19日21時42分=2023年=
勇壮な火祭り 野沢温泉村の「道祖神祭り」
長野県の野沢温泉村で1月15日夜、奇祭として知られる「道祖神祭り」を見てきた。たいまつを持って社殿に火を付けようと突き進む村民と、社殿を守る厄年の男たちが攻防を繰り広げる伝統行事はすさまじい。氷点下の寒さの中、4時間以上立ちっぱなしで見たので、体力的に厳しかったが、それを上回る感動をもらった。国重要無形民俗文化財とされるだけある貴重な民俗行事だった。
↓町の各所に飾られた道祖神

今年の「道祖神祭り」は、コロナ禍のためホテルや旅館に泊まって証明をもらわないと入場できないことが分かった。それから旅行サイトで宿探しをしたが、まったく空き部屋がない。だが、Booking.comで「夕食なし、朝食付き」の部屋が取れたので一安心。料金も1人6700円と安かった。「夕食は、道祖神祭りの会場に行く途中の居酒屋で食べればいいや」と安易に考えていたが、現実は厳しかった。
◇あわや食事難民に
一抹の不安はあった。車で野沢温泉に向かう途中、数軒の居酒屋に電話し席を確保しようとしたが、電話に出てくれない。いったいどうしたのだろうか。
午後5時に旅館に着き、支度をしてからすぐにでかけた。旅館の人から地図をもらい、飲食店のある場所を教えてもらったが、不安は的中した。なんと、居酒屋、すし店、食堂、ラーメン店など、食事を提供している店の席はほぼ外国人で埋め尽くされていた。何軒も回ったが、全部満席。呆然自失、思考停止である。
外国人は素泊まりが多く、外食をすると聞いていたが、その通りだった。その上、店のスタッフも外国人が多い。店内は英語、韓国語、中国語などが飛び交っていた。これが今の野沢温泉なのか。
食事がとれない状態では体力が持たないと思い、ただ一つの選択肢であるヤマザキデイリーストアに入った。だが、サンドイッチやおにぎり類など、多くの食品が売り切れていた。わずかに残っていたパンを買ってかじる粗末な夕食だった。しかし、ラーメン店から客が出てくるのを見て、入ってみたらカウンター2席が空いていた。「地獄に仏」とはオーバーだが、ようやく温かいものが食べられる!
熱燗の日本酒、餃子、ラーメンを注文した。スタッフは外国人で餃子は冷凍食品だったが、空きっ腹にはとてもおいしく感じられた。「空腹にまずいものなし」。
↓まるで木造建築物のような社殿

午後7時ごろに会場入り。そこには高さ10mを超える社殿が建っていた。いわゆる「さいの神」であるが、ケヤキの神木を心木にして、組み上げた立派な木造建築物だ。社殿の上には人が上がれるようになっている。こんなさいの神を見たのは初めてだ。社殿の組み立ては14日朝から始まり、15日昼ごろに完成したという。
↓初灯籠の動画(2分30秒)
↓初灯籠

午後7時に河野家に火をもらいにいく儀式に続き、7時30分に初灯籠が到着した。長男の生まれた家が奉納するものらしい。これから始まるというのに友人は「先に帰ります」と姿を消した。ずっと運転してもらっていたので、疲れたのだろう。氷点下の寒空の下で立っているだけで辛いはずだ。
↓道祖神祭りの攻防(動画・約10分))
↓花火も上がった

↓道祖神祭りの攻防(午後8時53分頃)

↓道祖神祭り(午後9時21分)

↓道祖神祭り(午後10時8分)

↓道祖神まつりのフィナーレ(午後10時15分)

たいまつ行列、道祖神太鼓、花火の打ち上げがあり、8時30分ごろから火付けの攻防が始まった。雪がちらつく中、たいまつを手に村民らが社殿に向かって突進。社殿の下に構えた厄年の男性らは必死の形相で対抗する。夜空に火の粉が舞い、次第に攻防は激しくなる。それが1時間半ほど続いた。
↓道祖神祭りのクライマックス(動画・1分40秒)
次第に会場は人でぎっしり埋まり、身動きできない状態に。左右を英語圏の女性と中国語圏の女性に囲まれ、「いったいどこの国の民俗行事なのか」と思うほど。最後は両者が手打ちをし、攻防は終了。社殿に火が入って、激しく燃え上がった。10時を過ぎてさすがに疲れた。ホッカイロを体に2個、靴下に2個貼っていたものの体は冷え切って、足はガクガクだ。
◇美人(?)と深夜の散歩
宿に戻り外湯で温まろうとした計画は破綻した。宿へ帰る途中、30~40歳の女性に「日本人ですか」と声を掛けられた。マスクをしていて美人かどうかは分からないが、顔立ちはいい。スタイルが良く、声が可愛らしい。
「そうです」と答えると、「友達が先に帰り、宿の場所が分からなくなった。スマホがバッテリー切れで連絡がとれない」という。野沢温泉の道は迷路のようになっていて、分かりづらい上、道が暗い。幸い、宿でもらった地図を持っていたので、「一緒に探しましょう」とすけべ心を発揮した。
スマホでGoogle Mapsに入力すれば簡単にたどり着けるはずだったが、道祖神祭りで動画を撮りまくったので、私のスマホもすぐにバッテリー切れ。街灯の下で肩を寄せ合い、地図を確認しながら、20分ほどかかって宿に到着した。体はさらに疲れたが、妙齢の女性と一緒に夜道を並んで歩く幸運に恵まれた。名前ぐらい聞いておけばよかったな。
さらに10分以上歩いて宿に戻ったので、11時を過ぎて外湯へ行く元気はない(宿の風呂は午後10時で終了)。仕方なく、冷え切った体のまま寝ることになった。例えれば、水戸黄門の「人生楽ありゃ苦もあるさ」かな。いや「人間万事塞翁が馬」の方が近いかも。
今日の
最低気温-0.9度、最高気温9.8度。晴れ。
↓翌日の道祖神祭り会場

