11日21時07分=2023年=
椎名誠の『奇食珍食糞便録』
友人が一冊の本を持ってきて「面白いから読んで」と言って置いていった。1か月以上も本棚に置きっぱなしだったが、1週間ほど前に半日かけて読了した。本は椎名誠の『奇食珍食糞便録』(集英社新書)である。

椎名誠は小説家であるが、『あやしい探検隊』シリーズなど、日本各地、世界各地の特に辺境に赴いて体験を書いた旅行記が面白い。この本もその一冊。
第1章はこの本の白眉である「世界糞便録」。中国の開放便所、別名「ニーハオトイレ」から始まる。仕切りも扉もなく強烈な臭気が漂う便所。1981年の上海の状況で、2000年代に入ってようやく空港トイレに個室ができたという。コロナ禍になる直前、中国の三国志巡りで旅行したが、ニーハオトイレはなかった。ホテルのトイレはもちろんきれいだし、高速道路などの公衆トイレは、臭いがあり壊れている便器も多少あったが、酷い状況ではなかった。国民が豊かになり、近代化が進んだおかげだろう。
椎名氏は書く。「哺乳類のなかでも、紙で尻を拭かないと最後の始末ができないのは人間だけだ」と。我が家の犬を見ると、排便の時間が非常に短い。サッと済ませる。「動物は糞をしているときがいちばん敵に襲われやすい不用心な姿勢である」「弱い草食動物、ウサギとか鹿などは走りながら糞をすることができる」と書く。ふーん(糞)。
敦煌でのうじ虫がうごめくトイレ。チベット自治区での屋根の上にある開放便所。インド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ミャンマー、インドネシアなどの「腰巻き文化圏」での男の「すわりしょんべん」。パプア・ニューギニアでは豚の餌となるジャングル野糞。メナム川に突き出したタイの厠は高床式。便座がないヤクーツクの便所。極寒地での排尿の大変さ。イルクーツクの糞便山盛りトイレなど、世界のトイレで自ら体験した事実を描いた。
第2章は「奇食珍食」。ベトナムの毒蛇コブラサンドやヘビの刺し身。中国の蛇ラーメン。南米のワニやアルマジロ料理。昆虫食で有名な長野で食べた馬の睾丸の刺し身。与那国島のヤシガニの臓物料理。カンボジアでの昆虫(タガメ、バッタ、カマキリなど)のから揚げ。有明海のイソギンチャクの刺し身「わけのしんすけ」(若いやつのケツの穴)など、読むだけで気持ちが悪くなる料理が満載だ。

ところで、私もこのようなヘンな本を、いっぱい持っている。興味のある方は探してみて。ほとんどがAmazonで買える。
◇『厠まんだら』(雪華社)
李家正文による東西のトイレの歴史とエピソードを集めた本。厠(かわや)はトイレのこと。
◇『トイレット文化考』(雪華社)
中国やヨーロッパを中心にしたトイレの発達史。文献や文学作品、考古学的出土品を博捜して概観する。古代オリエントや地中海世界における水洗便所の発達など。李家正文著。
◇『江戸のおトイレ』(新潮選書)
世界に冠たるリサイクル都市だった江戸のトイレ事情を古川柳と絵図で解き明かす。渡辺信一郎著。長屋の雪隠、外出先や遊女屋などを貴重な資料からひもといていく。
◇『桃源華洞(とうげんかどう)』(イースト・プレス)
昭和初期の謎の教養人、龍王山人が、古今東西の文献をあさり、生涯をかけて書いた女性の「あそこ」の研究書である。
◇『陰名語彙(いんめいごい)』(慶友社)
中野栄三著の三部作の一冊である。『桃源華洞』の第1章に「名称について」という項があるが、この本は男女のあそこの名称だけで1冊の本に仕立ててある。あそこの名称651語が1冊に収録されている辞典である。
◇『全国マン・チン分布考』(インターナショナル新書)
『全国アホ・バカ分布考』の著者松本修が、全国市町村アンケートを基に、女陰・男根の分布図を作成し、分析を行った本。
◇『体にいい寄生虫』(ワニブックス)
藤田紘一郎著。寄生虫を愛するあまり、自分の体で飼い始めてしまったカイチュウ博士。ヒロミちゃんにサトミちゃんと名前も付けて、大まじめに人体実験を試みた。花粉症やアトピーも寄生虫で克服できると解く。
藤田さんの寄生虫関係の本は5冊ほど読んだが、この本しか本棚に見当たらない…。だれかに貸した覚えが…。
今日の
最低気温26.1度、最高気温36.8度。晴れ。10日連続の猛暑日。台風第7号の進路が気になる。

○……2年前、東京で亡くなった同級生の墓参りに上越市の寺町に行ってきた。まだ、お盆には早いが、所用で出かける用事があるため、早めの墓参りだ。一緒に音楽活動をしていた友人も新幹線で駆けつけてくれた。帰省客で満席だったそうだ。
墓に花を供えて、冥福を祈った。亡くなるとわかっていれば、頻繁に会いに行ったのに。一緒にギターを演奏できたのに。同級生が一人、また一人と亡くなるのは切ない。
墓参りの後はビールを飲みながら、現況報告やら、思い出話やらに花が咲き、盛りだくさんで語り尽くせなかった。明日は早い出発なので、早めに切り上げたが、運転代行に電話したら営業は午後7時からだという。仕方なく、1時間ほど車の中でテレビを見て待った。
◯……所用のため、12日~15日までブログを休みます。

