17日21時15分=2022年=
上越市内でロケが行われた映画「天上の花」
詩人・三好達治の師である萩原朔太郎の妹、慶子を愛するがゆえの苦悩と葛藤を描いた映画「天上の花」を高田世界館で見てきた。映画終了後、柏崎市出身のプロデューサーの小林三四郎さんと慶子役の女優、入山法子さんによる舞台あいさつが行われた。上越市でロケをした場面もあり、新たなご当地映画が加わった。
【評】★5つが最高。☆は半分
★★★☆
↓旧師団長官舎でクランクイン。萩原朔太郎の新築の家の設定(この場所で撮影)

↓旧師団長官舎

↓ポスターが掲示されていた

↓ポスターは旧今井染物屋で撮影した写真

↓ロケ地マップ

上越ロケは、いずれも映画の冒頭部分だ。映画館の場面が高田世界館、萩原朔太郎の家が旧今井染物屋(大町5)、萩原朔太郎の新居が旧師団長官舎だ。三好達治が最初に就職するが倒産してしまう出版社アルス社が高田まちかど交流館(本町3)、達治と慶子が降り立つ福井県の「みくにみなと駅」が有間川駅で撮影された。他に糸魚川市の筒石海岸も出てくる。
↓ロケに使われた有間川駅

有間川駅は先日、糸魚川に行く際に写真を撮ったばかり。旧師団長官舎は映画の帰りに立ち寄り、映画と同じ場面を撮影してきた。萩原朔太郎の新居に三好達治が訪ねていく場面だった。
↓日刊スポーツの記事

さて、映画は詩人・三好達治が師とあおぐ萩原朔太郎の家で、妹の慶子(本名はアイ)に達治が一目惚れしてしまう。萩原朔太郎はかなりのイケメンだが、4人の妹も美人ぞろいだったらしい。だが、達治は大学を卒業したばかりで生活力がなく、親から反対されてしまう。達治の就職が条件だったが、その出版社が倒産し、婚約は破棄される。
失意の達治は第一詩集『測量船』を発刊。その中に有名な2行詩「雪」がある。「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ」という詩で、教科書にも載った。
映画ではその詩が好きだという佐藤春夫(詩人)の姪と達治が結婚し、慶子は佐藤惣之助(「湖畔の宿」「赤城の子守唄」「阪神タイガースの歌」の作詞者)と結婚するが、萩原朔太郎の葬儀の4日後に亡くなる。葬儀で久しぶりに慶子と会った達治は、その場で求婚。妻に平身低頭して離縁して彼女と結婚し、16年4か月ぶりの恋が実る。
太平洋戦争の真っただ中、達治と慶子は越前三国の田舎でひっそりと新婚生活を送り始めるが、古風な考えの達治と、金持ちの家に育ち自由奔放な性格の慶子では合わなかった。食べ物の好みが合わず、貧乏生活からも抜け出せない。達治は次第に暴力をふるうようになる……。
愛するがゆえに、憎しみも増す愛憎劇。それも戦争による閉塞感と、食料不足が加わって、DVにつながっていく。このあたりの2人の心情がうまく表現されていた。
三好達治役の東出昌大は、長岡が舞台の「峠 最後のサムライ」で徳川慶喜役で出ていたし、元義理の父は高田や小出で育った渡辺謙だし、なぜか新潟県とつながりがある。なかなかの名演だった。
◇主演女優とプロデューサーが舞台挨拶

