15日21時33分=2023年=
山田洋次監督の最後の作品か?「こんにちは、母さん」
【評】
★5つが最高
★★★★

「寅さんシリーズ」をはじめ、「家族」「幸福の黄色いハンカチ」「キネマの天地」「息子」「学校」などの名作を描いてきた山田洋次監督(91歳)の最後の作品になるのではないかと言われる新作「こんにちは、母さん」を見てきた。よく練られた脚本で、貧困や格差、リストラ、別居や離婚、結婚観の変化、就活、高齢者の孤独といった現代が抱えている問題を含みつつ、昔ながらの下町の風景や人情、暮らしを、笑いや涙とともに描いた人間讃歌である。山田監督の集大成であり、素晴らしい映画だと思う。
山田洋次監督作品としては90本目。吉永小百合(78歳)も123本目の映画で、『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作を締めくくる作品でもある。
映画のロケ地は東京の下町、墨田区。東京スカイツリー、河川敷にある隅田川テラス、隅田川屋形船、隅田川花火大会、水上バスなどが出てくる。どれも行ったことがないので、行ってみたい。田中泯さんが演じるホームレスの男性が東京大空襲の恐怖を大声で叫ぶ橋は「言問橋」だという。神埼福江(吉永小百合)が荻性直文(寺尾聰)と食事をしたレストランは「カフェムルソー」だという。
↓左側が墨田聖書教会

墨田聖書教会というプロテスタントの教会が出てくるので調べてみたら、「墨田区墨田3-19-4」に実在していた。牧師さん(寺尾聰)が、遠野物語が好きで遠野を歩いていたら、畳敷きの教会があったのが牧師になったきっかけだという。「遠野教会」というのが実在しているが……。日本キリスト教団なので、プロテスタント教会である。
↓酸辣湯麺

それにしても、山田監督はお掃除ロボット、デリバリー(酸辣湯麺)、ラジカセ、サザンの「涙のキッス」など、古いものと新しいものを上手に取り入れている。
↓牧師さんと

吉永小百合が牧師さんに恋して、生き生きとして輝く様子をうまく演じているし、今回は「寅さん」と同じで、見事にふられる役である。
↓恋してからふられる役を演じた吉永小百合

田中泯さんが演じるホームレス役が壮絶だ。吉永小百合も、恋するおばあちゃん役を活き活きと演じた。いままでの映画の中で一番いい演技をしたのではないかな。こういう美しい所作、言葉遣いができる人はほかにいない。永野芽郁は可愛くてよかったし、脇役ではYOUの演技が良かった。
脚本は素晴らしいのだが、大企業の部長(大泉洋)の座を投げ出し、リストラされる友人(宮藤官九郎)を救うなんて、実際はありえない。会社の決定に反旗を翻したわけであり、懲戒免職で退職金はゼロ。助けた友人は懲戒免職をまぬがれ、割増金までもらって、関連会社に就職できたのだ。これはちょっとありえない。例えば、上司が女性社員の肩に手を置くのはセクハラだと思う。部長が決済にハンコを押す場面なんかも、今はありえない。全体的に時代錯誤的なところが気になった。
見終わって「ヒットして賞を取れば、続編もあるんじゃないかな」と思った。今度は吉永小百合が北海道へ追いかけていくことになる。公開時には吉永小百合は80歳になる。おそらく、80歳でも可愛らしく美しさはそのままだろう。
映画館を出たら酸辣湯麺とせんべいが食べたくなった。
J-MAXシアターで上映中。
◇公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/konnichiha-kasan/
今日の
最低気温23.7度、最高気温28.9度。午前小雨、午後曇り。
○……最近、周囲でコロナ感染が広がっている。友人など何人も感染している。6回もワクチン接種している人が感染しているので、ワクチン接種はいったい何だったのか。また、感染してから体がだるい、喉が痛い、食欲がないなどの後遺症が1か月も続いている人もいる。
新型コロナが5類に引き下げられて以来、感染者数が急増しているのだ。祭りなど大勢が集まる機会が増えたことも原因の一つだ。オミクロン株の新たな系統、通称エリスの影響もあるとか。ワクチンはエリスにほとんど役立たないようだ。
★5つが最高
★★★★

