編み物に怒りを込める映画「彼らが本気で編むときは、」

日本のトランスジェンダーを描いた映画では、昨年1月に見た「ミッドナイトスワン」があるけれど、この「彼らが本気で編むときは、」（2017年）の方がずっと出来が良い。キネ旬10位というのが信じられない。GYAO!のキネ旬特集で鑑賞。



トランスジェンダーが世間に理解されず、主人公のリンコはいじめなどを受けた怒りの気持ちを編み物にひと針ひと針込めていく。また、リンコが手術をして切り取った男根への供養として、108個の男根を毛糸で作り、海岸で燃やす。また、少女トモの祖母は夫に浮気されたことを紛らわすため編み物をし、お棺に入れて怨念を晴らした。



このように、いろいろな感情、怒り、思いなどをひと針ひと針、毛糸に込めていくという設定が奇抜だし、成功している。リンコと恋人のマキオ、少女トモの３人がバスの中で編み物をしたり、毛糸で作った男根を海岸で燃やす場面が素晴らしかった。

↓毛糸で作った男根を海岸で燃やす


トモがリンコの人工おっぱいを触ったことが、最後のおっぱいの形の毛糸の編み物のプレゼントにつながっている。

性的なこともたくさん出てくるが、この映画でトランスジェンダーの人はどんな言葉で傷つくのかがよく分かった。この点でも「ミッドナイトスワン」を上回っている。それと、リンコを演じた生田斗真は、気持ち悪さがなく、とてもきれいだった。荻上直子監督の女性からの視点が生きていると思う。

ストーリーとは全然関係ないけれど、「ビールを発明した人にノーベル賞をあげたい」というせりふが２度出てくる。ビールで乾杯する場面も多い。脚本も書いた荻上直子監督はビールが大好きだったりして。

今日の足跡（そくせき）

最低気温0.5度、最高気温12.0度。曇り。

○…… 雪がどんどん解けている。今日から弥生3月。こよみの上では春だ。

この冬を振り返ると、上越市高田では2月24日の153cmが最深積雪。昨年は1月10日に249cmを記録しているので、今年は96cm少なかった。今年は市街地の一斉雪下ろしもなく、平年並みだったと言えるのではないか。

妙高市新井は、2月26日の265cmが最深積雪。昨年は1月11日の260cmが最深積雪だったので、今年は5cm多いもののほぼ同じだった。2年連続の豪雪といってもいいと思う。田町2丁目では民家が雪の重さで潰れた。雪の重さは恐ろしい。