28日22時03分=2022年=
祝アカデミー作品賞!笑いと涙の映画「コーダ あいのうた」
【評】★5つが最高
★★★★★
注目されていたアカデミー賞の作品賞は「コーダ あいのうた」に決まった。受賞が決まったその日に、映画を見たのはハッピーだ。笑いあり、涙ありの感動作だった。濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」は作品賞を逃したが、国際長編映画賞を取れので良かった。映画「コーダ あいのうた」は高田世界館で上映中だが、4月1日(金)で終了なので注意。

タイトルに付いている「CODA(コーダ)」とは、「Child of Deaf Adults」の略語で、「聾唖の親を持つ子供」という意味。女子高生ルビーの家族4人のうち父母兄は聾唖者。ルビーも含めて全員が漁業を営む。仕事の最中は手話でこと足りるが、陸にあがるとルビーの通訳に頼って生活せざるをえない。家族みんなが明るく、貧しいながらも協力しあって暮らしている様子がいい。
両親はセックスに対してオープンで、娘は通訳に困ることがある。両親がインキンタムシになり、医師から「セックスは2週間厳禁」と言われたのを、ルビーは忠実に訳すしかない。両親の「そりゃ無理だ」で大笑いした。


ルビーは歌が大好きで、合唱部顧問の坂本龍一似の熱血先生から才能を認められ、学校の発表会で男の子とのデュオをやれと言われる。ルビーの家で2人きりの練習をすることになった。先生には見つめ合って歌えと言われたが気恥ずかしい。2人のハーモニーが美しいだけではなく、背を向けて歌うのがいじらしい。だが、その美しい場面がギコギコ音と、あえぎ声でかき消される。ルビーが帰ってきているのが分からず、両親は昼間から行為を始めてしまったのだ。
顧問の先生は、都会の名門バークレー音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。健聴者が1人いないと、法律上は漁船の運行が認められないこともあり、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意する。

これ以上書くとネタバレになる。映画を見たいと思った人はこれ以上読まない方がいいかも。
歌の場面では何度も泣かされる。その歌の聞かせ方もうまい。デビッド・ボウイの「スターマン」をデュオでやるのだが、練習のときと本番で同じ曲を2度聞かせるという野暮なことはやらない。本番では聾唖者と同じ「無音」で歌を聞かせたのだ。そして、オーディションは家族に聴かせるため、手話付きで感動を倍加させた。曲はジョニー・ミッチェルの「青春の光と影」。大好きな曲だ。
↓助演男優を受賞したトロイ・コッツァー

さらに素晴らしかったのは、娘の歌声が聴けない父が「自分1人のために歌ってほしい」と娘ののどに手を置き、口の動きを読みながら歌ってもらう場面だ。父親を演じたトロイ・コッツァーは、おそらくこの場面でアカデミー助演男優賞を確実にしたのだと思う。
母親のせりふが心に残った。ルビーが生まれたとき、耳が聞こえると分かって「がっかりした」というのだ。なぜなら、「分かり合えないと思って」。

デュエットが縁で引かれ合う2人の純朴さも心を打つ。高さ10mの崖から川の淵に飛び込み、じゃれ合う場面が美しい。
(メモ)顧問の先生がルビーにしたアドバイスが面白い。「ボブ・ディランの声をデビッド・ボウイはなんと表現したか知っているか? 『砂と糊を混ぜたような声』と言ったんだ」。声の良さではなく、何を伝えるかが大事だということだろうか。
今日の
最低気温4.8度、最高気温11.7度。曇り。
↓フロントガラスに付いた花粉

○……今日も花粉が大量に飛んだ。車のガラスにたくさん付着していた。

○……昨日の上越映画鑑賞会の例会で、高田世界館のロビーに、このほど亡くなった映画評論家の佐藤忠男さんの色紙と著作「日本映画思想史」、新聞記事が置かれていた。会員の私物だろうか。色紙には次のように書かれていた。
「高田はなつかしい町です。一九四七年から四九年にかけてここにいました。雪の中を映画を見に歩き、古本屋で世界戯曲全集を買って読みふけりました。それが私の教養の土台です」
佐藤忠男(二〇〇〇年五月二十七日)
★★★★★
注目されていたアカデミー賞の作品賞は「コーダ あいのうた」に決まった。受賞が決まったその日に、映画を見たのはハッピーだ。笑いあり、涙ありの感動作だった。濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」は作品賞を逃したが、国際長編映画賞を取れので良かった。映画「コーダ あいのうた」は高田世界館で上映中だが、4月1日(金)で終了なので注意。