○……翌日の道祖神祭りの会場。社殿は燃え落ちたが、まだ煙が出ていた。残り火で餅を焼いて食べると、1年間風邪をひかずに元気に過ごすことができるという。上越のさいの神と同じだ。

○……飯山市の国道117号を走っていたら、工事中だった道の駅がリニューアルしていた。昨年、10月14日に道の駅「花の駅 千曲川」」として生まれ変わった。農産物直売所が2倍ほど広くなり、Cafe’里わも広々としてきれいになった。観光情報コーナーもできた。カフェで飲んだコーヒーはおいしかった。
↓公式サイト
https://www.chikumagawa.net/
↓町の各所に飾られた道祖神

今年の「道祖神祭り」は、コロナ禍のためホテルや旅館に泊まって証明をもらわないと入場できないことが分かった。それから旅行サイトで宿探しをしたが、まったく空き部屋がない。だが、Booking.comで「夕食なし、朝食付き」の部屋が取れたので一安心。料金も1人6700円と安かった。「夕食は、道祖神祭りの会場に行く途中の居酒屋で食べればいいや」と安易に考えていたが、現実は厳しかった。
◇あわや食事難民に
一抹の不安はあった。車で野沢温泉に向かう途中、数軒の居酒屋に電話し席を確保しようとしたが、電話に出てくれない。いったいどうしたのだろうか。
午後5時に旅館に着き、支度をしてからすぐにでかけた。旅館の人から地図をもらい、飲食店のある場所を教えてもらったが、不安は的中した。なんと、居酒屋、すし店、食堂、ラーメン店など、食事を提供している店の席はほぼ外国人で埋め尽くされていた。何軒も回ったが、全部満席。呆然自失、思考停止である。
外国人は素泊まりが多く、外食をすると聞いていたが、その通りだった。その上、店のスタッフも外国人が多い。店内は英語、韓国語、中国語などが飛び交っていた。これが今の野沢温泉なのか。
食事がとれない状態では体力が持たないと思い、ただ一つの選択肢であるヤマザキデイリーストアに入った。だが、サンドイッチやおにぎり類など、多くの食品が売り切れていた。わずかに残っていたパンを買ってかじる粗末な夕食だった。しかし、ラーメン店から客が出てくるのを見て、入ってみたらカウンター2席が空いていた。「地獄に仏」とはオーバーだが、ようやく温かいものが食べられる!
熱燗の日本酒、餃子、ラーメンを注文した。スタッフは外国人で餃子は冷凍食品だったが、空きっ腹にはとてもおいしく感じられた。「空腹にまずいものなし」。
↓まるで木造建築物のような社殿

午後7時ごろに会場入り。そこには高さ10mを超える社殿が建っていた。いわゆる「さいの神」であるが、ケヤキの神木を心木にして、組み上げた立派な木造建築物だ。社殿の上には人が上がれるようになっている。こんなさいの神を見たのは初めてだ。社殿の組み立ては14日朝から始まり、15日昼ごろに完成したという。
↓初灯籠の動画(2分30秒)
↓初灯籠

午後7時に河野家に火をもらいにいく儀式に続き、7時30分に初灯籠が到着した。長男の生まれた家が奉納するものらしい。これから始まるというのに友人は「先に帰ります」と姿を消した。ずっと運転してもらっていたので、疲れたのだろう。氷点下の寒空の下で立っているだけで辛いはずだ。
↓道祖神祭りの攻防(動画・約10分))
↓花火も上がった

↓道祖神祭りの攻防(午後8時53分頃)

↓道祖神祭り(午後9時21分)

↓道祖神祭り(午後10時8分)

