23日22時28分=2023年=
高齢者の孤独に切り込んだ映画「茶飲み友達」
【評】★5つが最高
★★★★
日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超え、孤独と貧困に苦しむ高齢者が増えている。配偶者の死、子どもからの無視や放置なども問題だ。一方、高齢者を支える若い人は低賃金に喘ぎ、結婚もできない。人口減少はさまざまな部分に影響を及ぼし、先が見えない時代を迎えている。

そんな寂しい時代の中、2013年10月に起きた高齢者売春クラブ摘発のニュースに着想を得て生まれた社会派群像劇『茶飲友達』。「おもしろい」という感想は不謹慎だが、高齢者売春クラブによって、孤独から救われていた部分もあった。クラブを運営するマナは本当に孤独な老人たちに生の喜びを与えたかったのだと思う。映画の最初の部分で「70代の老人の7割が性欲があり、異性とのスキンシップを求めている」と語られる。男は死ぬまで性欲があるのだ。

高齢者売春クラブの手口は、新聞の3行広告。若い人は新聞を読まないが、高齢者の情報源は新聞なのだ。そこに「茶飲み友達募集」の3行広告を打つ。実際の売春グループが摘発された時、1000人ほどの会員が登録していたというから、需要があるところに供給があったのだ。


いわゆるデリヘル方式だが、「ティー・ガールズ」と呼ばれるコールガールたちは、妊娠の心配がない世代。バイアグラを飲んで果敢に攻める高齢者もいるが、添い寝をしてぬくもりを感じるだけで十分な満足感を得る高齢者もいる。国などの制度は金銭的な保証はしても、心の中までは満たすことができない。
高齢者売春クラブは、日本のため、孤独な老人を救うためなどと崇高な目的を掲げ、宗教的な手法で次々と顧客を増やしていく。しかし、摘発された後は、高齢者が施設を追われたり、逆に不幸に追いやられてしまう。
障害者と性、高齢者と性の問題はだれもが触れたがらない。「ティー・ガールズ」は家族的経営で、女性たちは生まれ変わったように生き生きと仕事をし、高齢者も喜んでいる場面は無視できるものではない。「人生100年時代」という長生きが孤独を生む時代を迎えている。孤独に苛まれ、生きる活力が見いだせない人ばかりになる。裏(闇)の世界がないと表の世界はギスギスしてしまうのだ。「正しいことだけが幸せじゃないでしょ」というマナのセリフが心に響く。
性的な部分はやめて、添い寝や茶飲み相手といったビジネスなら、合法的にできるのではないかとも思った。綺麗ごとだけでは人間は生きられない。「性」は生きる活力、栄養になり得るのだ。今日的なテーマに果敢に挑んだ先駆的な作品となった。
主演のマナを演じた岡本玲が素晴らしかった。脚本と監督を努めた外山文治に今後、注目していきたい。
↓公式サイト
http://teafriend.jp/
今日の
最低気温19.7度、最高気温25.9度。曇り一時雨。
○……本県発祥のホームセンター「コメリ」が昨年11月30日から、スマホ決済サービス「コッコPay」を始めたという。
今日、コメリで買い物をしていたら、店内放送で流れていた。コメリカードと連携させたもののようだ。そのほかにチャージタイプもあり、店頭での申し込みは不要。コメリカードを持っていない人は、チャージタイプを選択すればいい。
「~Pay」がどんどん増えている中、コッコPayは生き残っていけるだろうか。これ以上、アプリを増やしたくない人が多いと思うが。
★★★★
日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超え、孤独と貧困に苦しむ高齢者が増えている。配偶者の死、子どもからの無視や放置なども問題だ。一方、高齢者を支える若い人は低賃金に喘ぎ、結婚もできない。人口減少はさまざまな部分に影響を及ぼし、先が見えない時代を迎えている。

