01日21時34分=2022年=
群馬県みなかみ町の「太宰治文学碑」
今回(10月28、29日)の群馬への旅は、「テルマエ・ロマエⅡ」のロケ地を巡ることが主目的だったが、みなかみ町にある太宰治の文学碑も近くにあることがわかり、立ち寄った。太宰治は1か月ほど谷川温泉の旅館に滞在し「創世記」を書き上げた。
宿泊した宝川温泉汪泉閣から、奥利根ゆけむり街道を通り、県道264号を行けば20分ほどだ。

まずは水上駅へ。太宰治の「姥捨」には、次のような文がある。
「…水上駅に到着したのは、朝の四時である。まだ、暗かった。心配していた雪もたいてい消えていて、駅のもの蔭に薄鼠いろして静かにのこっているだけで、このぶんならば山上の谷川温泉まで歩いて行けるかも知れないと思ったが、それでも大事をとって嘉七は駅前の自動車屋を叩き起した。
自動車がくねくね電光型に曲折しながら山をのぼるにつれて、野山が闇の空を明るくするほど真白に雪に覆われているのがわかって来た。…」
↓水上駅近くにあるD-51

当時のJR水上駅はどんな駅だったかはわからないが、今は現代的なデザインである。駅の構内にはSL転車台広場があり、広場の中心には迫力のD51が静態保存されている。また実際に使われている転車台を眺めることもできる。
ここから谷川温泉に向かう。約3kmなので、普通なら5分ほどで到着する距離だ。その道中の右側に太宰治文学碑があるので、見落とさないようにゆっくり車を走らせてもらった。
↓「姥捨」の碑


文学碑はすぐ分かった。「姥捨」の一節が書かれていて、立派な碑である。場所が分からない場合は、緯度・経度を地図アプリにコピペすればいい。「36.780787, 138.962464」である。
石碑の文面は「水上駅に到着したのは、朝の四時である。まだ、暗かった。心配していた雪もたいてい消えていて、駅のもの蔭に薄鼠いろして静かにのこっているだけで、このぶんならば山上の谷川温泉まで歩いて行けるかも知れないと思ったが、それでも大事をとって嘉七は駅前の自動車屋を叩き起した」と書かれていた。
↓旅館たにがわ

山道を上ると谷川温泉に出る。8軒ほど旅館があり、奥の方に「旅館たにがわ」がある。高級で高そうな旅館だ。向かい側にある駐車場の一角に太宰治の文学碑がある。
↓太宰治文学碑

ここには「旅館たにがわ」の前身である「川久保屋」という旅館があり、昭和11年にパピナール中毒の転地治療を川端康成に勧められ、1か月近く滞在して「創世記」を執筆した。
文学碑は左右に分かれて2面あり、右側には太宰が好きだった伊藤左千夫の歌「池水は濁りに にごり藤波の 影もうつらず 雨降りしきる」が書かれている。太宰没後40周年を記念して建てたものだという。
左側には「太宰治『姥捨』の宿」として、次のように由来が書かれている。
…この時の滞在先は当時の書簡に「群馬県水上村谷川温泉川久保方」を記載してあるので、同村大字谷川五二二番地の川久保屋がこれに該当するが、この建物をのちに増改築したのが谷川本館(旅館たにがわ)であり、現在の駐車場がその跡地にあたる。「人間失格」事件の因となった「創生記」は谷川温泉で執筆した問題作、名作「姥捨」は川久保屋の老夫婦と水上温泉郷を舞台とした作品である。…
↓太宰治ミニギャラリー

