22日21時35分=2022年=
恐るべき今村昌平監督の名作「復讐するは我にあり」
キネ旬ベスト・テン1位、日本アカデミー賞作品賞などを総なめにした「復讐するは我にあり」は、見たかった映画の1本。5人を殺害した西口彰事件犯罪をベースに佐木隆三が小説にし直木賞を受賞した。詐欺と残虐な殺人を繰り返す榎津巌(緒方拳)の逃亡劇であるが、俳優陣の名演と今村昌平監督の手腕によって周囲の人間模様がリアルに描かれ、どのシーンも印象深い。GYAO!のキネ旬特集で鑑賞。

1979年公開の映画で、すでに43年が経過。緒方拳をはじめ、三国連太郎、ミヤコ蝶々、清川虹子、フランキー堺といった名優はみんな鬼籍に入ってしまった。名優の演技だけではなく、倍賞美津子のヌード、小川真由美の美しさがフィルムに刻まれていることに感謝したい(2人は今も健在)。

榎津巌の逃亡劇は凄まじい。人の弱みや油断につけこんだ知能犯の詐欺を繰り返し、金を奪った後に殺してしまう。騙される人間の哀愁がにじみ出て切ない。人を殺して赤く染まった手をおしっこで洗い流し、その手で木になっている柿をもぎとって食べる場面は強烈(渋柿だったが)。老齢の弁護士(加藤嘉)をだまし、殺して隠したタンスの扉が何度も開いてしまうシーンも怖い。金物屋で金槌とくぎ、ガムテープを買ってきて扉を開かないようにする榎津は「滑稽」でもあり、それがまた怖い。まったく無防備な愛人の首をいとも簡単に絞めてしまうのも想像を絶する。
後半、逃亡中の榎津は大学教授と偽り、旅館の女主人浅野ハル(小川真由美)と、その母ひさ乃(清川虹子)一家の信用を得て旅館に寝泊まりする。榎津は心を寄せるハルとデートで映画館に入るが、ニュース映画に続いて、警察からの指名手配のお知らせが流れる。ついに正体がバレてしまうが、榎津は平然とふるまい、ハルは榎津の逃走を手助けする。元殺人犯で競艇狂いのひさ乃も、榎津を逃がそうとする。そんな母娘を榎津は絞め殺し、旅館の家財を売り飛ばして逃亡する。身の毛もよだつストーリーだ。
逃亡劇と並行して、榎津巌の父鎮雄(三国連太郎)と、巌の嫁加津子(倍賞美津子)のプラトニックラブが重なる。加津子は義父に心を寄せるが、敬虔なクリスチャンの鎮雄は欲望をこらえている。ある日、鎮雄が露天風呂に浸かっていると、裸になった加津子が入ってくる。「背中を流しましょう」と言って加津子は鎮雄の背中を流すと、鎮雄も加津子の背中を流してやる。この時、鎮雄はたまらず、背後から加津子の豊満な胸をもみしだく。だが、鎮雄はそこで踏みとどまり、先に湯船を出ていく。殺伐とした場面が続く映画の中での唯一の美しいシーンであり、倍賞美津子の体当たり演技と相まって、印象に残った。

ラストシーン。海岸の断崖から鎮雄と加津子が放り投げる巌の遺骨が、空中で停止する場面は何を表現しているのだろうか。映画のタイトル「復讐するは我にあり」は、聖書の「ローマ人への手紙」にあるそうだ。復讐するのは、神なのか。
今日の
最低気温-1.2度、最高気温1.2度。雪。
○……2月下旬になって再び大雪に見舞われるとは思わなかった。上越市高田(午前9時)の積雪は113cmで再び1m超え。妙高市新井でも55cmの降雪があり、積雪は再び2m超えの208cm。今冬の最深積雪となった。駐車場でクルマを掘り出すのに1時間かかり、通勤に1時間かかった。相馬御風ではないが、「春よこい」と叫びたい。
○……コロナ感染が止まらない。今日、妙高市では8人の感染者が出て、計346人になった。妙高市の人口は30766人(1月31日現在)だから、感染者数は人口の1%を超えている。約89人に1人が感染したことになる。身近なところで感染者が出ていることからも、実感できる。