さて、映画終了後の舞台挨拶には、柏崎市出身のプロデューサーの小林三四郎さんと慶子役の女優、入山法子さんが登壇した。小林さんは佐藤惣之助役も演じるなど、雄弁で多彩な人だ。入山さんはファッションモデルだけあって、スラリとした体型で顔が小さい。
小林さんは戦争協力の意図を含んだ詩「戦争詩」から切り出した。「戦争詩を書いた人たちがいる。この作品に携わる前は、むりやり書かさされたり、自分のやりたい詩をねじ曲げた悲劇の人だと思っていた。だが、熱狂して書いた多くの人もいた。だから悲劇ではない部分も描かなくてはいけないと思った」と話した。
映画では夫婦間のDVが執拗に描かれた。入山さんは女性の視点で「暴力を肯定も否定もしない。人間って言葉にできない感情を抱いてしまうことってある。そういうのを表現するのが映画の世界。それを見ることで救われることがあると思っている。でも、毎日のように平出さんの大きな手が飛んでくるのは怖かった」と話していた。
小林さんは萩原慶子について「普通にみれば扱いにくい、わがままな女性だ。でも多くの国民が抱えていた我慢、国からの圧力で自由に物事が言えない中で、慶子は自由に自分の思いを話をしていた」と評価した。
ロケ地を探し始めたのは去年の8月ぐらいだという。小林さんは「東京オリンピック真っ盛りで、コロナ感染が増え厳戒態勢で、ロケはどこも受け入れてくれなかった。そうなれば、海、山、川がある故郷の柏崎しかないなと。たまたま私の同級生が副市長だったし、うちの実家が寺だったので、フルに活用した」と話していた。また、長岡で撮影した「キャタピラー」の若松孝二が大先輩。「新潟県があるじゃないか」と。
また、小林さんは「映画を作るのにあたって軍服の出ない戦争映画を作りたいと思った。日本のすみずみまで圧力によって、人々の自由を奪っていったという空気感を描き出したかった」と話していた。
なぜ、上越でロケをしたのかという質問に対して「新潟市のフィルムコミッションに、1時間で往復できる場所をオーダーした。古民家があり、海があるという所などをロケハンで写真を撮って決めた」という。クランクインは旧師団長官舎だったという。
映画は全国70か所で上映が決まっている。正月には県央イオンシネマ、シネ・ウインドで上映されるという。
今日の
最低気温0.7度、最高気温7.6度。曇り。

○……先日、テレビでやっていた外国人観光客が日本で買った「ベスト15」というのをやっていた。アニメなどのフィギュアが1位というのは意外。4位のチョコ菓子は分かるが、6位の包丁はわからなかった。世界中の一流シェフが日本の包丁を使っているそうだ。13位の柿の種は新潟県人としてうれしい。14位の卵焼きフライパンは、日本食ブームのため。
【評】★5つが最高。☆は半分
★★★☆
↓旧師団長官舎でクランクイン。萩原朔太郎の新築の家の設定(この場所で撮影)

↓旧師団長官舎

↓ポスターが掲示されていた

↓ポスターは旧今井染物屋で撮影した写真

↓ロケ地マップ

上越ロケは、いずれも映画の冒頭部分だ。映画館の場面が高田世界館、萩原朔太郎の家が旧今井染物屋(大町5)、萩原朔太郎の新居が旧師団長官舎だ。三好達治が最初に就職するが倒産してしまう出版社アルス社が高田まちかど交流館(本町3)、達治と慶子が降り立つ福井県の「みくにみなと駅」が有間川駅で撮影された。他に糸魚川市の筒石海岸も出てくる。
↓ロケに使われた有間川駅

有間川駅は先日、糸魚川に行く際に写真を撮ったばかり。旧師団長官舎は映画の帰りに立ち寄り、映画と同じ場面を撮影してきた。萩原朔太郎の新居に三好達治が訪ねていく場面だった。
↓日刊スポーツの記事