↓道祖神まつりのフィナーレ(午後10時15分)

たいまつ行列、道祖神太鼓、花火の打ち上げがあり、8時30分ごろから火付けの攻防が始まった。雪がちらつく中、たいまつを手に村民らが社殿に向かって突進。社殿の下に構えた厄年の男性らは必死の形相で対抗する。夜空に火の粉が舞い、次第に攻防は激しくなる。それが1時間半ほど続いた。
↓道祖神祭りのクライマックス(動画・1分40秒)
次第に会場は人でぎっしり埋まり、身動きできない状態に。左右を英語圏の女性と中国語圏の女性に囲まれ、「いったいどこの国の民俗行事なのか」と思うほど。最後は両者が手打ちをし、攻防は終了。社殿に火が入って、激しく燃え上がった。10時を過ぎてさすがに疲れた。ホッカイロを体に2個、靴下に2個貼っていたものの体は冷え切って、足はガクガクだ。
◇美人(?)と深夜の散歩
宿に戻り外湯で温まろうとした計画は破綻した。宿へ帰る途中、30~40歳の女性に「日本人ですか」と声を掛けられた。マスクをしていて美人かどうかは分からないが、顔立ちはいい。スタイルが良く、声が可愛らしい。
「そうです」と答えると、「友達が先に帰り、宿の場所が分からなくなった。スマホがバッテリー切れで連絡がとれない」という。野沢温泉の道は迷路のようになっていて、分かりづらい上、道が暗い。幸い、宿でもらった地図を持っていたので、「一緒に探しましょう」とすけべ心を発揮した。
スマホでGoogle Mapsに入力すれば簡単にたどり着けるはずだったが、道祖神祭りで動画を撮りまくったので、私のスマホもすぐにバッテリー切れ。街灯の下で肩を寄せ合い、地図を確認しながら、20分ほどかかって宿に到着した。体はさらに疲れたが、妙齢の女性と一緒に夜道を並んで歩く幸運に恵まれた。名前ぐらい聞いておけばよかったな。
さらに10分以上歩いて宿に戻ったので、11時を過ぎて外湯へ行く元気はない(宿の風呂は午後10時で終了)。仕方なく、冷え切った体のまま寝ることになった。例えれば、水戸黄門の「人生楽ありゃ苦もあるさ」かな。いや「人間万事塞翁が馬」の方が近いかも。
今日の足跡
最低気温-0.9度、最高気温9.8度。晴れ。
↓翌日の道祖神祭り会場

○……翌日の道祖神祭りの会場。社殿は燃え落ちたが、まだ煙が出ていた。残り火で餅を焼いて食べると、1年間風邪をひかずに元気に過ごすことができるという。上越のさいの神と同じだ。

○……飯山市の国道117号を走っていたら、工事中だった道の駅がリニューアルしていた。昨年、10月14日に道の駅「花の駅 千曲川」」として生まれ変わった。農産物直売所が2倍ほど広くなり、Cafe’里わも広々としてきれいになった。観光情報コーナーもできた。カフェで飲んだコーヒーはおいしかった。
↓公式サイト
https://www.chikumagawa.net/
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Comment
読後感は「ルポの傑作」。臨場感に加えて2023年の地方にある観光地の現実を伝えてあますところのないニュースブログかと。ハイテク関連のような大規模産業が期待できない土地はインバウンドをはじめとする観光に頼るほかない現実を。
いつもブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今回の旅はアクシデントの連続で、いったいどうなるか分からない旅でした。
でも、振り返ってみると、アクシデントがあってからこそ、旅の醍醐味があるわけです。きちんと下調べをし、計画して作り上げた旅は、楽しくてもあまり記憶に残らない。その点で、あとあとまで笑い草になるアクシデントが多い旅でした。
いつもは30分で書き上げるブログですが、今回は動画も入れて、2時間かけて書きました。じっくり読んでいただき、とてもうれしいです。
今回の旅はアクシデントの連続で、いったいどうなるか分からない旅でした。
でも、振り返ってみると、アクシデントがあってからこそ、旅の醍醐味があるわけです。きちんと下調べをし、計画して作り上げた旅は、楽しくてもあまり記憶に残らない。その点で、あとあとまで笑い草になるアクシデントが多い旅でした。
いつもは30分で書き上げるブログですが、今回は動画も入れて、2時間かけて書きました。じっくり読んでいただき、とてもうれしいです。
コメントありがとうございます。
感動のあまり、力を入れて書いたので、伝わるものがあったのでしょう。
「火祭り後のアバンチュール」のような「ときめく心」は、何歳になっても持ちたいものです。
ありがとございました。
感動のあまり、力を入れて書いたので、伝わるものがあったのでしょう。
「火祭り後のアバンチュール」のような「ときめく心」は、何歳になっても持ちたいものです。
ありがとございました。