タイトルに付いている「CODA(コーダ)」とは、「Child of Deaf Adults」の略語で、「聾唖の親を持つ子供」という意味。女子高生ルビーの家族4人のうち父母兄は聾唖者。ルビーも含めて全員が漁業を営む。仕事の最中は手話でこと足りるが、陸にあがるとルビーの通訳に頼って生活せざるをえない。家族みんなが明るく、貧しいながらも協力しあって暮らしている様子がいい。
両親はセックスに対してオープンで、娘は通訳に困ることがある。両親がインキンタムシになり、医師から「セックスは2週間厳禁」と言われたのを、ルビーは忠実に訳すしかない。両親の「そりゃ無理だ」で大笑いした。


ルビーは歌が大好きで、合唱部顧問の坂本龍一似の熱血先生から才能を認められ、学校の発表会で男の子とのデュオをやれと言われる。ルビーの家で2人きりの練習をすることになった。先生には見つめ合って歌えと言われたが気恥ずかしい。2人のハーモニーが美しいだけではなく、背を向けて歌うのがいじらしい。だが、その美しい場面がギコギコ音と、あえぎ声でかき消される。ルビーが帰ってきているのが分からず、両親は昼間から行為を始めてしまったのだ。
顧問の先生は、都会の名門バークレー音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。健聴者が1人いないと、法律上は漁船の運行が認められないこともあり、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意する。

これ以上書くとネタバレになる。映画を見たいと思った人はこれ以上読まない方がいいかも。
歌の場面では何度も泣かされる。その歌の聞かせ方もうまい。デビッド・ボウイの「スターマン」をデュオでやるのだが、練習のときと本番で同じ曲を2度聞かせるという野暮なことはやらない。本番では聾唖者と同じ「無音」で歌を聞かせたのだ。そして、オーディションは家族に聴かせるため、手話付きで感動を倍加させた。曲はジョニー・ミッチェルの「青春の光と影」。大好きな曲だ。
↓助演男優を受賞したトロイ・コッツァー

さらに素晴らしかったのは、娘の歌声が聴けない父が「自分1人のために歌ってほしい」と娘ののどに手を置き、口の動きを読みながら歌ってもらう場面だ。父親を演じたトロイ・コッツァーは、おそらくこの場面でアカデミー助演男優賞を確実にしたのだと思う。
母親のせりふが心に残った。ルビーが生まれたとき、耳が聞こえると分かって「がっかりした」というのだ。なぜなら、「分かり合えないと思って」。

デュエットが縁で引かれ合う2人の純朴さも心を打つ。高さ10mの崖から川の淵に飛び込み、じゃれ合う場面が美しい。
(メモ)顧問の先生がルビーにしたアドバイスが面白い。「ボブ・ディランの声をデビッド・ボウイはなんと表現したか知っているか? 『砂と糊を混ぜたような声』と言ったんだ」。声の良さではなく、何を伝えるかが大事だということだろうか。
今日の足跡
最低気温4.8度、最高気温11.7度。曇り。
↓フロントガラスに付いた花粉

○……今日も花粉が大量に飛んだ。車のガラスにたくさん付着していた。

○……昨日の上越映画鑑賞会の例会で、高田世界館のロビーに、このほど亡くなった映画評論家の佐藤忠男さんの色紙と著作「日本映画思想史」、新聞記事が置かれていた。会員の私物だろうか。色紙には次のように書かれていた。
「高田はなつかしい町です。一九四七年から四九年にかけてここにいました。雪の中を映画を見に歩き、古本屋で世界戯曲全集を買って読みふけりました。それが私の教養の土台です」
佐藤忠男(二〇〇〇年五月二十七日)
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ブログ本文とは関係ありませんが、上越市の新しい副市長はyasuさんと同窓なのでは。