さて、映画は詩人・三好達治が師とあおぐ萩原朔太郎の家で、妹の慶子(本名はアイ)に達治が一目惚れしてしまう。萩原朔太郎はかなりのイケメンだが、4人の妹も美人ぞろいだったらしい。だが、達治は大学を卒業したばかりで生活力がなく、親から反対されてしまう。達治の就職が条件だったが、その出版社が倒産し、婚約は破棄される。
失意の達治は第一詩集『測量船』を発刊。その中に有名な2行詩「雪」がある。「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ」という詩で、教科書にも載った。
映画ではその詩が好きだという佐藤春夫(詩人)の姪と達治が結婚し、慶子は佐藤惣之助(「湖畔の宿」「赤城の子守唄」「阪神タイガースの歌」の作詞者)と結婚するが、萩原朔太郎の葬儀の4日後に亡くなる。葬儀で久しぶりに慶子と会った達治は、その場で求婚。妻に平身低頭して離縁して彼女と結婚し、16年4か月ぶりの恋が実る。
太平洋戦争の真っただ中、達治と慶子は越前三国の田舎でひっそりと新婚生活を送り始めるが、古風な考えの達治と、金持ちの家に育ち自由奔放な性格の慶子では合わなかった。食べ物の好みが合わず、貧乏生活からも抜け出せない。達治は次第に暴力をふるうようになる……。
愛するがゆえに、憎しみも増す愛憎劇。それも戦争による閉塞感と、食料不足が加わって、DVにつながっていく。このあたりの2人の心情がうまく表現されていた。
三好達治役の東出昌大は、長岡が舞台の「峠 最後のサムライ」で徳川慶喜役で出ていたし、元義理の父は高田や小出で育った渡辺謙だし、なぜか新潟県とつながりがある。なかなかの名演だった。
◇主演女優とプロデューサーが舞台挨拶

さて、映画終了後の舞台挨拶には、柏崎市出身のプロデューサーの小林三四郎さんと慶子役の女優、入山法子さんが登壇した。小林さんは佐藤惣之助役も演じるなど、雄弁で多彩な人だ。入山さんはファッションモデルだけあって、スラリとした体型で顔が小さい。
小林さんは戦争協力の意図を含んだ詩「戦争詩」から切り出した。「戦争詩を書いた人たちがいる。この作品に携わる前は、むりやり書かさされたり、自分のやりたい詩をねじ曲げた悲劇の人だと思っていた。だが、熱狂して書いた多くの人もいた。だから悲劇ではない部分も描かなくてはいけないと思った」と話した。
映画では夫婦間のDVが執拗に描かれた。入山さんは女性の視点で「暴力を肯定も否定もしない。人間って言葉にできない感情を抱いてしまうことってある。そういうのを表現するのが映画の世界。それを見ることで救われることがあると思っている。でも、毎日のように平出さんの大きな手が飛んでくるのは怖かった」と話していた。
小林さんは萩原慶子について「普通にみれば扱いにくい、わがままな女性だ。でも多くの国民が抱えていた我慢、国からの圧力で自由に物事が言えない中で、慶子は自由に自分の思いを話をしていた」と評価した。
ロケ地を探し始めたのは去年の8月ぐらいだという。小林さんは「東京オリンピック真っ盛りで、コロナ感染が増え厳戒態勢で、ロケはどこも受け入れてくれなかった。そうなれば、海、山、川がある故郷の柏崎しかないなと。たまたま私の同級生が副市長だったし、うちの実家が寺だったので、フルに活用した」と話していた。また、長岡で撮影した「キャタピラー」の若松孝二が大先輩。「新潟県があるじゃないか」と。
また、小林さんは「映画を作るのにあたって軍服の出ない戦争映画を作りたいと思った。日本のすみずみまで圧力によって、人々の自由を奪っていったという空気感を描き出したかった」と話していた。
なぜ、上越でロケをしたのかという質問に対して「新潟市のフィルムコミッションに、1時間で往復できる場所をオーダーした。古民家があり、海があるという所などをロケハンで写真を撮って決めた」という。クランクインは旧師団長官舎だったという。
映画は全国70か所で上映が決まっている。正月には県央イオンシネマ、シネ・ウインドで上映されるという。
今日の足跡
最低気温0.7度、最高気温7.6度。曇り。

○……先日、テレビでやっていた外国人観光客が日本で買った「ベスト15」というのをやっていた。アニメなどのフィギュアが1位というのは意外。4位のチョコ菓子は分かるが、6位の包丁はわからなかった。世界中の一流シェフが日本の包丁を使っているそうだ。13位の柿の種は新潟県人としてうれしい。14位の卵焼きフライパンは、日本食ブームのため。
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