13日23時10分=2023年=
生誕140年「小林古径の世界」展
今年は生誕140年にあたる日本画家、小林古径の展覧会が10月21日から古径記念美術館で開かれている。11月11日から庭園のライトアップが始まるため、その日まで待ったのに、なんと庭園のもみじはまだ紅葉していなかった。その上、天候は雨で寒かった。土曜であり、ライトアップ初日だというのに、雨のたせいか、客が少なかった。
↓真っ赤に紅葉せず、枯れている葉も多かった


↓入り口には「芥子(けし)」のポスターが

ポスターは代表作「芥子」、目録の表紙は同博物館が所蔵する「丘」である。
↓古径邸の画室 古径さんの写真があって驚いた

多くの作品の中でも「芥子」の葉っぱの濃淡の表現が素晴らしく、生命力があふれるような精密な描写に驚いた。古径が自宅に庭に咲いた芥子を描いたものだという。
「機織り」は二人の女性が機を織る様子が描かれている。京都の西陣織の機屋を取材して描いたものだという。観察眼の素晴らしさと確かなスケッチ力が発揮され、構図も素晴らしい。機の木部の色も、長年使って少しすり減った微妙な色具合を表現している。
2匹の犬による動きのある作品が「犬(庭の一隅)」である。古径の愛犬、サモエド種のジョキと、テリア種の丹(たん)が庭でじゃれ合っている。古径はほかにも何匹かの犬を飼っていて、たいへんな愛犬家だったようだ。犬が好きでないと、こういう瞬間を絵にできない。
ほかに火消しを描いた「加賀鳶」、満開の白木蓮の木の下で若い女性たちが霊泉を汲む艶やかな「極楽井戸」などが戦前の作品の中で印象に残った。
そして戦時中の作品が国威発揚のために使われたことを知った。「旭陽」や「富士」が国威発揚にあたると解説が書いてあったが、見ても普通の日本画にしか見えない。太陽や富士山が日本を象徴するものなので、描いたのだろうか。さすが古径の作品であり、品がある。
「旭陽」は大きな波がうねっている海から金色に輝く旭陽が昇っている。最近でも「旭陽」と書いて「あさひ」と読ませる名前があるが、当時は「旭陽」自体に国威発揚的な意味合いがあったのかもしれない。
↓絶筆の「牡丹」

晩年になると、大作はあまりない。体力的な問題なのだろう。「梅にうぐいす」「食後」「無花果」など、品の良い作品が多い。絶筆の「牡丹」は初めて見た。
このほか、通路には古径自筆の絵入り書簡(はがき)、文化勲章や文化功労者、旭日重光章の賞状や勲章、葬儀の際に読まれた前田青邨などの弔事などがあって、おもしろかった。弔事も立派な史料であることに少々驚いた。
作品の中には、写真撮影可のものもあったので、撮影してきたが、ガラスに反射するので、あまり上手に撮れなかった。以下の写真は撮影可のマークが付いていたものである。
↓「丘」

↓「重盛」

↓「鶴」

↓「梅にうぐいす」

↓「羅浮仙」

今回、初めてみる作品も多くて満足した。そして、2021年10~11月に同美術館で開かれた「永青文庫所蔵 近代日本画名品展」で見た古径作品を思い出した。
古径の「孔雀」の精密で鮮やかな色調を今も思い出す。女性が上半身裸で髪をすいてもらっている様子を描いた「髪」は、髪の毛の質感、肌の柔らかさまで表現されていて素晴らしかった。細川家の小襖に書いた「鳥図」、「鶉」も良かった。
今日の
最低気温5.0度、最高気温9.5度。雨。
○……「小林古径の世界」のロビーで、絵葉書や記念グッズなどが販売されていた。
今回、名作「髪」の絵はがきも売られていたが、実際に絵はがきを人に送るとなると、おっぱいが見えている作品は使いづらいという。なるほど。実用性からしたら、花の図柄だろうな。
↓「古径さんちの固形せっけん」(800円)


○……はがきを出す相手もいないので、記念グッズとして話題になっている「古径さんちの固形せっけん」を買ってきた。
「古径」と「固形」をかけたダジャレグッズだ。
太宰治の故郷、青森県五所川原市にある太宰治記念館「斜陽館」を訪れた際「斜陽羹」というようかんや、「生まれてすみませんべい」という土産があった。それに比べれば、ややネーミングが穏やかだが、ダジャレグッズを発売したことに意義がある。350個限定だという。ヤギミルク入りなど、芸が細かい。
↓真っ赤に紅葉せず、枯れている葉も多かった