↓滞在した部屋を再現

↓太宰の学生証や定期券

↓和服があったが、太宰のものではなさそうだ

「旅館たにがわ」には、太宰治ミニギャラリーを併設している。太宰が当時宿泊した和室を再現し、太宰が実際に使用していた定期券、本類や写真集などの貴重な資料がある。旅館の女将が出てきたので、新潟からはるばる来たことを説明すると、「どうぞ自由にごらんください」と見せてくれた。
太宰が使っていた定期券は珍しいと思う。著作もけっこうあった。和服姿の美人女将が、われわれが車を出すまで玄関に立って見送りをしてくれた。客でもないのに恐縮した。一度は泊まってみたいと思い、パンフレットをもらってきた。
【太宰治に関するブログ記事】
◇「乗り放題パス」旅行記⑥ 青森市内の太宰治(2022年10月22日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5514.html
◇太宰治文学散歩「三鷹」③ 太宰が渡った跨線橋(2022年6月24日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5394.html
◇太宰治文学散歩「三鷹」② 太宰が入水した玉川上水へ(2022年6月23日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5393.html
◇太宰治文学散歩「三鷹」①(2022年6月22日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5392.html
◇「桜桃忌」に太宰治を訪ねて(2022年6月21日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5391.html
◇河口湖のカチカチ山と太宰治(2021年12月6日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5194.html
◇太宰治が滞在した「天下茶屋」へ(2021年10月19日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5145.html
◇坂口安吾が出てくる映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」(2021年5月5日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-4976.html
◇岩木山は美女だった(2010年11月10日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1116.html
◇太宰治と宮沢賢治の故郷を訪ねて(3)(2010年11月8日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1118.html
◇太宰治と宮沢賢治の故郷を訪ねて(2)(2010年11月7日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1119.html
◇太宰治と宮沢賢治の故郷を訪ねて(1)(2010年11月6日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1120.html
◇音楽が素晴らしい映画「パンドラの匣」(2010年10月5日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1092.html
◇「パンドラの匣」の初版復刻本(2010年1月26日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-837.html
◇「ヴィヨンの妻」(2009年10月15日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-765.html
◇月見草や宵待草はマツヨイグサだった(2009年8月21日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-709.html
◇今日は桜桃忌、太宰は新潟にも来た(2009年6月19日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-661.html
今日の
最低気温12.4度、最高気温16.8度。曇りで夕方から小雨。

○……群馬県は港から遠いので、ガソリンが20円ほど高い。驚いた。
宿泊した宝川温泉汪泉閣から、奥利根ゆけむり街道を通り、県道264号を行けば20分ほどだ。

まずは水上駅へ。太宰治の「姥捨」には、次のような文がある。
「…水上駅に到着したのは、朝の四時である。まだ、暗かった。心配していた雪もたいてい消えていて、駅のもの蔭に薄鼠いろして静かにのこっているだけで、このぶんならば山上の谷川温泉まで歩いて行けるかも知れないと思ったが、それでも大事をとって嘉七は駅前の自動車屋を叩き起した。
自動車がくねくね電光型に曲折しながら山をのぼるにつれて、野山が闇の空を明るくするほど真白に雪に覆われているのがわかって来た。…」
↓水上駅近くにあるD-51

当時のJR水上駅はどんな駅だったかはわからないが、今は現代的なデザインである。駅の構内にはSL転車台広場があり、広場の中心には迫力のD51が静態保存されている。また実際に使われている転車台を眺めることもできる。
ここから谷川温泉に向かう。約3kmなので、普通なら5分ほどで到着する距離だ。その道中の右側に太宰治文学碑があるので、見落とさないようにゆっくり車を走らせてもらった。
↓「姥捨」の碑


文学碑はすぐ分かった。「姥捨」の一節が書かれていて、立派な碑である。場所が分からない場合は、緯度・経度を地図アプリにコピペすればいい。「36.780787, 138.962464」である。
石碑の文面は「水上駅に到着したのは、朝の四時である。まだ、暗かった。心配していた雪もたいてい消えていて、駅のもの蔭に薄鼠いろして静かにのこっているだけで、このぶんならば山上の谷川温泉まで歩いて行けるかも知れないと思ったが、それでも大事をとって嘉七は駅前の自動車屋を叩き起した」と書かれていた。
↓旅館たにがわ

