に見てほしい。

映画監督を目指していたが挫折し、競馬と麻雀で借金を背負い、酒に明け暮れる78歳のどうしようもない老人ゴウが主人公。青年時代のゴウを菅田将暉が演じ、78歳のゴウは沢田研二が演じた。当初ゴウ役は志村けんが務める予定だったが、新型コロナウイルス感染で死去したことから、かつて同じ事務所だった沢田が志村の遺志を継いだ。
菅田将暉は言わずもがなだが、沢田の名演が光った。まるで志村けんが乗り移ったようだった。今年度の主演男優賞だな(菅田将暉も捨てがたいけれど)。
ゴウは助監督時代、撮影所近くの食堂の娘・淑子や仲間の映写技師テラシンと青春の日々を送っていた。ゴウはようやく巡ってきた初監督作「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大きなケガを負い、作品は幻となり、故郷に帰る。淑子はテラシンとゴウの2人に好意を持たれていたが、苦労することが分かっていながらゴウの元に行く。

そんな三角関係だったが、テラシンは自分の映画館を持つという夢を実現。淑子と結婚したゴウは、50年の年月が過ぎ、借金まみれの荒れた生活をして娘にも見放される始末。ある日、淑子が映画館のパートに応募すると、そこにはテラシンがいた。
不思議な三角関係ながら、夢に向かって駆け抜けた青春の絆が蘇った。孫の理解もあり、止まっていたゴウの夢が再び動き始めたのだ。
映画監督として復活するわけもないのだが、夢は思わぬ形で実現し、ゴウを支えてきたテラシンにも温かい光が差し込む。

現代から青春時代へ遡る場面が、映画フィルムの女優の瞳に写り込んだゴウの撮影助手としての姿だった。女優の目のアップシーンから映画の撮影に入り込んでいく場面がすばらしかった。
ゴウを辛抱強く支える妻の淑子役を演じた宮本信子は、年を取っていて最初誰だか分からなかった。もう76歳か。

青年時代のテラシンを演じたのはロックバンド「RADWIMPS」の野田洋次郎だという。ガットギターを演奏する場面があり、随分上手だった。ゴウに恋の相談をする場面の演技も素晴らしかった。もちろん、晩年役の小林稔侍の演技も最高。
ストーリーは、日本版の「ニュー・シネマ・パラダイス」でもある。最後の方でコロナ禍も物語に組み込み、リアリティーを醸し出した。コロナ禍で脚本を書き直したという。
今日の
最低気温23.5度、最高気温30.5度。曇り時々雨。
↓甲子園で歌う山崎育三郎さん(日刊スポーツより)

○……夏の高校野球開会式の冒頭、山崎育三郎さんのアカペラ独唱「栄冠は君に輝く」が素晴らしかった。朝ドラ「エール」の場面を思い出して胸が熱くなった。
山崎さんは高校生のような白シャツ、黒ズボンで登場。歌声に合わせたスタイルで良かった。
1番はゆっくり感情を込めた。3番まで歌ったが、2番と3番の間で、キーを半音上げたように思う。ドラマではやっていなかった。アカペラでは音程がしっかりしていないと、とてもむずかしいと思う。
★★★★
山田洋次監督の映画愛がいっぱい詰まった素敵な映画だった。土曜日にJ-MAXへ見に行ったのだが、客が少なく残念だった。いい映画なので、多くの人に見てほしい。

映画監督を目指していたが挫折し、競馬と麻雀で借金を背負い、酒に明け暮れる78歳のどうしようもない老人ゴウが主人公。青年時代のゴウを菅田将暉が演じ、78歳のゴウは沢田研二が演じた。当初ゴウ役は志村けんが務める予定だったが、新型コロナウイルス感染で死去したことから、かつて同じ事務所だった沢田が志村の遺志を継いだ。
菅田将暉は言わずもがなだが、沢田の名演が光った。まるで志村けんが乗り移ったようだった。今年度の主演男優賞だな(菅田将暉も捨てがたいけれど)。
ゴウは助監督時代、撮影所近くの食堂の娘・淑子や仲間の映写技師テラシンと青春の日々を送っていた。ゴウはようやく巡ってきた初監督作「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大きなケガを負い、作品は幻となり、故郷に帰る。淑子はテラシンとゴウの2人に好意を持たれていたが、苦労することが分かっていながらゴウの元に行く。

そんな三角関係だったが、テラシンは自分の映画館を持つという夢を実現。淑子と結婚したゴウは、50年の年月が過ぎ、借金まみれの荒れた生活をして娘にも見放される始末。ある日、淑子が映画館のパートに応募すると、そこにはテラシンがいた。
不思議な三角関係ながら、夢に向かって駆け抜けた青春の絆が蘇った。孫の理解もあり、止まっていたゴウの夢が再び動き始めたのだ。
映画監督として復活するわけもないのだが、夢は思わぬ形で実現し、ゴウを支えてきたテラシンにも温かい光が差し込む。

現代から青春時代へ遡る場面が、映画フィルムの女優の瞳に写り込んだゴウの撮影助手としての姿だった。女優の目のアップシーンから映画の撮影に入り込んでいく場面がすばらしかった。
ゴウを辛抱強く支える妻の淑子役を演じた宮本信子は、年を取っていて最初誰だか分からなかった。もう76歳か。

青年時代のテラシンを演じたのはロックバンド「RADWIMPS」の野田洋次郎だという。ガットギターを演奏する場面があり、随分上手だった。ゴウに恋の相談をする場面の演技も素晴らしかった。もちろん、晩年役の小林稔侍の演技も最高。
ストーリーは、日本版の「ニュー・シネマ・パラダイス」でもある。最後の方でコロナ禍も物語に組み込み、リアリティーを醸し出した。コロナ禍で脚本を書き直したという。
今日の足跡
最低気温23.5度、最高気温30.5度。曇り時々雨。
↓甲子園で歌う山崎育三郎さん(日刊スポーツより)

○……夏の高校野球開会式の冒頭、山崎育三郎さんのアカペラ独唱「栄冠は君に輝く」が素晴らしかった。朝ドラ「エール」の場面を思い出して胸が熱くなった。
山崎さんは高校生のような白シャツ、黒ズボンで登場。歌声に合わせたスタイルで良かった。
1番はゆっくり感情を込めた。3番まで歌ったが、2番と3番の間で、キーを半音上げたように思う。ドラマではやっていなかった。アカペラでは音程がしっかりしていないと、とてもむずかしいと思う。
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