椎名誠は小説家であるが、『あやしい探検隊』シリーズなど、日本各地、世界各地の特に辺境に赴いて体験を書いた旅行記が面白い。この本もその一冊。
第1章はこの本の白眉である「世界糞便録」。中国の開放便所、別名「ニーハオトイレ」から始まる。仕切りも扉もなく強烈な臭気が漂う便所。1981年の上海の状況で、2000年代に入ってようやく空港トイレに個室ができたという。コロナ禍になる直前、中国の三国志巡りで旅行したが、ニーハオトイレはなかった。ホテルのトイレはもちろんきれいだし、高速道路などの公衆トイレは、臭いがあり壊れている便器も多少あったが、酷い状況ではなかった。国民が豊かになり、近代化が進んだおかげだろう。
椎名氏は書く。「哺乳類のなかでも、紙で尻を拭かないと最後の始末ができないのは人間だけだ」と。我が家の犬を見ると、排便の時間が非常に短い。サッと済ませる。「動物は糞をしているときがいちばん敵に襲われやすい不用心な姿勢である」「弱い草食動物、ウサギとか鹿などは走りながら糞をすることができる」と書く。ふーん(糞)。
敦煌でのうじ虫がうごめくトイレ。チベット自治区での屋根の上にある開放便所。インド、パキスタン、スリランカ、ネパール、ミャンマー、インドネシアなどの「腰巻き文化圏」での男の「すわりしょんべん」。パプア・ニューギニアでは豚の餌となるジャングル野糞。メナム川に突き出したタイの厠は高床式。便座がないヤクーツクの便所。極寒地での排尿の大変さ。イルクーツクの糞便山盛りトイレなど、世界のトイレで自ら体験した事実を描いた。
第2章は「奇食珍食」。ベトナムの毒蛇コブラサンドやヘビの刺し身。中国の蛇ラーメン。南米のワニやアルマジロ料理。昆虫食で有名な長野で食べた馬の睾丸の刺し身。与那国島のヤシガニの臓物料理。カンボジアでの昆虫(タガメ、バッタ、カマキリなど)のから揚げ。有明海のイソギンチャクの刺し身「わけのしんすけ」(若いやつのケツの穴)など、読むだけで気持ちが悪くなる料理が満載だ。

ところで、私もこのようなヘンな本を、いっぱい持っている。興味のある方は探してみて。ほとんどがAmazonで買える。
◇『厠まんだら』(雪華社)
李家正文による東西のトイレの歴史とエピソードを集めた本。厠(かわや)はトイレのこと。
◇『トイレット文化考』(雪華社)
中国やヨーロッパを中心にしたトイレの発達史。文献や文学作品、考古学的出土品を博捜して概観する。古代オリエントや地中海世界における水洗便所の発達など。李家正文著。
◇『江戸のおトイレ』(新潮選書)
世界に冠たるリサイクル都市だった江戸のトイレ事情を古川柳と絵図で解き明かす。渡辺信一郎著。長屋の雪隠、外出先や遊女屋などを貴重な資料からひもといていく。
◇『桃源華洞(とうげんかどう)』(イースト・プレス)
昭和初期の謎の教養人、龍王山人が、古今東西の文献をあさり、生涯をかけて書いた女性の「あそこ」の研究書である。
◇『陰名語彙(いんめいごい)』(慶友社)
中野栄三著の三部作の一冊である。『桃源華洞』の第1章に「名称について」という項があるが、この本は男女のあそこの名称だけで1冊の本に仕立ててある。あそこの名称651語が1冊に収録されている辞典である。
◇『全国マン・チン分布考』(インターナショナル新書)
『全国アホ・バカ分布考』の著者松本修が、全国市町村アンケートを基に、女陰・男根の分布図を作成し、分析を行った本。
◇『体にいい寄生虫』(ワニブックス)
藤田紘一郎著。寄生虫を愛するあまり、自分の体で飼い始めてしまったカイチュウ博士。ヒロミちゃんにサトミちゃんと名前も付けて、大まじめに人体実験を試みた。花粉症やアトピーも寄生虫で克服できると解く。
藤田さんの寄生虫関係の本は5冊ほど読んだが、この本しか本棚に見当たらない…。だれかに貸した覚えが…。
今日の足跡
最低気温26.1度、最高気温36.8度。晴れ。10日連続の猛暑日。台風第7号の進路が気になる。

○……2年前、東京で亡くなった同級生の墓参りに上越市の寺町に行ってきた。まだ、お盆には早いが、所用で出かける用事があるため、早めの墓参りだ。一緒に音楽活動をしていた友人も新幹線で駆けつけてくれた。帰省客で満席だったそうだ。
墓に花を供えて、冥福を祈った。亡くなるとわかっていれば、頻繁に会いに行ったのに。一緒にギターを演奏できたのに。同級生が一人、また一人と亡くなるのは切ない。
墓参りの後はビールを飲みながら、現況報告やら、思い出話やらに花が咲き、盛りだくさんで語り尽くせなかった。明日は早い出発なので、早めに切り上げたが、運転代行に電話したら営業は午後7時からだという。仕方なく、1時間ほど車の中でテレビを見て待った。
◯……所用のため、12日~15日までブログを休みます。
- 関連記事
-
- 「疼く人」は官能小説ではなかった (2023/09/22)
- 椎名誠の『奇食珍食糞便録』 (2023/08/11)
- 村上春樹の新刊「街とその不確かな壁」 (2023/04/13)
- 「角栄に花束を」第8巻 いよいよ本領発揮 (2023/03/03)
- 中村天風の「天風哲学」 (2023/02/07)
スポンサーサイト