30日21時35分=2022年=
約50年ぶりに見た映画「ひまわり」
ウクライナで撮影されたという一面のヒマワリ畑が美しい映画「ひまわり」(1970年)の上映が高田世界館で始まった。高校2年の春休みに高田中劇で見たことを鮮明に覚えている。あれから半世紀。改めて見た映画の印象は、ロシアのウクライナ侵攻とも重なり、ずいぶん違った印象となった。

「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」というのは、梶井基次郎の『桜の樹の下には』の一節。映画で一面に咲くヒマワリの下には、イタリア兵やロシアの捕虜が埋まっていたのだ。
第二次大戦のロシア戦線は雪と寒さとの戦い。あの名作「八甲田山」で描かれたような地獄絵図。立ち止まったらたちどころに体が凍りついてしまう極寒の地が、冬のウクライナだったのだ。吹雪と寒さ、空腹で次々と倒れていく兵士。「このヒマワリ畑の下にはイタリア兵とロシア人捕虜が埋まっています」と語る地元案内人の言葉が印象的だ。

ウクライナで撮影されたというどこまでも続くひまわり畑は、タイトルバックとエンディングのほか、ロシア戦線に出征したまま戻らない夫(マルチェロ・マストロヤンニ)を、イタリア人の妻(ソフィア・ローレン)が捜しに行く場面に出てくる。キエフの南500キロにあるヘルソン州で撮影されたという。
ひまわり畑のタイトルバックは左にパン(水平移動)し、エンディングは右にパンしていることに気付いた。同じひまわり畑だが、最初と最後ではずいぶん印象が違う。ヒマワリはウクライナの国花であり、その花からとれる蜂蜜は名産となっている(先日、購入した)。
高校生の時に見たときは、もちろんひまわり畑の印象が強かったけれど、海辺の小舟に隠れて愛を交わす2人の激しさが強烈だった。映画前半は、女好きなイタリア男と、ナイスボディのナポリ女というおバカなカップルの話である。ナポリ女がそそのかし、出征を逃れるためのスピード婚と仮病の偽装工作。切ない話になるのはアントニオが出征してからだ。
↓リュドミラ・サベリーエワ

映画はソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが主役。だが、感情の起伏が激しく、必死の形相で夫を探すソフィア・ローレンよりも、清楚なロシア妻を演じたリュドミラ・サベリーエワの可憐さにひかれた。ジョバンナ(ソフィア・ローレン)を家に迎えた際や、夫がイタリアに向かうときの不安な表情が何ともいえない。それは再見した今回も同じ印象だ。
両方とも既に子供がいる家庭なので、アントニオがジョバンナを追ってイタリアに戻ってきても、既に修復は不可能だった。駅での別れのシーンは涙が止まらないほど感動した場面だったが、「これでアントニオは美しいロシア妻の元に帰れるのだ」と思ってしまう気持ちも交錯した。
ロシア軍のウクライナ侵攻で、引き裂かれた夫婦がどれだけいるかと思うと胸が痛い。ヘンリー・マンシーニの切ない旋律はウクライナの人々の悲しみを表しているようだ。
蛇足)新婚の朝、アントニオがジョバンナにオムレツを作ってやる場面がある。「じいさんも新婚の朝に食べた」というのだ。なんと卵を24個も使い、塩と胡椒で味付けをしたシンプルなもの。2人はオムレツを食べて腹いっぱいになる。この場面が夫婦の幸せを象徴していた。
今日の
最低気温2.3度、最高気温20.4度。晴れ。
○……ウクライナへの人道支援で先日、妙高市役所の募金箱に寄付をしてきた。
今月2日、上越市と上越市議会がプーチン大統領に抗議文を送ったと報じられた。ロシア大使館宛てに郵送したというが、プーチンに届くとは思われない。
それに市長と議長の署名が自筆ではなく、国際的には無意味なハンコを押してある。さらには、文書が日本語なのに笑ってしまった。プーチンはどうやって読むのか。上越市にはロシア語が分かる人材がいないということを公にしたようなもので、とても恥ずかしい。
抗議文を送るなら、併せて人道支援に寄付すべきだ。市民が寄付しているのに、市長や市議が寄付しないというのはおかしい。もし寄付しているのなら、情報公開すべきだ。