1979年公開の映画で、すでに43年が経過。緒方拳をはじめ、三国連太郎、ミヤコ蝶々、清川虹子、フランキー堺といった名優はみんな鬼籍に入ってしまった。名優の演技だけではなく、倍賞美津子のヌード、小川真由美の美しさがフィルムに刻まれていることに感謝したい(2人は今も健在)。

榎津巌の逃亡劇は凄まじい。人の弱みや油断につけこんだ知能犯の詐欺を繰り返し、金を奪った後に殺してしまう。騙される人間の哀愁がにじみ出て切ない。人を殺して赤く染まった手をおしっこで洗い流し、その手で木になっている柿をもぎとって食べる場面は強烈(渋柿だったが)。老齢の弁護士(加藤嘉)をだまし、殺して隠したタンスの扉が何度も開いてしまうシーンも怖い。金物屋で金槌とくぎ、ガムテープを買ってきて扉を開かないようにする榎津は「滑稽」でもあり、それがまた怖い。まったく無防備な愛人の首をいとも簡単に絞めてしまうのも想像を絶する。
後半、逃亡中の榎津は大学教授と偽り、旅館の女主人浅野ハル(小川真由美)と、その母ひさ乃(清川虹子)一家の信用を得て旅館に寝泊まりする。榎津は心を寄せるハルとデートで映画館に入るが、ニュース映画に続いて、警察からの指名手配のお知らせが流れる。ついに正体がバレてしまうが、榎津は平然とふるまい、ハルは榎津の逃走を手助けする。元殺人犯で競艇狂いのひさ乃も、榎津を逃がそうとする。そんな母娘を榎津は絞め殺し、旅館の家財を売り飛ばして逃亡する。身の毛もよだつストーリーだ。
逃亡劇と並行して、榎津巌の父鎮雄(三国連太郎)と、巌の嫁加津子(倍賞美津子)のプラトニックラブが重なる。加津子は義父に心を寄せるが、敬虔なクリスチャンの鎮雄は欲望をこらえている。ある日、鎮雄が露天風呂に浸かっていると、裸になった加津子が入ってくる。「背中を流しましょう」と言って加津子は鎮雄の背中を流すと、鎮雄も加津子の背中を流してやる。この時、鎮雄はたまらず、背後から加津子の豊満な胸をもみしだく。だが、鎮雄はそこで踏みとどまり、先に湯船を出ていく。殺伐とした場面が続く映画の中での唯一の美しいシーンであり、倍賞美津子の体当たり演技と相まって、印象に残った。

ラストシーン。海岸の断崖から鎮雄と加津子が放り投げる巌の遺骨が、空中で停止する場面は何を表現しているのだろうか。映画のタイトル「復讐するは我にあり」は、聖書の「ローマ人への手紙」にあるそうだ。復讐するのは、神なのか。
今日の足跡
最低気温-1.2度、最高気温1.2度。雪。
○……2月下旬になって再び大雪に見舞われるとは思わなかった。上越市高田(午前9時)の積雪は113cmで再び1m超え。妙高市新井でも55cmの降雪があり、積雪は再び2m超えの208cm。今冬の最深積雪となった。駐車場でクルマを掘り出すのに1時間かかり、通勤に1時間かかった。相馬御風ではないが、「春よこい」と叫びたい。
○……コロナ感染が止まらない。今日、妙高市では8人の感染者が出て、計346人になった。妙高市の人口は30766人(1月31日現在)だから、感染者数は人口の1%を超えている。約89人に1人が感染したことになる。身近なところで感染者が出ていることからも、実感できる。
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