山道を上ると谷川温泉に出る。8軒ほど旅館があり、奥の方に「旅館たにがわ」がある。高級で高そうな旅館だ。向かい側にある駐車場の一角に太宰治の文学碑がある。
↓太宰治文学碑

ここには「旅館たにがわ」の前身である「川久保屋」という旅館があり、昭和11年にパピナール中毒の転地治療を川端康成に勧められ、1か月近く滞在して「創世記」を執筆した。
文学碑は左右に分かれて2面あり、右側には太宰が好きだった伊藤左千夫の歌「池水は濁りに にごり藤波の 影もうつらず 雨降りしきる」が書かれている。太宰没後40周年を記念して建てたものだという。
左側には「太宰治『姥捨』の宿」として、次のように由来が書かれている。
…この時の滞在先は当時の書簡に「群馬県水上村谷川温泉川久保方」を記載してあるので、同村大字谷川五二二番地の川久保屋がこれに該当するが、この建物をのちに増改築したのが谷川本館(旅館たにがわ)であり、現在の駐車場がその跡地にあたる。「人間失格」事件の因となった「創生記」は谷川温泉で執筆した問題作、名作「姥捨」は川久保屋の老夫婦と水上温泉郷を舞台とした作品である。…
↓太宰治ミニギャラリー

↓滞在した部屋を再現

↓太宰の学生証や定期券

↓和服があったが、太宰のものではなさそうだ

「旅館たにがわ」には、太宰治ミニギャラリーを併設している。太宰が当時宿泊した和室を再現し、太宰が実際に使用していた定期券、本類や写真集などの貴重な資料がある。旅館の女将が出てきたので、新潟からはるばる来たことを説明すると、「どうぞ自由にごらんください」と見せてくれた。
太宰が使っていた定期券は珍しいと思う。著作もけっこうあった。和服姿の美人女将が、われわれが車を出すまで玄関に立って見送りをしてくれた。客でもないのに恐縮した。一度は泊まってみたいと思い、パンフレットをもらってきた。
【太宰治に関するブログ記事】
◇「乗り放題パス」旅行記⑥ 青森市内の太宰治(2022年10月22日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5514.html
◇太宰治文学散歩「三鷹」③ 太宰が渡った跨線橋(2022年6月24日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5394.html
◇太宰治文学散歩「三鷹」② 太宰が入水した玉川上水へ(2022年6月23日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5393.html
◇太宰治文学散歩「三鷹」①(2022年6月22日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5392.html
◇「桜桃忌」に太宰治を訪ねて(2022年6月21日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5391.html
◇河口湖のカチカチ山と太宰治(2021年12月6日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5194.html
◇太宰治が滞在した「天下茶屋」へ(2021年10月19日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-5145.html
◇坂口安吾が出てくる映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」(2021年5月5日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-4976.html
◇岩木山は美女だった(2010年11月10日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1116.html
◇太宰治と宮沢賢治の故郷を訪ねて(3)(2010年11月8日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1118.html
◇太宰治と宮沢賢治の故郷を訪ねて(2)(2010年11月7日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1119.html
◇太宰治と宮沢賢治の故郷を訪ねて(1)(2010年11月6日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1120.html
◇音楽が素晴らしい映画「パンドラの匣」(2010年10月5日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-1092.html
◇「パンドラの匣」の初版復刻本(2010年1月26日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-837.html
◇「ヴィヨンの妻」(2009年10月15日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-765.html
◇月見草や宵待草はマツヨイグサだった(2009年8月21日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-709.html
◇今日は桜桃忌、太宰は新潟にも来た(2009年6月19日)
http://8446.blog79.fc2.com/blog-entry-661.html
今日の足跡
最低気温12.4度、最高気温16.8度。曇りで夕方から小雨。

○……群馬県は港から遠いので、ガソリンが20円ほど高い。驚いた。
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