「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」というのは、梶井基次郎の『桜の樹の下には』の一節。映画で一面に咲くヒマワリの下には、イタリア兵やロシアの捕虜が埋まっていたのだ。
第二次大戦のロシア戦線は雪と寒さとの戦い。あの名作「八甲田山」で描かれたような地獄絵図。立ち止まったらたちどころに体が凍りついてしまう極寒の地が、冬のウクライナだったのだ。吹雪と寒さ、空腹で次々と倒れていく兵士。「このヒマワリ畑の下にはイタリア兵とロシア人捕虜が埋まっています」と語る地元案内人の言葉が印象的だ。

ウクライナで撮影されたというどこまでも続くひまわり畑は、タイトルバックとエンディングのほか、ロシア戦線に出征したまま戻らない夫(マルチェロ・マストロヤンニ)を、イタリア人の妻(ソフィア・ローレン)が捜しに行く場面に出てくる。キエフの南500キロにあるヘルソン州で撮影されたという。
ひまわり畑のタイトルバックは左にパン(水平移動)し、エンディングは右にパンしていることに気付いた。同じひまわり畑だが、最初と最後ではずいぶん印象が違う。ヒマワリはウクライナの国花であり、その花からとれる蜂蜜は名産となっている(先日、購入した)。
高校生の時に見たときは、もちろんひまわり畑の印象が強かったけれど、海辺の小舟に隠れて愛を交わす2人の激しさが強烈だった。映画前半は、女好きなイタリア男と、ナイスボディのナポリ女というおバカなカップルの話である。ナポリ女がそそのかし、出征を逃れるためのスピード婚と仮病の偽装工作。切ない話になるのはアントニオが出征してからだ。
↓リュドミラ・サベリーエワ

映画はソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが主役。だが、感情の起伏が激しく、必死の形相で夫を探すソフィア・ローレンよりも、清楚なロシア妻を演じたリュドミラ・サベリーエワの可憐さにひかれた。ジョバンナ(ソフィア・ローレン)を家に迎えた際や、夫がイタリアに向かうときの不安な表情が何ともいえない。それは再見した今回も同じ印象だ。
両方とも既に子供がいる家庭なので、アントニオがジョバンナを追ってイタリアに戻ってきても、既に修復は不可能だった。駅での別れのシーンは涙が止まらないほど感動した場面だったが、「これでアントニオは美しいロシア妻の元に帰れるのだ」と思ってしまう気持ちも交錯した。
ロシア軍のウクライナ侵攻で、引き裂かれた夫婦がどれだけいるかと思うと胸が痛い。ヘンリー・マンシーニの切ない旋律はウクライナの人々の悲しみを表しているようだ。
蛇足)新婚の朝、アントニオがジョバンナにオムレツを作ってやる場面がある。「じいさんも新婚の朝に食べた」というのだ。なんと卵を24個も使い、塩と胡椒で味付けをしたシンプルなもの。2人はオムレツを食べて腹いっぱいになる。この場面が夫婦の幸せを象徴していた。
今日の足跡
最低気温2.3度、最高気温20.4度。晴れ。
○……ウクライナへの人道支援で先日、妙高市役所の募金箱に寄付をしてきた。
今月2日、上越市と上越市議会がプーチン大統領に抗議文を送ったと報じられた。ロシア大使館宛てに郵送したというが、プーチンに届くとは思われない。
それに市長と議長の署名が自筆ではなく、国際的には無意味なハンコを押してある。さらには、文書が日本語なのに笑ってしまった。プーチンはどうやって読むのか。上越市にはロシア語が分かる人材がいないということを公にしたようなもので、とても恥ずかしい。
抗議文を送るなら、併せて人道支援に寄付すべきだ。市民が寄付しているのに、市長や市議が寄付しないというのはおかしい。もし寄付しているのなら、情報公開すべきだ。
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