そんな寂しい時代の中、2013年10月に起きた高齢者売春クラブ摘発のニュースに着想を得て生まれた社会派群像劇『茶飲友達』。「おもしろい」という感想は不謹慎だが、高齢者売春クラブによって、孤独から救われていた部分もあった。クラブを運営するマナは本当に孤独な老人たちに生の喜びを与えたかったのだと思う。映画の最初の部分で「70代の老人の7割が性欲があり、異性とのスキンシップを求めている」と語られる。男は死ぬまで性欲があるのだ。

高齢者売春クラブの手口は、新聞の3行広告。若い人は新聞を読まないが、高齢者の情報源は新聞なのだ。そこに「茶飲み友達募集」の3行広告を打つ。実際の売春グループが摘発された時、1000人ほどの会員が登録していたというから、需要があるところに供給があったのだ。


いわゆるデリヘル方式だが、「ティー・ガールズ」と呼ばれるコールガールたちは、妊娠の心配がない世代。バイアグラを飲んで果敢に攻める高齢者もいるが、添い寝をしてぬくもりを感じるだけで十分な満足感を得る高齢者もいる。国などの制度は金銭的な保証はしても、心の中までは満たすことができない。
高齢者売春クラブは、日本のため、孤独な老人を救うためなどと崇高な目的を掲げ、宗教的な手法で次々と顧客を増やしていく。しかし、摘発された後は、高齢者が施設を追われたり、逆に不幸に追いやられてしまう。
障害者と性、高齢者と性の問題はだれもが触れたがらない。「ティー・ガールズ」は家族的経営で、女性たちは生まれ変わったように生き生きと仕事をし、高齢者も喜んでいる場面は無視できるものではない。「人生100年時代」という長生きが孤独を生む時代を迎えている。孤独に苛まれ、生きる活力が見いだせない人ばかりになる。裏(闇)の世界がないと表の世界はギスギスしてしまうのだ。「正しいことだけが幸せじゃないでしょ」というマナのセリフが心に響く。
性的な部分はやめて、添い寝や茶飲み相手といったビジネスなら、合法的にできるのではないかとも思った。綺麗ごとだけでは人間は生きられない。「性」は生きる活力、栄養になり得るのだ。今日的なテーマに果敢に挑んだ先駆的な作品となった。
主演のマナを演じた岡本玲が素晴らしかった。脚本と監督を努めた外山文治に今後、注目していきたい。
↓公式サイト
http://teafriend.jp/
今日の足跡
最低気温19.7度、最高気温25.9度。曇り一時雨。
○……本県発祥のホームセンター「コメリ」が昨年11月30日から、スマホ決済サービス「コッコPay」を始めたという。
今日、コメリで買い物をしていたら、店内放送で流れていた。コメリカードと連携させたもののようだ。そのほかにチャージタイプもあり、店頭での申し込みは不要。コメリカードを持っていない人は、チャージタイプを選択すればいい。
「~Pay」がどんどん増えている中、コッコPayは生き残っていけるだろうか。これ以上、アプリを増やしたくない人が多いと思うが。
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Comment
「茶飲友達」のコメント、身に沁みます。
明日クラス会に出席のため高田へ行き一泊しますが、25日は世界館で「ぼくたちの哲学教室」を観て帰ります。「茶飲友達」を観る時間がないのが残念です。
明日クラス会に出席のため高田へ行き一泊しますが、25日は世界館で「ぼくたちの哲学教室」を観て帰ります。「茶飲友達」を観る時間がないのが残念です。
「茶飲友達」は、ぜひ見てもらいたい映画でしたので残念です。
高齢者の性について、真正面から撮った特筆すべき映画です。
障害者については、アメリカ映画「37セカンズ」で描いかれたけれど、日本映画は両者とも大きなテーマとしては描いてきませんでした。
その意味で、画期的な作品だと思います。
高齢者の性について、真正面から撮った特筆すべき映画です。
障害者については、アメリカ映画「37セカンズ」で描いかれたけれど、日本映画は両者とも大きなテーマとしては描いてきませんでした。
その意味で、画期的な作品だと思います。