「寅さんシリーズ」をはじめ、「家族」「幸福の黄色いハンカチ」「キネマの天地」「息子」「学校」などの名作を描いてきた山田洋次監督(91歳)の最後の作品になるのではないかと言われる新作「こんにちは、母さん」を見てきた。よく練られた脚本で、貧困や格差、リストラ、別居や離婚、結婚観の変化、就活、高齢者の孤独といった現代が抱えている問題を含みつつ、昔ながらの下町の風景や人情、暮らしを、笑いや涙とともに描いた人間讃歌である。山田監督の集大成であり、素晴らしい映画だと思う。
山田洋次監督作品としては90本目。吉永小百合(78歳)も123本目の映画で、『母べえ』『母と暮せば』に続く『母』3部作を締めくくる作品でもある。
映画のロケ地は東京の下町、墨田区。東京スカイツリー、河川敷にある隅田川テラス、隅田川屋形船、隅田川花火大会、水上バスなどが出てくる。どれも行ったことがないので、行ってみたい。田中泯さんが演じるホームレスの男性が東京大空襲の恐怖を大声で叫ぶ橋は「言問橋」だという。神埼福江(吉永小百合)が荻性直文(寺尾聰)と食事をしたレストランは「カフェムルソー」だという。
↓左側が墨田聖書教会

墨田聖書教会というプロテスタントの教会が出てくるので調べてみたら、「墨田区墨田3-19-4」に実在していた。牧師さん(寺尾聰)が、遠野物語が好きで遠野を歩いていたら、畳敷きの教会があったのが牧師になったきっかけだという。「遠野教会」というのが実在しているが……。日本キリスト教団なので、プロテスタント教会である。
↓酸辣湯麺

それにしても、山田監督はお掃除ロボット、デリバリー(酸辣湯麺)、ラジカセ、サザンの「涙のキッス」など、古いものと新しいものを上手に取り入れている。
↓牧師さんと

吉永小百合が牧師さんに恋して、生き生きとして輝く様子をうまく演じているし、今回は「寅さん」と同じで、見事にふられる役である。
↓恋してからふられる役を演じた吉永小百合

田中泯さんが演じるホームレス役が壮絶だ。吉永小百合も、恋するおばあちゃん役を活き活きと演じた。いままでの映画の中で一番いい演技をしたのではないかな。こういう美しい所作、言葉遣いができる人はほかにいない。永野芽郁は可愛くてよかったし、脇役ではYOUの演技が良かった。
脚本は素晴らしいのだが、大企業の部長(大泉洋)の座を投げ出し、リストラされる友人(宮藤官九郎)を救うなんて、実際はありえない。会社の決定に反旗を翻したわけであり、懲戒免職で退職金はゼロ。助けた友人は懲戒免職をまぬがれ、割増金までもらって、関連会社に就職できたのだ。これはちょっとありえない。例えば、上司が女性社員の肩に手を置くのはセクハラだと思う。部長が決済にハンコを押す場面なんかも、今はありえない。全体的に時代錯誤的なところが気になった。
見終わって「ヒットして賞を取れば、続編もあるんじゃないかな」と思った。今度は吉永小百合が北海道へ追いかけていくことになる。公開時には吉永小百合は80歳になる。おそらく、80歳でも可愛らしく美しさはそのままだろう。
映画館を出たら酸辣湯麺とせんべいが食べたくなった。
J-MAXシアターで上映中。
◇公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/konnichiha-kasan/
今日の足跡
最低気温23.7度、最高気温28.9度。午前小雨、午後曇り。
○……最近、周囲でコロナ感染が広がっている。友人など何人も感染している。6回もワクチン接種している人が感染しているので、ワクチン接種はいったい何だったのか。また、感染してから体がだるい、喉が痛い、食欲がないなどの後遺症が1か月も続いている人もいる。
新型コロナが5類に引き下げられて以来、感染者数が急増しているのだ。祭りなど大勢が集まる機会が増えたことも原因の一つだ。オミクロン株の新たな系統、通称エリスの影響もあるとか。ワクチンはエリスにほとんど役立たないようだ。
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