↓入り口には「芥子(けし)」のポスターが

ポスターは代表作「芥子」、目録の表紙は同博物館が所蔵する「丘」である。
↓古径邸の画室 古径さんの写真があって驚いた

多くの作品の中でも「芥子」の葉っぱの濃淡の表現が素晴らしく、生命力があふれるような精密な描写に驚いた。古径が自宅に庭に咲いた芥子を描いたものだという。
「機織り」は二人の女性が機を織る様子が描かれている。京都の西陣織の機屋を取材して描いたものだという。観察眼の素晴らしさと確かなスケッチ力が発揮され、構図も素晴らしい。機の木部の色も、長年使って少しすり減った微妙な色具合を表現している。
2匹の犬による動きのある作品が「犬(庭の一隅)」である。古径の愛犬、サモエド種のジョキと、テリア種の丹(たん)が庭でじゃれ合っている。古径はほかにも何匹かの犬を飼っていて、たいへんな愛犬家だったようだ。犬が好きでないと、こういう瞬間を絵にできない。
ほかに火消しを描いた「加賀鳶」、満開の白木蓮の木の下で若い女性たちが霊泉を汲む艶やかな「極楽井戸」などが戦前の作品の中で印象に残った。
そして戦時中の作品が国威発揚のために使われたことを知った。「旭陽」や「富士」が国威発揚にあたると解説が書いてあったが、見ても普通の日本画にしか見えない。太陽や富士山が日本を象徴するものなので、描いたのだろうか。さすが古径の作品であり、品がある。
「旭陽」は大きな波がうねっている海から金色に輝く旭陽が昇っている。最近でも「旭陽」と書いて「あさひ」と読ませる名前があるが、当時は「旭陽」自体に国威発揚的な意味合いがあったのかもしれない。
↓絶筆の「牡丹」

晩年になると、大作はあまりない。体力的な問題なのだろう。「梅にうぐいす」「食後」「無花果」など、品の良い作品が多い。絶筆の「牡丹」は初めて見た。
このほか、通路には古径自筆の絵入り書簡(はがき)、文化勲章や文化功労者、旭日重光章の賞状や勲章、葬儀の際に読まれた前田青邨などの弔事などがあって、おもしろかった。弔事も立派な史料であることに少々驚いた。
作品の中には、写真撮影可のものもあったので、撮影してきたが、ガラスに反射するので、あまり上手に撮れなかった。以下の写真は撮影可のマークが付いていたものである。
↓「丘」

↓「重盛」

↓「鶴」

↓「梅にうぐいす」

↓「羅浮仙」

今回、初めてみる作品も多くて満足した。そして、2021年10~11月に同美術館で開かれた「永青文庫所蔵 近代日本画名品展」で見た古径作品を思い出した。
古径の「孔雀」の精密で鮮やかな色調を今も思い出す。女性が上半身裸で髪をすいてもらっている様子を描いた「髪」は、髪の毛の質感、肌の柔らかさまで表現されていて素晴らしかった。細川家の小襖に書いた「鳥図」、「鶉」も良かった。
今日の足跡
最低気温5.0度、最高気温9.5度。雨。
○……「小林古径の世界」のロビーで、絵葉書や記念グッズなどが販売されていた。
今回、名作「髪」の絵はがきも売られていたが、実際に絵はがきを人に送るとなると、おっぱいが見えている作品は使いづらいという。なるほど。実用性からしたら、花の図柄だろうな。
↓「古径さんちの固形せっけん」(800円)


○……はがきを出す相手もいないので、記念グッズとして話題になっている「古径さんちの固形せっけん」を買ってきた。
「古径」と「固形」をかけたダジャレグッズだ。
太宰治の故郷、青森県五所川原市にある太宰治記念館「斜陽館」を訪れた際「斜陽羹」というようかんや、「生まれてすみませんべい」という土産があった。それに比べれば、ややネーミングが穏やかだが、ダジャレグッズを発売したことに意義がある。350個限定だという。ヤギミルク入りなど、芸が細かい。
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