01日22時35分=2022年=
上越映画鑑賞会例会上映「モロッコ、彼女たちの朝」
【評】★5つが最高、☆は半分
★★★★☆
北アフリカのモロッコが舞台。最大都市のカサブランカは、ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマン主演の往年の映画「カサブランカ」(1942年)を思い出す。古い映画なのだが、この映画「モロッコ、彼女たちの朝」も、ミステリアスな町の雰囲気が似ている。昨日、高田世界館で上映された上越映画鑑賞会の例会上映の作品。

その町の片隅の小さなパン店を営むアブラはシングルマザー。そこに臨月のサミアが働き口を探して尋ねてくる。この国では未婚の妊婦はタブーなので、どこも断られてしまう。大きなお腹を抱え、夜になって道端で寝ているサミアを見て自宅に迎え入れるアブラ。周囲の目を気にしてアブラは、いとことしてかくまう。アブラは夫を事故で亡くし、幼い娘ワルダと2人でひっそりと暮らしていた。サミアはルジザという手間のかかるパンを作るのが上手で、店に出すとよく売れた。辛い環境ながら、前向きでお茶目なサミアの存在は、孤独だった親子の日々に明るさを与える。


ネットで調べるとルジザというのは、小麦粉を紐のように伸ばして、手に巻き付けて作るパンケーキの一種。オリーブオイルやはちみつをかけて食べるそうだ。映画だと香りが分からないが、とてもおいしそうなパンだった。
この映画で初めて知ったが、モロッコでは夫が亡くなった際も、女性は埋葬や葬儀に参列できないという。アブラの「夫に触れることも、キスもできなかった。匂いもかげなかった」というせりふが切ない。
サミアは生まれてくる子供を養子に出そうと思っている。未婚の母の子ならば、一生後ろ指を刺されて生きていかなければならないからだ。サミアは無事に子を産み落とすが、子供が泣いてもおっぱいを与えようとしない。アブラにうながされて、ようやく母乳を含ませるシーンが切ない。赤ちゃんに母乳を与えるシーン自体が映画には少ないと思うが、とても美しく切ないシーンだった。
これ以上、ストーリーに触れないが、ストーリー自体は日本の昔の映画にもよく出てくるよくある話だ。世界共通というよりも、日本が男尊女卑の社会である現れだと思うが。
本作が長編映画デビュー作だというマリヤム・トゥザニ監督はすごい。淡々とした映像はまるでベテラン監督のようだ。そして、どのシーンも映像が美しい。中でもアブラとワルダが一緒にパン生地をこねるシーンが印象に残る。明暗をうまく使い分け、心理状態までを描いた。それから、アブラ役のルブナ・アザバルの“強い女”としての尊厳にあふれた演技と、不思議な魅力にあふれたサミアの演技が素晴らしい。子役ワルダを演じたドゥエ・ベルカウダも自然な演技で可愛らしく、全体的に暗い映画に明るさをもたらした。
モロッコの長編映画としては、日本初公開の映画だという。2021年8月公開作品。101分。
今日の
最低気温27.2度、最高気温35.8度。猛暑日になった。

○……先日、道の駅あらいにTAKEOKAの1人乗りのEVカー「T-10」の痛車がとまっていた。かわいらしくて目立つ。
一度の充電でおよそ45㎞走行でき、約120万円。原付と同じなので、車検や車庫証明、重量税などがいらない。法定速度は60kmだが、買い物などにはいいと思う。雪には弱いと思うが。
★★★★☆
北アフリカのモロッコが舞台。最大都市のカサブランカは、ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマン主演の往年の映画「カサブランカ」(1942年)を思い出す。古い映画なのだが、この映画「モロッコ、彼女たちの朝」も、ミステリアスな町の雰囲気が似ている。昨日、高田世界館で上映された上越映画鑑賞会の例会上映の作品。

その町の片隅の小さなパン店を営むアブラはシングルマザー。そこに臨月のサミアが働き口を探して尋ねてくる。この国では未婚の妊婦はタブーなので、どこも断られてしまう。大きなお腹を抱え、夜になって道端で寝ているサミアを見て自宅に迎え入れるアブラ。周囲の目を気にしてアブラは、いとことしてかくまう。アブラは夫を事故で亡くし、幼い娘ワルダと2人でひっそりと暮らしていた。サミアはルジザという手間のかかるパンを作るのが上手で、店に出すとよく売れた。辛い環境ながら、前向きでお茶目なサミアの存在は、孤独だった親子の日々に明るさを与える。


ネットで調べるとルジザというのは、小麦粉を紐のように伸ばして、手に巻き付けて作るパンケーキの一種。オリーブオイルやはちみつをかけて食べるそうだ。映画だと香りが分からないが、とてもおいしそうなパンだった。
この映画で初めて知ったが、モロッコでは夫が亡くなった際も、女性は埋葬や葬儀に参列できないという。アブラの「夫に触れることも、キスもできなかった。匂いもかげなかった」というせりふが切ない。
サミアは生まれてくる子供を養子に出そうと思っている。未婚の母の子ならば、一生後ろ指を刺されて生きていかなければならないからだ。サミアは無事に子を産み落とすが、子供が泣いてもおっぱいを与えようとしない。アブラにうながされて、ようやく母乳を含ませるシーンが切ない。赤ちゃんに母乳を与えるシーン自体が映画には少ないと思うが、とても美しく切ないシーンだった。
これ以上、ストーリーに触れないが、ストーリー自体は日本の昔の映画にもよく出てくるよくある話だ。世界共通というよりも、日本が男尊女卑の社会である現れだと思うが。
本作が長編映画デビュー作だというマリヤム・トゥザニ監督はすごい。淡々とした映像はまるでベテラン監督のようだ。そして、どのシーンも映像が美しい。中でもアブラとワルダが一緒にパン生地をこねるシーンが印象に残る。明暗をうまく使い分け、心理状態までを描いた。それから、アブラ役のルブナ・アザバルの“強い女”としての尊厳にあふれた演技と、不思議な魅力にあふれたサミアの演技が素晴らしい。子役ワルダを演じたドゥエ・ベルカウダも自然な演技で可愛らしく、全体的に暗い映画に明るさをもたらした。
モロッコの長編映画としては、日本初公開の映画だという。2021年8月公開作品。101分。
今日の足跡
最低気温27.2度、最高気温35.8度。猛暑日になった。

○……先日、道の駅あらいにTAKEOKAの1人乗りのEVカー「T-10」の痛車がとまっていた。かわいらしくて目立つ。
一度の充電でおよそ45㎞走行でき、約120万円。原付と同じなので、車検や車庫証明、重量税などがいらない。法定速度は60kmだが、買い物などにはいいと思う。雪には弱いと思うが。
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